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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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コメディー短編(異世界恋愛)

婚約破棄するような方は、“きたねぇ花火”にして差し上げますわ

作者: 多田 笑
掲載日:2026/05/06

お尻に色々と入ったり、肉片が飛び散る内容があります。マイルドにしたつもりですが、苦手な方はご注意ください。

「ベリンダ、君との婚約を破棄する!」


 きらびやかな舞踏会の真っ只中。

 侯爵家嫡男キースは、高らかにそう宣言した。


 ベリンダは震える声で問いかける。

 

「り、理由を……理由をお聞かせ願えますか……?」


 キースは肩をすくめると、視線を窓の外へ向けた。


 ドーン!!


 次の瞬間、夜空に大輪の花が咲いた。

 色鮮やかな光が、会場の窓越しにきらめく。


「……あの打ち上げ花火のように華やかな僕に、君は似つかわしくない!」


 くすくすと、周囲から嘲笑が広がる。


「君は地味だ……あまりにも地味すぎる。今にも消えそうなロウソクの炎のようだよ。僕はエミリーと婚約する。彼女は、そこにいるだけで華やかさがある」


 キースの腕に寄り添い、うっとりと彼を見つめるエミリー。


(わたくしは……ずっとキース様のために、侯爵家のために頑張ってきたのに……。わたくしを裏切っていたのですね……)


 ベリンダは、その想いを声にせず、胸の奥へとしまい込んだ。


 そして涙を堪えながら告げる。


「承知いたしました……」


 ベリンダは、ゆっくりと一礼し、会場を後にした。


 打ち上げ花火の音が、虚しく響いていた。



 一週間後。


 侯爵邸で開かれた婚約披露パーティー。

 幸せそうな笑顔を見せるキースとエミリー。


 そこへ──


「この度はおめでとうございます、キース様」


 その声に彼は凍りつく。


 ──ベリンダだった。


 彼女は、あの婚約破棄の日から行方不明。特殊な能力を身に付けるために、とある神殿にある特異な空間で修行をしていると噂なっていた。


「何をしに来た?」


「うふふ、お祝いですわ……」


 不気味に微笑むベリンダ。


「盛大に、ご婚約をお祝いいたします。まずは、ご挨拶の一発目を──」


 ベリンダの指が、わずかに動いた。

 

 次の瞬間、キースはお尻に違和感を覚える。


(な、何かが……刺さっている……?)


 理解が追いつく前に──


 パンッパンッパンッパンッ!!

 パンッパンッパンッパンッ!!


 キースの下半身が内側から弾け飛ぶ。


「──ッ!!」


 声にならない叫び。


「きゃああああああっ!!!」


 会場から悲鳴が上がる。


「あ、あ、あが……僕の……足が……下半身が……」


「ひ、ひ……人殺し……人殺しよ!!」


 招待客の一人が叫んだ。


「人殺し……ですか……? ふふ、うふふ……」


 ベリンダが微笑む。


 そして、それは一瞬だった。

 崩壊したキースの肉体が、逆再生のように戻っていく。


 骨が繋がり、血や肉が戻り、皮膚が閉じる。


 数秒後。


 キースは、無傷の姿で床に崩れ落ちていた。


「……な、にを……」


 彼は震える声で尋ねる。


「ご安心くださいませ。壊れても、すぐに元に戻りますわ」


 ベリンダの言葉は穏やかだった。


 キースの顔が恐怖に歪む。


「わたくしは、数日間の修行で二つの力を手に入れました。M字おでこの王子様からは、“好きに爆発物を出現させ、いつでも爆発させられる力”を。緑色の神様からは“どんなものでも元通りに再生する力”を」


 にやりと笑う。


「すべては、キース様……あなたに復讐するために!」


「ひっ……ひぇ……」


 怯えるキース。それを呆然と見つめるエミリー。


「先ほどのは、複数の爆竹。そして、次は──」


 ベリンダの指が動くと、キースは再びお尻に違和感を感じた。


(さっきより、太い……気が……。ま、まさか……これは……)


「ダイナマイトですわ!!」


「やめ──」


 言い終わる前に爆発した。


 ドガーンッ!!


 キースの全身が弾け飛ぶ。

 だが肉体は、すぐに再生する。


 痛みを感じる間もなかった。しかし、恐怖が蓄積していく。


「はあ……はあ……ど、どうして……!?」


「覚えていらっしゃいますか、あの夜のことを? 確か……消えそうなロウソクの炎でしたわね?」


 ベリンダは静かに告げる。


「……わたくし、燃え上がらせることにしましたの、復讐の炎を! そして、火を点けるのです……あなたの導火線に!!」


 彼女が手を上げる。


「では、そろそろフィナーレといたしましょう。あの夜と同じように……」


 次の瞬間、キースは胃に重さを感じた。

 今までとは比較にならないほどの質量、そして圧迫感。


(こ、これは……まさか、打ち上げ花火……?)


「やめろ……やめろぉ……!!」


 キースは腹を抱えながら後ずさる。


「た、助けてくれ! 僕が……僕が悪かった……。本当は、君のことを愛していたんだ! だけど、エミリーが言い寄ってきて……」


 その言葉を聞き、エミリーが口を開く。


「ひ、ひどい! 私のせいでは……!」


「そうですか。キース様、あなたは悪くなかったと……」


 ベリンダが視線をエミリーに向ける。


「ひっ……!」


 彼女は、短い悲鳴を上げ、ガタガタと震え出した。


「そ、そうだ!! すべて、エミリーのせいだ!! こ、コイツが言い寄ってこなければ……」


「なるほど、よく分かりました……」


「だろ!? 分かったなら、助け──」


「あなたが、救うに値しないビチグソ野郎だということが!!」


「へ……?」


「残念ですが、わたくしの力は解除できません。爆発させるしかないのです。うふふ……」


「やめろ、やめてくれ、誰か、だ──」


 ドーン!!


 彼の体内から光が爆ぜた。


 内臓が、骨が、肉が、内側から裂け、血や肉片が飛び散る。


 それらが、まるで夜空に咲く大輪のように見えた。


「きたねぇ花火でしたわ」



 その日以降。


 キースは、人前に姿を現さなくなる。


 恐怖に蝕まれたのだろう。精神が徐々に壊れ、夜ごと、自ら尻に何かを突っ込むようになったという。


 そして彼の存在は、完全に社交界から忘れ去られる。


 また、エミリーも他人の婚約者を奪った令嬢として、誰からも相手にされなくなった。



 一方──


「ご依頼は、婚約破棄の報復でよろしいですか?」


 薄暗い部屋で、ベリンダは静かに問いかける。


 向かいに座るのは、涙をこらえる令嬢。


「……はい」


「承りました。華やかに、爆発させて差し上げますわ」


 ベリンダは、裏切られた令嬢たちのために、復讐代行業を始めていた。


 そして、今日もどこかで、“きたねぇ花火”が打ち上げられるのだ。

爆竹は現実のものよりも破壊力が強いものを、打ち上げ花火は10号玉くらいのものを、それぞれイメージしています。


最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
フ〇ーザ様なら、きっとキレイな花火のやり方を教えてくれたでしょうに(笑) ……惑星ごと。 あと、緑色の神様って、デンデですよね。
ベ◯ータ様とピ◯コロさんに師事したなら仕方ない・・
汚ねぇ花火、堪能いたしました(笑) ジャンルはコメディーでいいと思うんですけど。笑える要素しかないですよね、ケツ穴ダイナマイト! もう一段階華やかに、ロケット燃料で人体打ち上げとか逝っちゃっても良…
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