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妖々蛇道  作者: 館内放送
一章 学内失踪事件
1/1

前日譚 暴食ヲ知ッタ少女

 それは、恐らく『蛇』であった。

 断定できないのは、それが姿形を持っていなかったからだ。ただあたりを這える音と、移動して土に刻まれた鱗。前に家の周りで見た、母が教えてくれたから、だから私はそれが『蛇』であったのだと、そう考えたのだ。


 ──死にたくないと、思った。

 

 それは、恐らく『欲』であった。

 『欲』。嫉妬、怠惰、傲慢、強欲、憤怒、色欲──暴食。そう、飢えていたのだ。飢えて、腹が減って、飢餓であった。だから、私は食べたいと『欲』をだした。そんな私を周りの大人が私を餓鬼だと言っていたが、そうであろう。まあ、鬼ではなかったと思うが。私はそう、『思った』のだ。


 ──生きたいと、願った。


 それは、恐らく『本能』であった。

 わからない。この先生きていてなにかいいことがあるとか、なにかしたいからとか、そんなのはない。でも、この道を外すのが怖い、わからない感情がそう告げていた。だから、ただ、ひたすら、なぜか、生きたかったのだ。私はそう、『願った』のだ。


 ──満たされることを、望んだ。


 それは、恐らく『求』であった。

 なにかが足りない、何かが満ちていない、何かが足りていない。それが何かわらなかった。でも、それでも、私は明確に『求めた』のだ。


 目の前で、人が死ぬということを見た。

 いや、その時の私はきっと死ぬとか、生きるとか、理解できていなかっただろう。生き物が動かなくなることを知ってはいたが、『死』を正しく知っている人間などいないし、『死』を知らない人間が『生』を知ることもまたない。だから私はあの時に誰かが死ぬとか、理解していなかった。

 けれど、生き物が動かなくなることは知っていたのだ。

 だから私は母がそう成ってしまった時、もう母には会えないのだと、心のどこかで理解していた。

 そして、私はそうは成りたくないとも、確かに思ったのだ。


 

* 



 くらい。つらい。……おなかが、すいた。

 

 ──■■■■?


 わからない。あなたの言葉が、わたしにはわからない。


 ──■や、■ま■■。


 なに? あなたは、なんなの? ──わたしに、何をもとめてるの?


 ──■■■みを、■て■ない■?


 やめて。もう。わからないから。やめてよ。


 ────食べたい?


 ──食べて、食べ尽くして、ただ食べたくて、食べたい?


 あ。


 ──喰べたいと、そう思っただろう?


 ──そう願っただろう? そう望んだだろう?


 たべ、たい。

 たべて、たべて、たべて、たべて、たべて、たべて、たべてたべて、たべて、たべて、たべて、たべて、たべて、たべてたべて、たべて、たべて、たべて、たべて、たべて、たべて──喰べたい。

 

 ──じゃ■、頂■■。


 ──対価を、代■を、■償を、■■


 なに? 

 ……? 急に、くらくなった?


 ──貴■■右目■を、贄に。


 

 ──「い■だ■■す」■、忘■■い■。

 






 






 

 おなかが、すいた。

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