3many deep〜少女に機械せし有雪舞踏会〜
日本 北海道 中川
令和七年 夏 朝
ホームに停車中の特急の車内はガラガラ。と、アナウンスが流れて数分後、声をかけられた。話を聞いてもらえますか? と、十代後半の少女は沈んだ調子で言った。
「どうして私? 同性のほうがいい気が」
「やり切った顔をしているから」
ウザいな。「……まぁ良いよ」隣どうぞ、と私は付け加えた。
「時間がないんです」と、少女は手首を見せた。うん綺麗だ。私は溜息をついた。
「やめなさい」と、私は立つ「降りてジュースでも飲まない? お互いリフレッシュしよう。――ああ、車掌に聞くよ」
私達は駅前に出る。と、私は笑った。どうしました? と少女。
「誰もいないなって。田舎らしい。でもこれも好きだけど」
「好き?」
「この景色もさ。キミはどう?」
「――よく分かりません」
「いずれ分かるよ。どこにいても。――そう。『ノスタルジー』だ」
「……私はキミのように思い出すことは……」
数週間後の朝、特急は道北の名寄に着いた。“今年は”――と、ふと予想しながら発車を待っていると、声をかけられた。前に列車で会った少女だ。
私は、「久しぶり。――また何か、いや、まだかな?」と、アナウンスが流れた「――前と同じ原因だね。そうだ、歩かないか? リフレッシュ。どう? ――そう、この街もね」
しばらくして、少女は立ち止まった。
「苦しい……もう耐えられない……」と、少女は泣きそうな声で言う「たまらない……助けて……」
「キミは綺麗だよ」私はなにげなく言った。
「えっ……?」
「見なくても分かる。綺麗だ。少なくとも、停車理由よりはね。キミは強い。ノスタルジーを感じろ」
「ノスタルジー……?」
「ボクに救われたくて話しかけたんだろう? 前。ならボクのようになれば救われるだろ?」
「……はい」と、少女は微笑した「――旅がしたいです。キミと」
「――行くよ」
二週間後の昼、私達は道北の智恵文駅のホームで列車を待っていた。と、私に着信。やがて切ると、「――いや、付き合いだよ」と、少女に話した。
「待ってます」
私は苦笑した。「始まらないよ? ノスタルジー。やはり」
「試します。――『千年』? あっ、平気です」
私はふっと笑った。「だろうね」
「お土産は――」
「お土産?」
「正解したから」
私は苦笑した。
〈了〉




