やみあいⅡ
やみあいの二次小説です。「やみあい」と「やみあや」が分からない人には意味がわからないです。
「ジリリリリリリリリ…」
なんだろう不思議な夢を見ていた気がする。暗い中で、1人でいて正面に誰かいるのに何も違和感を感じない夢。
あれ?なんで夏休みなのに目覚ましが鳴ってるんだろう。そうだ、今日は友達と遊びに行く約束してたんだ。急いで準備して出かけなくちゃ。
「あいーーーーー!!」
名前を呼ばれて駅前にいた私はそっちのほうを向いた。友達が待ち合わせに5分遅れてやってきたのだ。
「ごめん、ごめんちょっと遅れちゃった。」
「まったく、今日はアヤのおごりね。」
「えー、そんなひどいよーだって今日の朝……」
いつも通りの会話をして私たちは、待ち合わせをした。
「今日はどうする?」
喫茶店に入った私とアヤは今日何をするか話し合っていた。
「アヤはどうしたい?」
いかにもパフェを食べている女子って感じのアヤに私は聞き返した。
「んー、買い物はこの間ほとんどお店まわっちゃったし、今日はこの間言ってた映画でも見に行かない?」
「いいよ、ある二人の男が1つの体で協力して姫を助ける映画だっけ?」
「ちがうちがう今日見るのはファーストフード店の話よ」
映画館についた私たちは、チケットを買って中に入って始まるのを待っていた。
少しずつ暗くなるにつれて私はなぜか不安になっていた。
そして真っ暗になった瞬間私の意識は確かになくなっていた。
「…い!あい! あい!」
「ん?アヤどうしたの」
「どうしたじゃないよ?映画終わってからずっと動こうとしないし、次の映画始まっちゃうよ」
「え、うそ!」
「いいから、とりあえず出ようよ」
「うん」
私たちは急いで、映画館を出た。
まだ意味がわからない私はアヤに質問した。
「私、映画の途中で寝てた?」
そうだ、きっと寝てしまったんだ。そう思った私はアヤに尋ねたが返ってきたのは、予想外の答えだった。
「何いってんの!ずっと見てたじゃん」
「うそ!だって私意識がなかったもの!」
「そんなわけないよ、」
「見てない」
「どんどん社員をやとったのは?」
「見てない」
「うさぎの社員を雇ったのは?」
「見てない」
「それじゃ、ほとんど見てないじゃない」
「だから言ってるじゃない、私は初めから意識がなかったの!」
「そんなわけないわ!だって映画始まってからあいニヤニヤしながら周りを見てたじゃない」
その言葉を聞いてから私は急に怖くなった。その映画を見てるのが私じゃない私のような気がして。
青ざめた私を見てアヤは私を心配してくれたのか
「大丈夫~?夏バテでもしてるんじゃない?今日はもう、あいの家で遊ぼうか?」
と提案してくれた。
わたしは、これ以上外にいる気分でもなくなってのでアヤの提案に素直に乗った。
それから私とアヤは私の家で楽しく遊んでいた。
そう…あの時が来るまでは
アヤは私の体を心配してか、それとも私が今日作ると言っていたお手製ジャム豆腐とつけ麺を食べたかっただけなのか9時くらいまで家にいてくれた。
アヤがそろそろ帰ろうかと言った瞬間にその時は来た。
ブツン…
突然真っ暗になった。そう、停電したのだ。
その瞬間私の中の何かが動きだす気がした。私は、それが怖くてしょうがなかったが、叫ぶしかできなかった。
「いや、いや、いや」
「どうしたの?どうしたの、あい!!」
「いや、いや、いや、いや、いやーーーー」
「あい!!あい!!」
「ヴォ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」
「なに?どうしたのあい?あい!!」
あいが叫んだ瞬間わたしは嫌な予感がして携帯のライトであいを見た。
その表情は、私が見たことのないあいの表情でさっきの声と合わせて私を恐怖させるのに十分だった。
私のほうを向いたあいが私は怖くて怖くてしょうがなかった。
後ずさって私はベッドの方に逃げてきた。
「あい!!あい!!あいだよね」
無言で近づいてくるあいに、私は手元にあった枕を投げつけて言った。
「あんた一体誰なのよ!!!!」
そこで私が聞いたことのないような声であいだったものは、しゃべった。
「わたしは、 やみ あい」バリバリバリバリ!!!!!!!!
そうしゃべった瞬間に投げつけた枕はそいつに二つに引きちぎられた。
「わたしは暗闇でだけ存在できる、昨日のあいの夢の中で生まれたもう一人のあい」
「悪いが私の存在を知られたからには死んでもらう」
やみあいと名乗るあいは、私に近づいてきた。
わたしは、腰が抜けて立ち上がることさえもできずに、ただ後ずさることしかできなかった。
藁にもすがる思いでわたしは、助けを求めた。
「お願い誰か助けて!!誰でもいいから助けて!!!!」
しかし無情にもやみあいはアヤに近づき首に手をを掛けようとしていた。
「助けて!!助けて!!!助けて!!!!助けて!!!!!…」
もうアヤにはそうつぶやくしかなかった。
「死ね」
やみあいがそう言い放ち私の首を絞めようとした瞬間、
(助けてほしいの?なら仕方ない私が出ましょう)
そう聞こえた。
「ヴォ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」
「わたしは 闇 アヤ」
アヤの口調が変わり雰囲気も今までと変わっていた。
「普段はアヤのために隠れているんだけど、この非常事態だしょうがないわね」
「やっと出てきたか」
やみあいはニヤリとして言った。
「やはり私が目的なのね。あなたには悪いんだけど、悪いけどアヤは殺させないわ」
それに対して闇アヤは落ち着いた様子で答えた。
闇アヤは続けた。
「あなたは、自分自身が本物だと思っているのだろうけど、あなたは私の偽りの存在なのよ」
「!?」
「自分でも分かってたみたいね」
闇アヤは少し悲しそうに言った
「そんなはずがない私は本物だ!!。私は私なんだ!!そのために貴様を殺して私は本物になる」
やみあいは叫んだ。
しかし、その叫びに力はまるでなく泣いている少女のようだった。
「あなたは、本物よ」
やみあいが叫んだあと闇アヤはそう言った。
それを聞いた闇あいは
「ふざけるな!憐みなんていらない!!!」
やみあいは再び叫んだ。
「いいえ、あなたは私の偽物であり、あなたはあなた自身という本物なのよ。わたしとあなたが同時に存在しているということが、その証明よ。それにあなたを本物と信じている人もあなたが知らないだけでたくさんいるのよ」
闇アヤは、やみあいに向け目をそらさず正面から言った。
「そんなこと言われても急に信じられるわけがない!!……くそ、興が覚めた今回はやめにする」
やみあいは動揺して叫んだが、尻すぼみにつぶやいた。
「しかし、必ずお前を殺すからな。」
そう捨て台詞をはいて暗い雰囲気が消えそうになった。
消える闇あいに向けて闇アヤは言った。
「私はあなたを妹のように思ってるからね。………あいちゃん」
「…………」
やみあいはそのあと何も言わなかったが、闇アヤにはやみあいが少し微笑んだほうに見えた。
「じゃあ私も消えるかな」
そう言って闇アヤの雰囲気も変わっていった。
二人の意識が戻った瞬間停電も戻っていた。
あいは、何も覚えてなかったし、アヤも途中から記憶がないのであいに聞くこともできなかった。
その後ふたりは、何事もなかったように楽しく過ごした。
これからどうなるのかは、誰も知らない。
「ねえ、あい」
「なに、あや?」
「正直ジャム豆腐はないわよ」
続く?
読んでくださりありがとうございました。