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暑さが収まりますように。
てか地球温暖化が収束しますように。
久しぶりの王都帰還。
のんびりした気持ちが引きしまる。
到着の翌日にはさっそく神殿に出仕。
「聖女様のお帰りを心待ちにしておりました」
神殿女官たちが出迎えてくれる。
「何か変わりはありましたか? 問題などは」
「そうですね、第二王子の立太式が無事に執り行われました。聖女様のご尽力で、政治面の勢力争いも特に起きておりません」
「良かったわ、私が出席しないせいで反第二王子派と見られたらたまりませんもの」
第二王子は側妃の息子だ。
王妃に立太式の時期に王都を空けろと言われた時には悩んだが、手回しはしておいた。
祝辞とかプレゼントとか。聖女としてはできるだけ中立の立場を取りたい。
「神殿の被害は増えなかったかしら」
「はい、今のところは第一王子派だったペッパー卿が失脚したくらいです」
情報を収集し祈りの間で暑さの収束を祈る。
「それと‥こちらなのですが」
王都周辺の民からの陳情を確認していると、女官が手紙をさし出してきた。
「義妹様からのようです‥」
(あら、私ったらすっかりあの子のこと忘れていたわ)
ぱらりと開く。
『お義姉さまわたくしが悪うございました反省しておりますどうかどうかお屋敷に戻る許可を水汲みなんてわたくしがする仕事じゃありませんわ食事だってほとんど野菜でお肉は週に一度ですの味も薄いしこんな場所一日たりともいたくありませんわこんなに謝っているのですからどうかお許しを‥』
手紙はえんえんと続くが全部読む気は起きなかった。
日付を見ると、休暇に出かける前だ。
あの神殿は僻地過ぎて、手紙が届くにも時間がかかる。
(神殿にこもらせてから‥一か月ちょっとじゃない)
さすがにその程度で音を上げて欲しくないわ。
屋敷に戻ってから私は返事を書く。
『もしあなたが正式に三年間の修業を終えましたら、帰省を許し良縁も整えましょう』
きちんと休みを取った私、随分丸くなったようね。
『しかし、その前に神殿から逃げ出したら、あなたは罪人となってしまいます』
刑罰の代わりに修行しているだけだからね。
収監を免れるためにボランティアに参加している囚人が逃げ出したら、強制収監されてしまう。
『一生王都に戻れず、貴族にも戻れないことを覚悟するのなら、そこから逃げれば良いのではないかしら。あ、食事改善のために栄養たっぷりの豆を一石ほど差し入れするわ。塩一袋と油一壺もおまけするわね』
ちゃんと対案を教えてあげて差し入れまでするなんて、私優しいお義姉ちゃんになれたみたい☆
優しいお義姉ちゃんとは?
補足 野菜は庶民の食べ物です。この世界の神殿は肉食もOKですが、僻地の神殿は予算が少ないのでほぼ菜食。
そして野菜をおいしく食べる発想が乏しいので、日本の精進料理よりずっとマズイです。
頑張れマルガリッタ!




