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7つの願い  作者: yamico
13/26

ep.13

次から次へとやってきた怪我人が来なくなった。

おじいさんは治癒魔法を使いすぎて、ぐったりしていた。

「ビル先生!魔力回復薬です!」

飲むと少し元気になっていた。

「ソラはなんともありませんか?」

「うん。私の魔法はほとんど魔力を使わないみたい。」

おじいさんはまた私の体を確かめた。

目の色や口の中も見た。

「くすぐったいよ。」

私がクスクス笑うと、おじいさん安心したようで深く息を吐いた。

「ここも落ち着いたし、ブウのところへ戻りましょうかね。」


何かあったらまた呼んでと言って私たちはおばあさんの元に戻った。

おばあさんは杖で水を出してみんなに配っていた。

「ただいま!」

「落ち着いたかね?お疲れさまじゃったね。」


おばあさんも水を配るのが終わり、三人で洞窟の壁にもたれて座った。

「忙しかったね。」

「そうじゃね。緊急事態じゃったね。」

「ソラは大活躍でしたよ。それでソラ、あの黒いものの正体はなんでしたかね?」

「あのね、多分ね、闇魔法の関係の何かだと思う。直感的にアレを吸い取れるってわかったの。」

「ほお…闇魔法の…」


沈黙が流れた。

おばあさんは観念したように話し始めた。

「闇魔法のことじゃが、知らないといったがアレは魔王が使う魔法なんじゃ。」

「魔王が?」

「今から10年くらい前かね、魔王が世界を滅ぼしかけてな。3年以上、人間たちは魔王と戦ったんじゃ。それこそ毎日が今日みたいなものでな。」

「そんなに長く?!大変だったんだね。」

「ある日、光魔法を使える者が現れてな。羽の生えた美しい人だった。その人が現れた途端に魔王は消え去ったんじゃ。」

「死んじゃったのかな?」

「わからん。それから今まで平和に過ごせていたってわけなのさ。」

「隠れていただけなのか、別の魔王が現れたのか。とにかくこの世界にはわからないことが多いのですよ。」

おじいさんもおばあさんも疲れていて、悲しそうだった。


「私が闇魔法の属性を持っているから、あの怪物は私が魔王だと思ったの?」

「そうかもしれないと私たちは考えていた。ひどい話ですがね。」


私が魔王だなんて、そんなわけがない。

本当にひどい話だ。


「もちろんソラが魔王だなんて思っちゃいないよ。しかし闇魔法繋がりで悪いやつに目をつけられてしまった。それが悲しくてな。」

「うん。なんだかごめんね。」

「おまえさんが謝ることなんて一つもないさ!」


私はおばあさんに抱きついた。

「大丈夫じゃよ。わしが命にかえてでも守ってやるさ。」

「ダメだよ。私のために誰かが死んでしまったら私も死にたくなっちゃうよ。」

「そうじゃね、みんなでなんとか切り抜けような。」

おばあさんは優しく私の頭を撫でてくれた。


そこにマキナさんがやってきた。

「みんな無事でしたね!よかったです!」

マキナさんはボロボロだった。

おじいさんはすぐにマキナさんに治癒魔法をかけた。

「お父さん、ありがとうございます。」

マキナさんはおばあさんの横に座り、おばあさんにもたれかかった。

「少しだけ、こうさせてください。」

そう言うマキナさんをおばあさんは優しく迎え入れ、頭を撫でた。


「よく頑張ったね。えらかったよ、マキナ。」


「うん。」

マキナさんはそう言うと一筋だけ涙を流した。


────


魔王軍は撤退したが城は崩壊したと伝令があった。

マキナさんは5分くらい休むとすぐにいなくなってしまっていた。


この洞窟も安全じゃないかもしれないと言われた。

避難する場所がある人は各自向かうようにと言われた。

でもここがどこかもわからない。


『地図アプリがあるでしょ。』

久しぶりにマユちゃんが出てきた。

「マユちゃん!元気になった?」

『うん、ごめんね。私もソラが魔王なんじゃないかって怖くなっていたの。』

「えぇー?そんなわけないでしょ!」

『うん、人を助けているのを見て、絶対に違うって確信したわ。疑ってごめんね!』

「ううん。怖がらせちゃってごめんね。」


私は地図アプリを開いた。

ここはどうやら村からも王都からも離れている場所だった。

地図上では山になっている。

山にある洞窟なんだろう。

拡大すると洞窟内の地図が現れた。

どうやら先に進むと廃村があるらしい。


「この廃村に向かってみましょうかね?」

おじいさんはスマホを覗き込んでそう言った。

「わしは暗いところが嫌いじゃ。外に出られるならどこでもいいぞ。」


そうして私たちは廃村に向けて洞窟を進んだ。


────


歩きながら私は机の引き出しに入れたままのノートを思い出した。

「おばあちゃん、召喚魔法を使ってもいい?」

「あぁ、もういいよ。」


私はノートを召喚した。

2ページ目にはこう書かれている。


『だれかをたすける人になりたい』


おじいさんはノートを覗いた。

「達成しましたですな。」

私はおじいさんを見てニッコリ笑った。


ノートはポシェットに入れた。

私は少しずつだけれども、なりたい人になれている気がした。

なんだかちょっぴり嬉しかった。


30分ほど歩くと外に出た。

ちょうど朝日が昇っていた。


少し先に建物が見える。

廃村と地図には書かれていたけれど、それほどひどく荒れてはいなかった。

私たちは、まともそうな建物を探した。


「ここが1番いいかもしれませんね。」

そこはどうやら病院跡だった。

待合室やら診療室という看板がついている。


中は椅子やテーブルがそのままになっていた。

おじいさんはまた杖をひとふりして掃除してくれた。

簡易的だがベッドもたくさんあった。

おじいさんと協力しておばあさんは残っているシーツや毛布を洗濯した。

おじいさんの風魔法と火魔法を合体した熱風ですぐに乾いた。

一瞬で清潔な寝室が出来上がった。


「また私を迎えにくるのかな。」

私はベッドに横になってそう二人に聞いてみた。

「どうかね?うちに来たあの化け物はマキナが倒したと聞いたよ。」

「マキナさんは本当に強いね!かっこいい!」

「うん、あの子は自慢のカッコイイ娘じゃ。」

おばあさんの言葉を聞いておじいさんはクスクスと笑っていた。


「パン屋さんに戻れるかな?」

「私の魔力が完全に回復したら飛んで帰りましょうね。」

「やったー!」

「さぁ、少し眠るよ!疲れすぎたし、眠すぎるわ!」


そして私たちは日が昇る時間に眠りについた。

徹夜で避難生活をしていてクタクタだった。


────


いいにおいがして目が覚めた。

外を見るともう夕方になっていた。


おじいさんとおばあさんで料理をしていた。

どこからか鍋をみつけてきたようで、スープを作っていた。

「マユが食材をくれたんじゃ。便利じゃのぉ。」


優しい味のスープだった。

そしてパンではなく、おにぎりを出してくれていた。

「この黒い紙に包まれた白いものが食えると?」

「すっっごくおいしいよ!!!」

私は喜んで頬張った。

お米を食べるのは何年ぶりだろうか。

二人も恐る恐る食べていた。

「ほぉ、これはこれはなかなかなものですな。」

「中に魚が入っとるのか?うん、うまいじゃないか。」

二人とも美味しそうに食べていた。

「マユちゃんありがとうね!」

『がんばったご褒美よ!』


お腹いっぱいになった私たちは帰ることにした。

どこにいてもみつかるなら好きな場所にいたいと、おばあさんは言った。


おじいさんは私たちを両手に抱きかかえて空へと飛び立った。

「重くない?」

「風魔法のおかげで全然気になりませんよ。飛んでいかないように押さえているだけですから。」

「風魔法って便利ね。」


空の上から見る夕日は格別だった。

ついさっきまで地獄のような景色を見ていたのに。


────


おばあさんの家は無事だった。

しかしおじいさんの家は壊されていた。

と言うか、村ごとひどい惨状になっていた。


おじいさんとおばあさんは悲しい顔をして、逃げ遅れたと思われる瓦礫の下敷きになった人たちをきれいな毛布の上に集めた。

空はもう真っ暗になっていた。

それでも二人は無言で人を探した。

おばあさんはうまく瓦礫を空き地に山にした。

おじいさんも風魔法で瓦礫を飛ばした。


13人の遺体がみつかった。

その誰もがパン屋のお客様だった。

おじいさんはみんなをキレイにしてあげた。

そして燃やした。

真っ暗な中、赤々と火は燃え盛り、黒い煙を吐き出した。


────


「ソラは死が怖くないのかい?」

おばあさんは家に戻り私をお風呂にいれてくれていた。

「怖くないよ。生まれたってことと死ぬことはセットだからね。みんなに平等に訪れるものだよ。」

「そうか、そうじゃな。」


おばあさんは珍しく私の頭を洗ってくれた。

「このシャンプーというやつは本当にいいものじゃな。マユは本当にいい仕事をしおる。」

「私もこのにおい好き!」

私はごきげんだった。

いやなことがいっぱいあったけど、なんだかリセットされた気がした。

「おばあちゃんも大好き!」

おばあさんは照れたようで私にお湯をジャージャーかけた。

「ほら、おしまいじゃ!」


────


おじいさんが一緒に住むことになって、私はおばあさんの部屋に移動した。

おばあさんのベッドの横に新しいベッドをおじいさんが作ってくれた。

三人で暮らしたいとずっと思っていたからすごく嬉しかった。


しかし現実は甘くなくて、畑の小麦は全滅していた。

辺りは真っ黒になっていた。

私はあの時のように杖で真っ黒を吸い取った。

広くてすぐには終わらなかったけれど、私は諦めずにがんばった。

おばあさんの小麦畑は絶対に復活させないといけない。


半日かけて私は真っ黒をやっつけた。

おばあさんは私の服をめくって私が黒くなっていないか確かめた。


「なんともないってば!」

「変じゃね、真っ黒いやつはどこに消えちまったのかね?」

おじいさんは一連の様子を見ていて、ハッとして飛び上がった。


「ソラ!お前のは、闇魔法じゃないかもしれませんぞ!」

「えっ?」

私たちはおじいさんの顔をみつめた。


「水晶に映ったあの黒い雲は闇魔法に似ているが全く反対のものかもしれないということです。その証拠が黒いものを吸う魔法ですね。スマホを確かめてくださいな!」


そう言えば初めてあの黒いやつを吸い取ったときにスマホが鳴っていたかもしれない。

私はドキドキしながらスマホを手に取った。


そこには、


【闇を統べる者(全能)のスキルを習得】


と書かれていた。

全く意味がわからなかった。


────


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