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アクシデント

随川夫婦の眼差しと、黒沢夫婦の問いかけに構わず、朝田夫婦は随川家から出た。

「朝田、随川夫婦に教えてはいけない真相ってこと?」

「まぁな。」

「兄さんにも、宮野さんにも?」

「ダメ。」

「うん...じゃあ光は?」

「僕と勝負するでしょ?教えたらどうする。それに、情報については全部平等なはずだよ。」

「でも殺人事件って...友夏理さんの行方不明と殺人事件の関係性、いまいちわからないんだけど。」

「情報はある。大事なのは観察と記憶、そしてどうやって繋ぐなだけさ。」

「でも...!」

「運転お願い。」

「義孝。綿には考えがあって、それは今言えないことなんだと思うから、ごめんね。」

「...もう、わかったよ。」


綿の指示通り、駅を通過したあと、義孝は車を近くの公園に停まった。

「義孝、宮野たちの会社がどこにあるの?」

「真っ直ぐ行って、三つ目の信号で左に曲がって二軒目。」

「じゃあ、ここから歩いて行こうか。」

綿は速やかに車を降りて、やなを迎えに行った。

「え...!ちょっと!」

義孝もすぐ降りて、二人のところに来た。

「義孝、ここら辺に詳しいかい?」

「まぁね。兄さんに用があるときに来るし、たまに手伝ったりもする。」

「なるほど。」

「この公園がここら辺で唯一の公園なので、よく年寄りの方や、ペットの散歩をしにきた飼い主たちを見かける。子供もここで遊ぶけど、大通りに近いから、保護者たちから見れば結構危ないかも。」

「確かに。」

「もう少し先...あ、見えた?あの『solo per te』とっても美味しいイタリアン料理があるんだよ。」

「君のためだけに...いい名前だな。」

「カスタマイズの料理ができるのが、そのお店の特徴なんだ。美味しさはもちろん。」

「へぇ...あれ、この信号二つ目?」

「そう。ここを渡って、あそこの幼稚園を通りかかって、左に曲がれば宮野企業なんだ。」

「よし、帰ろ。」

「え...?朝田、宮野企業に行くんじゃないの?」

「この道を歩いてみたかっただけで、別にそこに挨拶するつもりも義理もない。」


「待って、綿。」

ずっと黙り込んで、綿の隣に歩いていたやなは突然口を出した。

「騒がしい音。あの幼稚園に何かあったかも。」

「そう?じゃあ行ってみようか。」

横断歩道を渡って、幼稚園の前についた三人だが、そのうちの二人が思わず足をとめた。

これ以上進むと、真っ赤な血液に踏めるから。

「これは血の匂い...!綿!」

「わかってる!」

やなの叫びより早く、綿は早速幼稚園内に入った。

血痕を辿って、綿はひとつの教室に駆けつけた。

中には数名の教師と、一人の看護士、そして横になっている女の子。

看護士の手元には注射器があって、女の子に痛み止めや止血効果がある薬を注射する様子だった。

「あなたは...?」

「やめろ...!」

教師の質問を無視して、綿は看護士に飛び付き、注射器を奪おうとした。

「君なにを...!私は人を助けているんですよ!」

「嘘つけ!これ以上殺させない!」


綿の次に、義孝に導かれながら、やなも現場に駆けつけた。

「...!呼吸の音がおかしい!」

「やな!電気ショック!」

「わかった!義孝!救急車を呼んで、そして誰かを指定して、AEDを持ってくるように!早く!」

一人の教師がAEDを取りに行くと同時に、やなも女の子の隣に座り、指先の感触と義孝の視覚情報により女の子の現状を確認した。

AEDをもらったあと、やなは速やかに操作し始め、電気ショックの確認と実行のあと、すぐCPRを始めた。

目が見えなくなったとしても、人の命を救うことができると、そう示しているような背中だった。

「やな、どう?」

看護士を押さえながら、綿はやなに問いかけた。

「...暫くは大丈夫みたいだ!」

「よし!」

「救急車は?」

やなは顔を上げて周囲に問いかける。

「さっき呼んだ。」

「よかった。ありがとう、義孝。この女の子に何があったんですか?何かにぶつかれたのですか?」

「はい、関ちゃんは横断歩道で交通事故に遭ってしまって。」

「交通事故...!相手は?」

「その看護士さんですが...」


「大人しくなろ!」

看護士をおさえた綿は、彼女の手足を縛り、逃げないように固定した。

「やな...」

「どっちにせよ、警察に連絡しないとね。」

「...わかった。佐藤に連絡しとく。」

その番号に電話をかけたら、間もなく徹の声が出た。

「もしもし?」

「朝田だ。今宮野企業の近くにいて、交通事故に遭った子を助け、今は救急車を待っているところ。」

「さっき連絡が来た。部下の桜内を向かわせた。」

「運転手もここにいる。例の随川友夏理、行方不明になった人だ。」

綿は少しためらったか、一息を吐いてから続きを語りつけた。

「看護士の事件も、電車の事件も、この随川がやったことだ。」

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