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2-10 最後の一歩

「厄介だね...」

今警察側にとって一番信頼できるのが、灰野波彩や灰野乃瑠みたいな、事件に関係のない人たち。

そんな人まで信じれないなら、この「灰野乃瑠」の身分を、誰に証明してもらえればいいのだろうか。

「こんなことで悩むなんて、解決できそうにないね。」

「...わかってるよ。灰野乃瑠の身分を証明するなら、あの人が一番役に立つだろうが...」

「どこにいるのかわからない?それはそうだろう。」

綿はふと笑った。

「彼が『現場』に戻ってきたから。」


「戻った...?」

徹は理解できなかった。

白土由起夫を見つけたい考えを、綿はすでに察しただろう。

しかしその「白土由起夫」は、裏門から出たあと、まるで消えたのように、まったく見つからなかった。

なのに綿が、戻ってきたと言った?

「警察に偽装したのでしょうか?私を見た人たちの中には、彼だけ驚きませんでした。」

「死体を確認したからね。君が死者じゃないと知っている。」

綿と夜那の会話から、徹は一つ気付いた。

白土由起夫が警察を偽装していること。

「...!桜内!警察を偽装した白土由起夫を確保しろ!」

「待って、それは違う。」

「どこが...?」

綿が笑って語った言葉は、徹を推理をリセットした。

「白土由起夫ではない。白柳恵弦だ。」


桜内が白柳恵弦を連れてくるまでの間、徹は綿をただ見つめていた。

手がかりなら、綿より多くもらっているはずだし、資源も決して負けていない。

それなのに、綿にはすでに真実が見えてきた。

「気にするな。運がよかっただけ。」

「慣れたつもりだが、お前の『運』は本当に羨ましいな。」

「そう言うな。ところで、さっきも言ったように、事件の真相まであと一歩足りない。」

「一歩...?」

「乗務員の灰野乃瑠は、一体誰だ?」

そして、綿が言うところの最後の一歩は、白柳恵弦が埋めた。

「黒須時雪の姉、黒須時夜です。」


事件解決をするために、綿とやな、徹はお互いの情報を交換した。

「朝田、一つ聞きたいことがある。黒須を殺したのは白柳じゃないよな?」

「間違いない。」

「...黒駒か?」

「ほう...どうしてそう思う?」

「黒須を殺せる容疑者は三人くらい。白柳、白土、そして黒駒。」

「うん、合理的だな。」

「最初に疑ったのは白土由起夫。何せ彼は、肝心なタイミングで裏門から逃げたんだ。

「しかし、あの二人の身分を知った今、白土は逃げなかったところが、白柳だと名乗った。つまり、白柳を庇おうとした彼は、犯人ではない。」

「ふむ...白柳と黒駒は?」

「白柳は、来客がある日に犯罪しないと思う。」

「ちょっと詰めが甘いね。」

綿はやなの方を見た。彼女が得た情報次第はそう多くないが、綿と徹の会話を聞いているうちに、彼女も何かを掴めるはず。


「私を誘拐しようとしたのは、灰野乃瑠でしょう。」

徹と違って、やなは自分が巻き込まれた列車殺人事件から分析し始めた。

「そしてその死者もまた、灰野乃瑠です。」

「理由は?」

「最初から私を誘拐しようとした、すなわち私の着席を手伝ってくれたのが時夜さんでしたら、私を生かしたことで、乗務員が怪しいという証言が出てくる可能性も想定できるでしょう。

「なのに私は殺されず、普通の席に座らせただけです。つまり、私を誘拐しようとしたのは時夜さんではなく、私を手伝った乃瑠さんです。

「そして今、私を誘拐しようとした乃瑠さんが行方不明となり、時夜さんが乃瑠さんだと名乗っています。となると、死者の身分や、なぜトイレを密室にすることができるのかも、一目瞭然でしょう。」

やなははっきりと語った。

「私を偽装するつもりだった乃瑠さんを殺し、トイレに死体を置いて、そして彼女だと名乗ったのが、黒須時夜さんです。」


「時夜さんが乃瑠さんを殺した理由は、黒須時雪教授の死亡と関係あるのでしょう。

「そもそも乃瑠さんが私を誘拐しようとしたことも、綿の来訪に関係している可能性が高いです。

「どちらにせよ、乃瑠さんは黒須教授の死亡と関係があります。

「しかし乃瑠さんは乗務員、彼女が犯人の可能性は極めて低いし、アリバイもあるのでしょう。

「そこで、共通点である灰野波彩さんの登場です。

「波彩さんは黒須教授の事件に関わっています。しかし、職員である彼女が黒須教授を殺したことは考えにくいです。動機がありません。

「もし波彩さんが共犯者だとしたら、主犯は誰でしょうか?

「紗穂さんの証言には、何度も波彩さんの話をしました。そして波彩さんも彼女が無罪だと証言しています。

「とすると、紗穂さんが怪しくなります。」

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