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2-7 今までの支え

黒駒紗穂、死体を見つけた二人目として、事件の解決に大きく影響する人物である。

したがって、徹は紗穂の証言を、かなり慎重に扱っています。

「白柳教授は普段、どんな感じでしょうか?」

「白柳先生の研究方向は、そもそもこちらと違っています。なので、私も彼とそれほど話をしたことはありませんでした。性格なら少しだけ話せると思いますが、大丈夫ですか?」

「問題ありません。」

「はい。私も黒須先生も、朝早く研究室に来るタイプですが、白柳先生はよく業界の方と交流していますので、いつも昼頃か、それ以降に実験所に来ます。」

「今日も、昼頃に来ましたよね?」

「はい。なので、私が白柳先生に会ったのも、大抵休憩時間や、帰り道の頃でした。白柳先生はよく私たちの研究進捗を聞いていますが、先生たち仲悪くないので、黒須先生も気にしていないみたいです。」

「しかし、君たちがやっている研究は全く違う方向ですよね?白柳教授はそちらの研究を理解できます?」

「技術なら問題ありません。むしろ、白柳先生からよく実験のテクニックを教わったりします。」

「熱心な方なんですね。」

紗穂は苦笑いして、うなずいた。

徹は少し戸惑ったが、すぐに気付いた。

紗穂が、白柳教授を責めた自分を思い出したんだろうと。

「白柳先生の話はこれくらいだけです。学生なので、先生の研究に聞くことはできませんから。」

「そうですね。では、今日はここまでにしよう。君もゆっくり休まないと。」

「ありがとうございます。」

紗穂は立ち上がり、徹にお辞儀をしたあと、部屋から離れた。


「桜内、この建物内の監視カメラ映像を見せてくれ。」

「それが...」

「何か不都合でも?」

裏門の監視カメラを見て、紗穗と波彩に確認してもらって、それが白土由起夫だと、そんな証言があったはず。

だとしたら、監視カメラがいるはずでは?

「監視カメラはありますが、正門と裏門、二つだけです。」

「...!?二つだけ?」

「はい。なので、ビルに入った人と、離れた人しか把握できません...」

徹は無力に座っていた。

こんなに難しい事件って、いつぶりだっけ?

クリスマスの事件より...

「くそ野郎が容疑者になったあの事件、本当に彼らのおかげだな...」

「先輩...?」

「いや、なんでもない。昔も今回みたいな、難しい事件があるんだなと思い出しただけ。」

「...それは、何年前の秋の連続殺人ですか?」

「それ。あの時も頸動脈の出血だったな。」

「その事件も無事に解決できましたよね?ですから先輩なら、今回もきっと大丈夫です!」

桜内を見た徹は、不意に笑った。

「先輩?」

「...その実験は、俺だけで解決できたんじゃない。」

今まで支えてくれたあの二人が、事件の容疑者...そして事件の死者となった。

今さら、誰に支えてもらえればいいのか?


「その...先輩。容疑者名簿にある朝田綿さんですが...?」

「そう、その通り。たとえ今まで彼に手伝ってもらっているだとしても、それでひいきするわけにはいかない。」

「いいえ!その...言いたいのは...もし僕たちが朝田さんの無罪を証明できたとしたら、彼の力を借りれるようになれますでしょうか。」

「そういう場合、あいつ絶対怒るぞ。あのくそ野郎。」

その女の子もきっと怒るんだと、徹は知っている。

普通の人間の想像を遥かに越えるほど、彼らは推理を愛しているから。

「...この二つの事件を、俺たちで解決するんだ。桜内。」

「しかし、真犯人を知っていると言っていた白柳恵弦は何も話してくれませんし、手がかりを集めたところで...!」

「二つの事件、だぞ。桜内。」

徹は、机に置いてあった列車殺人事件の情報を指差した。

「白柳恵弦が招いた二人の客のうち、一人がこの殺人事件の死者。まったく無関係な事件だとは思えない。」

「すべてが白柳の企みだと言うのですか?」

「関係があるだけで、白柳の企みとは限らない。」

「しかし、あの二人を来訪を知っている白柳じゃなかったら、誰が列車殺人をやりました?」

「彼女は、最初の事件から、最後の事件を解決する術を見つけた。」

あの二人の蛍が夜を照らせなかったら、彼女も後ろにいる黒影に気付けなかったんだろう。

そして、朝の眩しさにも気付けない。

「すべてが繋がっている、なんて自分を苦しめるような考えで行動した方がいい。まぁ、俺の勘に過ぎないが。」

徹は笑って、そして立ち上がった。

同時に、一人の警察がノックをしたあと、部屋に入った。

「室蘭駅で合流し、列車上の死者を監察医に任せました。そして、容疑者朝田綿も連れてきました。」

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