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2-3 君こそ、僕の全部

「...聞きたいことがあるなら早く。」

少女の覇気は減るところか、ますます増えていた。

「皇赤蝶さん。態度に注意していただきたい。」

「はぁ?そっちが勝手にやな姉さんを疑っているのに、私に優しくしてくださいと?」

「...朝田さんは容疑者であって、犯人になるかどうかも、あなたの証言に関わっています。」

「ちっ...」

やなに、今の自分が見られたら、やなはなんて言うんだろう。

考える必要もない。

「...どうぞ。なるべく答えるわ。」

「ありがとうございます。まずは朝田さん最近の生活について、どこまで知っていますか?」

「最近ね...知ってると思うけど、やな姉さんが解決した名瀨影の事件があるじゃない。」

「その事件と関係ありますか?」

「あるかどうかはわからないけど...名瀨影そろそろ自由になるから、やな姉さんはよくあいつの部屋を片付けるのを手伝っているらしい。」

「しかし、朝田さんはたしか...?」

「そう、見えない。それでも手伝えることがあるし、名瀨ホタルも、やな姉さんに頑張れる目標を与えたいと思っているみたい。」

記録を書いている警察を見ていたら、赤蝶は急に、昨晩やなとの通話を思い出した。

「そういえば、今日は出かけるらしい。」

「出かける?」

「名瀨家に行くけど、その後どっかに行くらしい。」

「目的地や、目的とかは?」

赤蝶は昨日の通話中、久しぶりな、やなの口調を思い出す。

「見えるようになれるかも...と。」


横になっている女性の隣に、綿は無力にただ泣きながら座っていた。

彼を連れて来た乗務員は油断せず、向こうの席から慎重に綿を見張っていた。

「...君に聞いたとき、すでにこの子を見つけたのか?」

「...」

綿は乗務員の方を見なかった。むしろ、彼は来てからずっと大きく動いていなかった。

「心配するな。この子がここにいる限り、僕はどこにも行かない。」

「...!そのときはまだです。あなたのために探しているときに見つけました。」

「そう...ありがとう。」

もし今、綿が顔を上げたら、震えている乗務員の唇と、赤くなった乗務員の両目に気付けるだろう。

しかし、彼は動かなかった。

「あなたを拘束した理由は、彼女を殺害した容疑ではありませんので、安心してください。この件に関しては、あなたの証人にもなってあげます。」

「...ありがとう。どこで見つけた?」

「トイレ...便器の上に座っているが、服装は着ているままです。」

「どうしてトイレに?」

「彼女を探している途中、トイレに長時間いる人がいたという話を聞いたので、ノックしてみたら、返事ありませんでした。そこで、車掌さんに鍵をもらって、それで。」

「密室...この子、きっとこういう謎が好きだろう。」

綿は無理に笑ったが、涙を止めることができなかった。


一方、黒澤義孝は尋問を受けていた。

「朝田綿と朝田やなが容疑者だと?わかりました。こちらが持っている情報をすべて共有します。」

「助かります。ではまず、最近あの二人に何か特別なハプニングがありましたか?」

「あの二人...あ。あの二人、今晩は一緒に北海道室蘭の臨海実験所に行きます。昨晩朝田から聞きました。」

「...!目的については?」

「はい。白柳教授という方が、彼らを招いたみたいです。視覚障害を治せる物質を見つけたみたいです。」

義孝は目の前にある警察を観察し、今話していることが、起こった事件にかなり関わっていると感じました。

だからこそ、全部話さないと。

「では、黒須教授については?」

「黒須...聞いたことのない名前です。」

「わかりました。あの二人は、一緒に電車を乗って北海道に向かう予定でしたか?」

「その通りですが、やなちゃんは名瀨家に行ってから列車に乗ります。その後綿が列車に乗って、二人は列車上で合流する予定でした。」

「...では、次が最後の問題です。」

「どうぞ。」

しかし、この最後の問題は、義孝の想像を遥かに越えた。

「朝田綿には、朝田やなを殺す動機がありますか?」


「...あの、あなた、探偵ですね!」

「どうして?」

「あなたを拘束するようにと言われたとき、車掌さんが『残念だね。探偵が人を殺したと』と言いました。」

「あぁ...そうだ。僕は探偵だ。」

「でしたら、彼女を殺した犯人を見つけてください!」

乗務員の女性は、急に立ち上がった。

「たくさんの、大事件を解決した探偵さんかもしれませんが、彼女だけ...この事件だけは、あなたが解決してください。」

「...悪い。断ってもらうよ。」

「どうして!彼女の無念を晴らさないと!」

「僕はさ...この手錠がなかったら、もう自殺したんだ。」

真田夜那がどれほど重要な存在なのか。

綿は誰よりも知っているつもりなのに、真実を見たこの瞬間になってから、彼は自分の不注意を恨んで仕方がない。

「この子こそ...僕の全部だから。」

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