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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

噂のうわさ……

作者: 澤田慶次

噂、良くも悪くも……

「ねぇ、聞いた?」


「聞いた聞いた!噂掲示板の話でしょ?」


「そうそう、色々な噂話が載ってるらしくてさ。その中には未解決事件の犯人なんかも載ってるって噂よ」


「凄いよね~。どんな掲示板か、一度見てみたいよね~?」


「本当~!」


とある高校で、噂を載せている掲示板があるという噂が上がっていた。誰も知らない事まで載っているという噂であり、誰もが見てみたいと思っている。

しかし、誰もその掲示板を見た者は居なく、本当に有るのか疑わしい。付け加えるなら、有るとするならその掲示板に載せているのは誰なのか、それも謎である。


友美(ともみ)~、帰ろうよ!」


「うん、少し待ってて!」


友美と佐柄子(さえこ)は親友であり、本日も2人で一緒に帰るみたいだ。


「友美、噂掲示板知ってる?」


「知ってる知ってる!……本当に有るのかな?」


加奈子(かなこ)の友達の弟の同級生が見たって話だよ?」


「え~、怪しくない?それに、そこまでいくとお前誰だよって感じだよね~?」


「確かに~!ま、どうせ噂だもんね」


どうやら、噂掲示板はこの学校の誰もが知る噂の様だ。


そんなある日の夜、友美はお風呂から上がり着替えて自分の部屋のベッドに寝転んだ。携帯を片手に、横になりながら携帯をいじっていた。


「あれ?メールが来てる?」


携帯にメールが届いていた。何気なしに開いた友美、そこには掲示板へのURLが乗っていた。


「……詐欺メールだな」


友美は消そうとしたのだが、少し気になりURLを押してしまった。


[ようこそ、噂掲示板に!]


画面に大きく出た言葉に友美はビックリした。


「これって、噂の掲示板じゃない?」


友美のテンションは上がり、すぐにログインした。

その掲示板には、色々な噂が書かれていた。とある会社の部長とOLの不倫、政治家の賄賂、近所の奥さんの万引き等様々な事が書かれている。


「面白~、いろんな事が有るんだね~」


友美はどんどん噂を見ていく。


[これ以上噂は見られません。見る為には、噂ポイントが必要です]


突然出て来た文字に、友美はガッカリした。お試しの無料は終わりの様だ。


「何だよ~、有料なのかよ~……」


友美はログオフしようとしたのだが、その下の所に目が止まった。


[噂ポイント取得の仕方]


「これ、見るだけなら……」


友美は好奇心から、その項目をタッチした。


[噂ポイント取得の為には……新しい噂を投稿して下さい。その噂によって、贈呈されるポイントが異なります。

誰もが驚く噂には、高ポイント贈呈!さあ、あなたも噂を投稿しませんか?

※噂ポイントは後払いで借り入れ可能!]


「成る程~、噂を投稿か~。面白そう~!」


とりあえず友美は、高校の学年主任の噂を書き込みした。


「○○高校2年の学年主任の田岡(たおか)は、趣味が女装っと……これでよし!さて、寝ようかな」


友美はそのまま就寝した。


翌日、友達は学校に行く前に掲示板を確認した。


[噂ポイント100]


「やった、ポイント獲得!」


友美は噂ポイントを獲得し、大喜びである。


この日より、友美は色々な噂を書き込む事にした。友達から聞いた事、たまたまコンビニで聞いた事等、耳にした事は全部書き込んでいく。


「何だよ~、現国の岸本のポイントは10かよ~。あいつ、使えね~……」


いつの間にか、友美は噂ポイントを貯める事に熱心になっていた。その為、学校では色々と聞き耳を立てたり時にはゴミを漁る事もあった。


そんな時、


「友美、ちょっといい?」


「どうしたの、佐柄子?」


「実はさ~……兄貴が彼女孕ませちゃって……」


「え?どうするの?」


「……大学辞めて働くんだけど……」


「大変だね……でも、私達は変わらないからね」


「そうだよね!ありがとうね」


「いやいや。それより、辛かったら言いなよ」


「ありがとう」


どうやら、友美の親友にも悩みはあるようだ。


その日の放課後である。


飯村(いいむら)、ちょっと来なさい」


友美は生物の野々(ののむら)先生に呼び出された。


「何ですか?」


「何ですか?じゃないだろ?これ、この前の宿題」


「あ~。これでも、一生懸命やったんですよ」


「一生懸命なんて嘘は辞めなさい!どう見たって、適当にやったようにしか見えん!」


「酷くないですか?」


「酷いのはお前の方だよ!全く……はい、やり直し」


「え~」


「いいからやり直し」


「……は~い、分かりました~……」


友美は宿題のやり直しをする事になった。


その日の夜、友達は例の掲示板を見ていた。


「もう書き込みする事ないんだよな~……そうだ!佐柄子、ごめんね!」


友美は佐柄子から言われた話を掲示板に書き込みした。少しすると噂ポイントが新たに入る。噂ポイントは10000ポイントまで後少しである。


「やった~、でももう少しなんだよな~…………あ、そうだ!野々村に仕返ししてやろ!」


友美は掲示板に文字を打つ。


[最近起こっている通り魔事件、犯人は○○高校の野々村先生。夜な夜な若い女性を切り刻むサイコパス。勤務中も物色したいが為に教師になった変態]


「これでよし!野々村め、ザマァ!」


少し経って告知が来た。友美の噂ポイントは10000を越えた。


「やった~!」


友美はベッドの上でガッツポーズをした。


「あれ?これ何?」


掲示板には新しいスレッドがある。


「飯村友美?私の事~?」


友美はそのスレッドにタッチした。


「……何これ!?」


そのスレッドには、友美の事が色々書き込みしてある。高校の名前や学年、身長や体重に3サイズもある。画像も添付されており、ゴミを漁っている所や噂話に聞き耳を立てている所、お風呂に入る所まである。


「誰が私の噂を……これ、盗撮じゃない!」


もう友美は、噂ポイントどころではない。ポイントがどんどん減っていくのも構わず、自分の噂のスレッドを見続ける。噂ポイントはマイナスになっている。それでも友美は止まらない。


翌日、友美は学校に行くのだが、誰もが自分を見ているようで落ち着かない。


「どうしたの友美?」


「佐柄子……ううん、何でもない」


「そう?ならいいけど……とりあえず、早く学校に行こう」


「う、うん」


昼休み、友美は屋上で携帯を見ていた。携帯で掲示板を見ていた。掲示板には友美宛てに警告が流れている。


[ポイントの支払い。明日までにお支払を……]


「それどころじゃないわよ!絶対に学校に犯人が居るんだから!何かヒントがあれば……」


友美は必死である。


その日の夜、友美は今も必死に犯人探しをしている。既に噂を書き込む事は眼中にない。


翌日、友美は学校に向かった。


「おはよ、佐柄子」


佐柄子は友美を見ると、何も言わずに走り出した。


「何よ」


学校に着いた友美。しかし、何故か視線が痛い。


(何なのよ、いったい)


友美は自分の噂を書き込みした相手が分からない上、本日のこの感じに少し苛立っていた。


その日の放課後、友美は大変な事になった。


「友美酷いよ。親友だと思ってたのに」


「何よ佐柄子?」


「これ、どういう事?」


佐柄子は携帯の画面を見せる。


[佐柄子の兄が大学を辞めた噂を流したのは友美]


「な、何これ?」


「聞きたいのはこっちだよ!もう友美なんて、絶交だからね」


「ちょ、ちょっと佐柄子!」


佐柄子は走って教室より出て行った。

これを皮切りに、友美に掲示板に書き込みをされた学校の者が友美の所に来る。それぞれにどういう事かと言われ、学年主任には明日からの停学まで言い渡された。


「は~、疲れた……」


友美の対応が終わった頃には、既に暗くなっていた。だいぶ時間が経っていた。

友美は自分の席に座り、携帯を開いた。


[ポイントを振り込まないと、あなたが流した噂をあなたが流したと報告をします]


「ふざけるなよ……なんだよこれ!?」


友美の言葉は強い。怒っている。


[ポイント精算しないと、あなたの寿命から精算します]


「はぁ?意味解んないんだけど?」


友美は不機嫌に言葉を発した。


「おお飯村、まだ残っていたのか?」


「野々村先生……」


「ちょうど良かった。飯村……」


「ごめんなさい先生、悪気はなかったんです!」


友美は野々村に頭を下げた。


「いいんだ飯村。それよりよく解ったな~、先生が通り魔の犯人だって?」


「え?」


「教師になった理由まで解ってるなんて、お前は俺の理解者だよ。その上で、誰もが帰った学校に残ってるなんて……飯村、ゆっくりと解剖してやるからな」


野々村の手には、鋭く光るナイフが握られている。


「い、嫌…来ないで……」


「良く解っているな~!その拒否の仕方がたまらないんだよ~!麻酔無しで解剖してやるからな!」


「ギャーーーーーーーー」


[ピコーン]


携帯が新しいメールを受け付けた。


[お支払、ありがとうございました。ヒーッヒッヒッヒ]


………………………………


「知ってる?噂掲示板の話?」


「知ってる知ってる」


「かなりヤバイらしいよ?」


「知ってる~。はまった娘が死んだって噂でしょ?」


「そう!怖いよね~、噂の掲示板」


「本当~。でも、噂のうわさだよね?」


「そうだよね~」

文明が発達し過ぎるのも問題なのかも……

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