第二話 ハクバイ初めての現代探検(一)
昨夜の豪雨も嘘だったかのような、晴れ渡る澄んだ青い好天。
淀んだ空気を浄化するように、清々しい風がこの地に吹き渡っている。
まだ肌寒い季節ではあるが、窓を開けて部屋のじっとりと湿度を帯びた空気を入れ替える人も中にはいるのではないだろうか?
ここにも一つ、窓を開けて外気を取り入れている部屋がある。
少し黄土色を帯びたセメントみたいな壁の古い二階建てアパート、その二階の右隅にある部屋の窓が開き、朝日を受けてレースのカーテンが白地の生地をさらに際立たせ、ヒラリヒラリと風に舞っている。
その部屋の中……和室の六畳一間のそこには風呂が無く、トイレに押し入れ、あとは簡易的な台所に小さめの冷蔵庫が流し台の隣に設置され、コンビニエンスストアの弁当やカップラーメンの空箱が流し台の中で無造作に積まれていた。
日に焼けて枯草色になった畳の上には、壁際にホームセンターで購入したのだろう白いカラーボックスと、足を折りたたんで収納しやすくなっている四角いちゃぶ台が立て掛けてあり、睡眠時以外はちゃぶ台があるだろう場所には少しシミのある白い布団が敷かれている。
布団の近くにある普段使いされているのだろう使い古されてへたれてしまった黒のリュックサックが壁にもたれるように置かれていて、疲労と哀愁を漂わせているみたいに思えた。
乱雑にゴミが散らかった部屋は物悲しく、この部屋に住む住民が多忙過ぎて自身の周りの様相が目に入らないのかもしれない。
そんな寂寥感があると形容出来そうな部屋の中で一人…いや、一人と一体が顔を向かい合わせて見つめていた。
一人はとても痩せていて、やつれている細身の成人男性だ。
ショートの襟足が刈られていない黒髪は、寝癖か昨夜の出来事が原因か分からないがハネたりボサボサになっていて、服装も泥や転び落ちた時の擦り傷から血で汚れてヨレヨレのシワが出来ていた。
身体は擦り傷が多く、今はカサブタで塞がっているようだが、痣も目立ち非常に痛々しく感じさせる。
顔色はとても悪そうに思え、その目尻は指で擦ったのだろうか赤くなっていた。
その男性と相対しているのは、一匹か一体か表現が少し難しい存在だった。
体長約五十センチメートル程の体は全体的には白土色で、左目付近から左肩と右足から尻尾を深い暗緑色のガラス質なツルリとした光沢のある物質が覆っている。
白土色の部分には下の素地よりも白い純白の五弁の花が咲き乱れて、絵と絵の間を縫うように黒い鉄色の龍が一匹、優雅に間を泳いでいた。
その体の素材感は陶磁器…特に土物と呼ばれる陶器に近く、動いていなければ花の絵が描かれたヤモリの置物みたいに見えていただろう。
しかし、ヤモリはその黒い艷やかな目蓋の無い瞳を彼に向け、緑の細く長い尾をゆるりと動かしていた。
男の名前は加藤 直幸、ヤモリの名前はハクバイ。
昨日の夜に深い山の廃窯で出会い、ハクバイの対の存在だという妻を探す為にと直幸は勝手に取り憑かれる事となった。
彼は直後に失神してしまったが、ハクバイが操った為、無事に自宅へたどり着いたようである。
直幸が目覚めたあとに少し会話をしたのち、ハクバイは換気の為に窓を開け放ち、満足したのか窓枠から飛び降りて直幸の正面まで戻った。
「そなたは今日の予定で、勤め等はあるのか?」
「えっ、えっと…久しぶりに休みだけど…。」
「うむ、時間はあるのだからまずは部屋の掃除だな。我が身を神と言うにはいささか怨に塗れているが…神の住む社は綺麗になっている方が良い。では、そなたはそちらに転がっている塵を集めるがいい。我が身はこちらにあるものを一つの場所へ集めることとするが、そなたはそれを塵塚へ持って行くのだ。」
「なっ、何を勝手な……っ…、こうなったら…!」
昨日の夕暮れ時から夜に色々な事が起こり脳内が混乱している直幸は台所に走り、流し台の隣に造られた調理台に置いていた包丁を掴んで逆手に握る。
そのまま自身の腹に刺そうと、直幸は勢いよく腹部へ包丁を振り下ろした。
が、刃は人間の柔らかな皮膚を突き破ることはなく、途中の空間で停止してしまった。
直幸はその場から腕を動かそうとするのだが、腕自体が硬直して動けずに力だけが伝わり細かく震えている。
彼は目を見開き、思い通りに動かないことに愕然とした。
「なんでだ!?動け、動けよ!!!!」
「たわけ者が、言っただろう?〈我が身の許可なく死ぬ事を禁ずる〉と…。そなたは、もはや自ら死ぬ事は出来ぬのだ。」
「なら…なら…お前を殺せば…!」
そうして直幸は悠々とこちらの出方を窺っているヤモリの顔面めがけて包丁を振り下ろそうとするのだが、その刃は彼に届くことはなかった。
包丁はハクバイの顔をすり抜け、傷んだ畳にサクリと突き刺さる。
驚き慌てて狙った存在の確認をする様子を見たハクバイは、伝え忘れたとばかりにニヤリと口を歪めて彼に告げた。
「我が身は人間には触れられぬし、視えないぞ?我が身が触ろうと言う意志を持って触れれば触れるが…縁が有ったとはいえど、この世の物とはかけ離れているからなぁ…そなたにはまだ無理だろうよ。」
「クソ…!!」
「あと、そのような大きな声で叫ぶと近隣への迷惑になるぞ?」
「お前が…!出させているんだろうが…!」
直幸は悔しそうに顔を歪めて、刺さった包丁を畳から抜き台所の元の場所に戻した。
ギリギリと歯を食いしばり睨む彼の視線を受け止めながら、ハクバイはその様子を眺めてから一つ頷く。
「さて、一段落したか?時間とは限りある物だからな、早速この落ちている塵芥を纏めるのだ。この辺りの塵塚は何処にある?……この透明な袋はなんだ?奇っ怪な絵と文字が書いてあるな…。」
まずは自分の近場からだとキョロキョロと辺りを見渡したハクバイは、近くに落ちていた菓子パンの袋を興味深く眺め拾い上げた。
その様子を見て気が抜けたのか諦めがついたのか、直幸はため息を一つ吐いていぶかしげにハクバイが先程投げかけた疑問に答える。
「それは菓子パンの袋だけど……塵芥ってゴミの事か?ゴミはゴミ袋に分別して、指定の場所に出すんだ。そしたら、ゴミ収集車が回収してくれるよ。塵塚はわからないけど…お前の生まれた時代の物か?」
「塵塚はその名の通り、塵芥を捨てる場所だ。我が身の創造主が居た時代では、そこに捨て埋めていたのだが…今の世では塵を捨てるにも決め事があるのだなぁ…。」
と、ハクバイは遠い目をしながら、他の落ちているゴミとおぼわしき物体を一か所に集めていく。
集まっていくゴミをぼんやりと眺めていた直幸はハッと立ち上がり、まだ残っていた市指定のゴミ袋を取り出して、袋に燃えるゴミを入れていった。
ゴミ袋の素材さえも珍しいのか、直幸の持っている袋へとハクバイは興味津々に近付き、陶器で出来た五本の指でビニールの素材にそっと触れて、触り心地を覚えていくように撫でた。
「今の世は不思議なものだ…そなたが家に帰る時、帰路の風景をそなたの肩から眺めていたが本当に変わった。あの時とは違った家屋が規則正しく建ち並び、家々からは行燈よりも明るい灯火が煌々と室内を照らしているように見えた。…この部屋の戸も、窓の鍵も、この上から吊られいる提灯のような物も、全て全て我が身の生まれた時世には無い物だ…。」
ずっと山の中から動くこと無くあの窯にて長らくの間存在していたハクバイは、自身の居た豊結窯と、その周囲に作られていった村では見たことのないモノばかりがあちこちに散見され、直幸に取り憑いてからの数時間でひどく驚愕し続けていた。
そんな事を考えながらハクバイは次に、下に落ちている直幸の衣服を先程ゴミを纏めた場所より少し離して集め始める。
「そなたが着ている服も、知っている衣服とは違う…。長い時間が経っていたとは思っていたが…。」
「お前の生まれた時代って…何か覚えていることはあるか?わかりやすい何かがあれば、調べられると思うけど…。」
集めたゴミでいっぱいになったゴミ袋を縛り終えて、直幸はリュックサックからスマートフォンを取り出した。
今では皆が所持している事が多いスマートフォンも珍しいのか、ハクバイは直幸の手元にあるそれを観察している。
「その板はなんだ?見るに、先程の『かしぱんの袋』なるモノと似た素材で出来ているように思うが。」
「これはスマートフォン…略してスマホっていう物だよ。どう説明したらいいかな…誰かと連絡を取れたり、情報が集まっているから調べ物が簡単に出来たりするんだ。素材はちょっとわからないけど、アレとは違うかな。」
「ふむ?良くわからぬが…直ぐに手紙や書簡が届き、かつ直ぐさま調べられるというのはとても便利だな。」
うむ、とハクバイは頷く。
彼の知っている情報伝達手段は三日から四日かかる物だったので、直ぐに知る事が出来ると言うのは凄い事だと感心した。
それから、直幸からされた質問の答えを考え始める。
ハクバイの生まれ見守った時代で名を上げていた者、農民でも知れ渡っていた出来事、有名だった名物はなんだっただろうか?
永く人間の生活の動きも感じなかった場所に居たものだから、昔の記憶も彼方の方に行ってしまったようで思い出すのに苦労するが、憎く恨めしい怨憎渦巻く暗い記憶の中から、遠い思い出を手繰り寄せる。
「そうさなぁ…。窯が開窯したのは初代…我が身の創造主が朝鮮へ出兵した後だったはずだ。主が薪を窯に焚べていた時に独り言を呟いていたが、後に豊臣太閤はもう一度朝鮮へ出兵したらしいな。その時には、主はもうあの地にて窯を開窯していたらしいが…。我が身は開窯した十数年後に造られた存在だからな、主と息子殿の窯焚きの会話でしか世の情勢を知らぬのだ…。」
「朝鮮出兵…は確か日本史でやったような…?とりあえず、それで調べてみようかな。」
そう直幸はハクバイに告げ、スマートフォンの検索エンジンにキーワードを打ち込む。
結果としては、どうやら安土桃山時代の文禄元年から慶長元年…一五九二年から一五九六年の辺りらしいことがわかった。
現在は二〇二X年であるから、そこから数えて実に約四百三十年前後経っているようで、直幸自身が生まれるよりも直幸の両親が生まれるよりもずっとずっと前から、あの廃窯はあそこに存在し、そしてハクバイと名乗る化け物は同じ位の時間ここに有り続けているらしい。
思っていたよりも古く、長い時間が経っていたのだと知って直幸は驚いた。
「凄いな…今から約四百三十年位経ってるらしいぞ。時代的には、戦国時代なのか。」
「それほどまでに時間が経っていたのだな…文化も変わっている訳だ。して、掃除を続けるぞ。洗濯の時間もあるのだからな。」
「あっ…ああ……。」
直幸はハクバイにそう言われゴミを袋に詰める作業へ戻るが、寒くなったのか換気のために開けていた窓を閉じた。
ハクバイはその姿を眺めてから、カーテンを閉められて見ることは出来ないが昔とは違う窓の外に視線を向ける。
深く暗い森の山中から見上げていた青い空は、町の中では黒い線…電線が空を分断していて別物に見えてしまう。
たとえ幾年が経とうとも、空は何時だって変わらない筈であるのに…。
変わってしまったと感じた蒼穹に、別れ隔たれた妻をハクバイは思う。
(あぁ…妻は変わりゆくこの現世で、存在してくれているのだろうか…。千年は超えずとも、その半分の年月が経っていた…人間への恨みは消えていない。しかし、あの守護をしていた場を離れ妻を探しに行く為には、人間へ取り憑く必要があった。それが我が身の有り様を変える事になろうとも…我が身は妻を探し出し、必ずや見つける。…妻は、我が対の愛しき君は、まだこの世に居てくれるのだろうか…。)
化け物の心中など人間がわかることも無く、一人と一体は部屋のゴミを集め畳の上を綺麗にしていく。
途中、畳の上を掃く為にハクバイは箒を探したが、それを見た直幸が出した掃除機に驚いたり、蛇口から水が出せる事に感心していた。
何かをしていると時間が経つのは早いもので、直幸の住む部屋が大方掃除し終える頃には太陽も天頂に輝いていた。
大方のゴミを綺麗に片付けられた部屋は先程までの澱んで見えた空気も清められた風に思い、幾分か明るい雰囲気になったように感じた。
ついでにと、日の当たる場所へちゃぶ台の足二本を畳に乗せるように配置して、縦になった天板の上に布団を干す。
一段落したハクバイは、汗が流れ出る事は無いが額を拭う仕草をおこない一つ息をついた。
「これでひとまずは良いだろう。我が身が一時的に住むのだからな、塵芥にまみれるよりは整えられていたほうが清々しくて良い。まぁ、我が身は穢れようが祟り神のなりかけであるから、特に気にはしないが…。妻がここに来るとしたら、そのような汚れ穢れは許せんからな。」
「…はぁ、せっかくの休みが…。腹も減ったし…。」
「そういえば、もう昼時だな。そなたはその泥や血に塗れた身体を無事そうな手ぬぐいで拭き、汚れた衣服も着替えるのだ。この時代では、洗濯の仕方はどうしている?桶で手揉みをしている訳では無いのだろう?」
昨夜から着替えていない直幸の服は、山の斜面から転がり落ちた影響か、泥と擦り傷から滲んだ血で汚れている。
怪我の傷はもう乾いているようで、ヒリヒリとした痛みを直幸は今更ながら感じていた。
傷口は塞がっている風でも、身体のいたる所に青紫や赤紫のような打撲痕が痛々しく、人目に付けば心配されそうな具合だった。
ひとまずは着替えようと、まず服を上だけ脱いで直幸は床に落ちてる比較的に綺麗そうな白いフェイスタオルを拾い、水道で濡らして身体を拭いていく。
まだ寒さの抜けきらない空気は快晴のおかげで程よく暖かくなってはいたが、それでもまだまだ肌寒く凍えながら擦り傷にしみる痛みを耐えて直幸は身を清めていった。
そして上半身の汚れを拭き終わった後、洗濯してある紺色のスウェットを着ている間にハクバイへ回答する。
「洗濯はクリーニング屋とか洗濯機が買える人は自宅でやってるだろうけど…、俺はある程度溜めてから、コインランドリーに行って洗濯してる。」
「ほぉ?聞いたことのない単語ばかりだが…『こいんらんどりぃ』なる場所に衣服を持っていくのだな。ふむ、身を清め終えたら早速そこに向かうのだ。」
「いや、まぁ……命令されなくても行かないと明日着るもの無いし行くけど…。コンビニで飯も買いたいし…。」
「『こんびに』という物もわからぬが、ほれ、手を早めろ。早く準備を整え、その場所に向かう道すがら、我が身にそなたの住むこの地を案内するのだ。妻を探す拠点となる場所であるから、その土地にまつわる情報はあればあるほど良いからな。」
のそのそとズボンを脱ぎ、億劫そうにしている直幸の左腕足首をぺしぺしと前足で叩きハクバイは彼を急かす。
痛くない程度の物だが彼は命令されているようで不快になりギロリとハクバイを睨むが、そんな眼光は気にも留めていないようで、直幸の視線をスルーしてハクバイは彼の足から離れた。
下半身もタオルで拭き終えた直幸は黒いジーンズのズボンとグレーの靴下を履き、カーキ色の厚みのあるダウンジャケットをスウェットの上に羽織って、直幸は掃除の邪魔にならないように避けていた財布やスマートフォンを、掃除の際に壁側へ寄せていたナイロン生地の黒いリュックサックに放り込んでいく。
洗濯する為に集めていた衣類を、スーパーマーケットで貰っていた大きめのビニール袋に放り込み、溢れないように軽く袋の口元を縛った。
準備が終わったのだろうタイミングを見計らい、ハクバイは直幸の身体を這って右肩に乗る。
「そうだ、一つ言っておかねばならない事がある。」
ハクバイは思い出したように喋り、爬虫類独特の顔を真横にある直幸の顔の方へ向けて、目を見つめながら会話を続けた。
「なんだよ…、言っておかないといけない事って…。」
「いやな?我が身とそなたは偶然にも縁があって、真名を握られたことにより魂の波長が我が身に同調している状態だ。縁があったからこそそなたは我が身を認識出来るし、魂がこちら側の影響を受けているからこうして言葉を聞く事が出来ている。それはわかるな?」
「まぁ…うん。魂の波長がどうこうはわからないけど…。」
「魂については、そなたは気にしなくても良い事である。さて…霊能力や神通力と言った人間にしては特異な力を持つ者は、我が身等を認識したり知覚出来るが、そうでないものは視ることすらあたわぬ。神の声も、霊の気配も、妖の気さえ気付かずに日々を過ごしている。」
現実で稀に存在する……あるいはフィクションの中に確認される特殊な能力である【霊感】と呼ばれるものは、直幸には良くわからないものだった。
直幸にとっては、幽霊も神も悪魔も天使も…知覚出来なければいないも同然なのだから。
しかしながらこの肩に乗っている存在は、常識と呼ばれる物の範疇外であり、本来は【霊感】でしか感知出来ない存在なのだろうと理解せざるを得なかった。
「つまりは、だ。我が身はそなたに話しかけ、そなたは問に答えるが…傍目から見ればそなたの返答はただの独り言にしかならぬのだ。そなたが奇異の目で見られようと特に興味も無いが、変人の様に見られたくなければ返答の仕方には気をつけることだな。」
見えない…感じない…触れられない物が、直幸の目には確かに〈居る〉のに、霊感の無い人には知覚することが出来ない。
それは昨日までの直幸自身であり、彼の周りで独り言をブツブツと呟きあらぬ方向を向いている人間が居たら、狂っているか病気を疑い近寄らないようにするだろう。
しかし、この大多数の人が見る事の出来ない存在は、こちらのそういった状況は理解しているのに、話しかける行為を止める気はさらさらないらしい。
なんて自分勝手な行為だと直幸は思い、嫌そうに顔を歪める。
「お前の質問には、必ず答えなきゃいけないのか……?」
「必ずでは無くとも良いが…それはそうだろう。我が身の方が上の立場なのだから、その問いには出来るだけ答えてしかるべきだろう?我が身は優しいからな、言霊で縛っても良いが制約が多くなっても面白みが無い。抗ってもいいが、また一つ縛られるものが増えるだけだぞ?」
「クソッ…!!!!」
直幸は思わず悪態をついてしまうが、彼のその態度にハクバイは涼しい顔をするのみだった。
第二話(二)へ続く