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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

王と魔術師

聖女召喚(思い込み)した瞬間に殴り飛ばされた

作者: 日暮蛍

「やった。成功したぞ!」


嬉しそうにそう言った王子の視線の先には魔法陣の中心にいる1人の少女。

少女はこことは違う世界、つまり異世界から召喚された一般家庭で育った女子高生だ。突然異世界に召喚され、少女を召喚した者達に囲まれて戸惑い怯えている。

王子はそんな少女を安心させようと近づき名乗ろうとした時


「この愚か者がぁぁぁぁ!!」


父親である王に殴り飛ばされた。

そう、王の渾身の一撃を顔面で受けた王子は文字通り吹っ飛び壁に激突した。その上で王はさらに追撃を行う。


「お前は! どうして! 問題! ばかり! 起こす!」


馬乗りになり王子を殴りまくる王。そんな事をすれば最悪相手が死ぬのだが王は手を止めない。


「しかし、父上、聖女の、存在は、必要不可欠だ!」


何故なら王子はタフだ。

王の渾身の一撃を受けた後に何度も殴られてもなお意識を保ち殴られながらも喋れる余裕がある。


「何が聖女だ。あれは娯楽小説にしか出てこないやつだ!」

「聖女はいる! 現にこうして聖女召喚に成功した。」

「あれは禁じられた魔術だ! 異世界からランダムで人間を召喚する危険な魔術なんだぞ!」


王は王子の胸ぐらを掴みがくがくと揺らす。王は真実しか言っていないのだが、王子は聞く耳を持たない。


「だけどこうして聖女は俺の所に来てくれた。彼女を俺の妻に」


そう言いながら少女がいた方に視線を向けるとちょうど少女は元の世界に帰る瞬間だった。去り際に少女が王子に向けた目線はとても冷たいものだった。


「…えっ。あれ? 聖女は?」

「元の世界に帰したよ。それにあの子特別な力を持たないただの女の子だったよ。」


そう言ったのは王直属の魔術師だ。自他共に認められている魔術の天才である魔術師は十数人で行う大規模な魔術を1人で行う事が出来る。

王子が召喚魔術をやらせた事にいち早く気がついたのも魔術師のおかげであり、王がすぐに王子を殴り飛ばせたのも魔術師が転移の魔術で王を王子の元へと転送させたからだ。


「なぜ! 彼女はこの国を守護させる為に召喚した聖女なんだぞ!」


王子がそう言った直後、王は王子の顎に強烈な一撃を与えた。

 

「お前がやった事はただの拉致だ。」


王は脳を揺らされた事によって意識を失った王子を見下ろす。

その背後で魔術師は王子に金で雇われた協力者の捕縛と魔術で使用した触媒を破壊をしていた。作業を終えた魔術師は王の隣に立ち同じように見下ろす。


「君の息子、どうする?」

「…もう、幽閉する。」

「了解。」


魔術師は疲れきった王の代わりに事後処理を行った後、王の指示通りに王子を堅牢な場所に幽閉した。


したのだが


「大変だ我が友! 君の息子逃げ出したぞ!」

「はぁ?!」

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