それは病気とあの子は言った
学校の図書室の、一番奥の棚の隅で、埃を被った日記帳を見つけた。読むと、勉強や部活や親友への恋心などが綴られている。どうやら書いたのは二十年前にこの学校に通っていた女子生徒で、つまりは僕の先輩のようだ。彼女は図書室の隣にある準備室を秘密基地にしていたらしく、先生が誰も開けられないと言っていた引き出しの鍵が日記帳に挟まっていた。僕は好奇心に突き動かされて準備室に忍びこみ、鍵を使って棚の引き出しを開ける。中には溢れんばかりに折り鶴が詰め込まれていた。くしゃくしゃになったそれを一つずつ数えながら取り出していくと、どうやらぴったり千羽あるらしい。どうしてこの引き出しに隠したのだろう、と赤い一羽を手に取ると、破れた折り目から文字が見えた。丁寧に鶴をほどいて一枚の四角い紙に戻すと、何重にも重なった折り目の中心に鉛筆で文字が書かれていて、それは誰かに向けられた愛の言葉だった。僕はそれを読むと小さく折り畳み、残りの九百九十九羽をすべて引き出しの中に戻すと、鍵をかけ、一枚の折り紙と鍵を日記帳に挟んで、元あった場所に戻した。
あの鶴は、何を願って折られたのだろう。