プロローグ
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ージジジジジジジジー
けたたましく目覚まし時計が鳴り、朝5時の訪れを知らせる。
10分ほど前に起きていた俺はそれを止めると背伸びをし、カーテンを開ける。
朝の5時らしく外はまだ暗めだ。窓から外を見渡すと人影は少ない。
チュン、チュンと鳥のさえずりが聞こえる。聞こえた方向に顔を向ける。雀だろうか。かわいらしいその鳴き声はより一層、朝の訪れを気持ちの良いものにしてくれる。
今日も気持ちよく目覚めた俺はまず鏡に向かう。
ああ、また寝癖が。ニワトリのトサカのように髪が逆立ってしまっている。いつものように湯にタオルを浸して絞り、頭を拭いて寝癖を直す。
これで髪はよし。
次に歯を磨き、顔を洗う。寝ぼけた目を冷たい水でこじ開ける。
最後に仕事着に手を通す。
もう何年も前から着ており、この服を着るといつも気が引き締まる。仕事へとスムーズに気持ちが切り替わる。
白し手袋をして襟などを確認し、不自然な箇所がないか最終確認。俺の職場は身だしなみに特に厳しく、入りたての頃は何度も怒られたものだ。なので俺はこうして何度も念入りに鏡で確認することを心がけている。
衣服の乱れ等は確認できなかったため、ホッと一安心。自分の顔を一度叩き、気合を入れて最初の仕事へと向かう。
部屋を出て長い廊下を進む。コツコツと革靴の音が響く。目指すはこの廊下の奥にある部屋だ。
部屋に着き、まずノックをする。反応がなかったためもう一度。またしても反応がない。どうやらこの部屋の主人は寝ているようだ。
「失礼します」と小声で言い、ゆっくりと部屋のドアを開ける。
天井は高く、室内は広々としている。部屋には勉強机、本棚にタンス、などの家具がうまく配置されている。それらの家具は素人目の自分から見ても、ものがいいと分かるほどに高級そうなものであった。その中でも一際目を引くのが天蓋付きのベッドだ。
そのベッドは二人くらいは寝られようかというほどに大きい。その天井は白いレースの布が覆っている。なんとも豪華な作りだ。
俺は部屋の奥、ベッドの方向へと足を進める。
ベッドで寝ているこの部屋の主人に視線がいく。長い金髪はさらさらとしていて滑らか。長い睫毛はあどけない寝顔と相まって愛くるしさを増している。スヤスヤと眠りにつく彼女はまるでお人形のような完璧な容姿をしていた。
俺は彼女の体を揺する。
「起きてください、もう朝ですよ」
こんなに気持ちよく寝ているところを起こすのは忍びないが、仕方ない。これが仕事なのだから。
「起きてください、お嬢様」
少しだけ強く体を揺する。あまり強く揺らしすぎると彼女が痛いと感じてしまう。かといって弱すぎるとなかなか起きない。ちょうど中間いい塩梅に揺らすのがコツなのだ。
しばらく揺らしていると、ゆっくりと彼女の目が開いた。
焦点のあっていない目でぼんやりとこちらを見つめる。透き通るような青い目。
彼女はゴシゴシと目をこすり、
「おはよう和樹、今日も執事服にあってるわね」
といった。
そう、俺の今の格好は白いシャツに黒いジャケットとズボン、胸元には黒いネクタイが締められている。一般的に執事と呼ばれる人たちの格好だ。つまり俺の仕事というのは執事。俺はずっと彼女の執事をしている。
「ありがとうございます、お嬢様」
「もう、お嬢様はやめてっていってるでしょ?」
「これが規則なので、我慢してただけませんか?」
「なんとなく嫌なの!なに!?私の言うことが聞けないわけ!?」
「…わかりました。おはようございます、沙羅お嬢様」
「しかたないわね。今はそれで許してあげるわ」
俺の主人である彼女、皆川沙羅はそう言うと少し不満そうな浮かべた。