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「はぁー、こういう所は陛下そっくりなのだから。」
「外見は全く似てないけどね。」
「えぇ、外見は私にそっくりだけども、内面は陛下そっくりよ。でも、ダメよ。スーティン嬢をエスコートするのはこの私よ。」
「なんで?嫁殿はきっと表には出てこないよ。」
「だからよ。だから、スーティン嬢といなくちゃいけないのよ。」
えっと一体どういうことでしょうか?
とりあえず私は早く旦那様の元に戻れたらいいのですが。
「だってスーティン嬢を狙っているのがその嫁殿なのだから。スーティン嬢が捕まらなかったら困るのも嫁殿でしょう?つまり、最終出てくるしかないじゃない。スーティン嬢を捕まえるためにね。そこで、私が逆に嫁殿を捕まえるわ。ふふふ、私、狙った獲物は確実に仕留めるからね。」
「あーもう、その目になった母上に逆らうのは悪手でしかないから、今回は諦めるよ。」
「ふふふっ、流石は私の息子ね。こういう所は私に似てとても賢いわ。」
「お褒めに預かり光栄だよ。ということで、スーティン嬢、残念だけど、会場には母上といってくれ。母上は獅子族の中でも強いから、基本は、大丈夫だから安心してくれ。」
「えっ、えっ?あっ、はい?」
「ふふふっ、姐さんのお孫さんをエスコートできるなんてとっても嬉しいわ。だって、もしかしたら私の娘だったかもしれないんだからねー。事実上娘かしら?」
「それは有り得ないから。あなたの事実上には息子しかいないから。」
呆れたようにため息を付くラートム様を見ながら、私は内心ドキドキです。
プージャ様、先程、父のことを弟としか見れないなんのって言ってましたが、本当なのだろうかと今の言葉で思えて仕方がないのです。
もし、お祖母様だけでなく、本当は父のことも実は愛していたとかだとしたら、これは本当に大変なことでは?
「嗚呼、スーティン嬢。大丈夫、母上の妄想は、いつものことさ。実際に君の父上と会ったことはないんだ。まず出会いもない恋など始まるわけが無い。ましてや、愛だって生まれないから。これは1種の病気なんだよ。母上の。」
「でっ、殿下。そっそれは、その言い過ぎでは?」
「はははっ!大丈夫大丈夫。それこそ父上さえもこれは知っているからね。これさえなければ、本当に母上は理想の嫁だって言われてるが、誰しも欠点があるからね。これが母上の欠点さ。本当に姐さんに対して熱量は異常だからね。会いもしたことが無い姐さんの息子さんをそれこそ、自分の弟だと豪語したりね。」
え?会ったことがない!?
勿論、私はプージャ様にお会いした記憶は無いので、私が生まれてからはあったことはないとは思ってましたけども、それ以前に父は会っていたのかと思ってました。
まさか会ったことがないとは思いもしてませんでした。
「あら、失礼ね。そりゃ、直接会うことは叶わなかったけども、写真を見たり、手紙のやり取りはしてたから!」
「そりゃ、そうだ。下手したら母上、誘拐するかもしれないからね。会ってしまったらさ。」
「もう、しないわよ!そりゃあ、姐さんの息子ってだけで私にとって特別だけども、それに手紙のやり取りしていてとってもいい子だってことは分かっているのよ。穏やかで、優しい子だって。こんな子が弟だったらとっても幸せだろうなって思っても仕方がないでしょう?」
手紙のやり取りなんてされてたんですね。
確かに父は本当に穏やかな、寧ろのんびりと言われるほどでそれこそ領主とは思えないぐらい農業が似合う人です。
笑顔で野菜を収穫する父はパッと見では本当に貴族には思えませんから。
「まぁ、いいじゃない。とりあえず、私はスーティン嬢、いえ、ミシェルちゃんを送り届ければいいのね。ふふふ、任せなさい。」
「プージャ様。」
「あら、プージャ様じゃなくて、もっと親しみを込めて叔母様とかどう?」
「いっいえ、そんな。」
「母上、諦めて。さっさと行ってくれ。じゃないと私が送るよ。」
そうラートム様に言われて、ようやく部屋から出られました。
プージャ様だけどもここからはラートム様として対応しなくてはならないのですよね?
大丈夫かしら、私。
「ふふふ、大丈夫大丈夫。」
「殿下。」
「私の方のことは気にしなくていいさ。それよりも、本当に面白いことになったね。どうやら、すぐさま見つかったようだね。しかも、まさか私の獲物がこんなに早くね。」
「そこのあなた!!」
この声は、まさかここで聞くことになるとは思いもしませんでした。
だって、彼女がわざわざこちらに出向くとは思いませんでしたから。
「姫様。」
「ダメだよ、ミシェルちゃん。後ろを振り向いては。」
「えっ?」




