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ごめんねと笑うラートム様はとても美しいですが、これはどこか本心ではないような。

もしかしてからかわれましたか?



「ふふふ、既婚者に手を出すほど愚かではないよ。」


「その気は一切無かったということですね。」


「さぁね?」



そう言って笑うラートムに内心ほっとしました。

だって、少しでもその気があったとか言われたらどうしたらいいものかと困りましたから。



「さあって、母上。落ち着いて。騒ぎになったら困るだろう?なんのために母上が私の振りをしてこの婚約発表の場に出たんだったけ?」


「あっ嗚呼、そうだった。無理を言って代わってもらったんだったね。」


「あの、私、ここにいない方がいいのでは?」


「ええ!とんでもない!もう少しここにいておくれー!!せっかく出逢えたんだ!もっと話したい!」


「えぇっと。しかし。」



プージャ様のことですっかり頭から抜け出てましたが、私今、追われている身ですし、なによりも早く旦那様と、合流しなければならないのです。

それに、何やら聞いてはいけないことだと思えるので、ここから出ようかと思うんですが。



「まあまあ。もう少しぐらいいいじゃん。」


「しっしかし。」


「なにより、君は今、追われている身なんだろう?どうせ、母上か私かはまた夜会会場に戻らなくちゃいけないからね。私たちと戻れば、まず追っ手に捕まることは無いだろう?一応、私達はこの国にお客としてきた身だからね。危害を加えようとするやつはいないさ。それに、もし居たとしても、私も母上も強いから大丈夫。」


「そうだ!その方がいい!というか、追っ手とは?」



嗚呼、もうラートム様が普通に言うから、プージャ様まで気にし始めたでは無いですか。

出来れば黙っていて欲しかった。

そう思ってラートム様を見れば、にんまり素敵な笑顔です。

うぅ、きっとラートム様はイタズラ好きですね。

さっきからなんとなく感じてましたが、からかわれたり冗談を言って驚かされたりしてますから。

仕方がないので、今までの経緯をプージャ様にお話しました。



「なんとなんと!話には聞いていたが、なんともじゃじゃ馬な嫁殿だな!」


「話ですか?」


「嗚呼、獣人嫌いのお姫様が嫁に来ると聞いてな。どんなものかと見に来たのだよ。それこそ、息子に成り代わってね。」


「そうなんだ。まぁ、獣人族嫌いは珍しいものでも無いしな。歴代の妃様たちの中にも獣人族嫌いや、苦手な方もいたから今更の話でもあるな。」


「そうなのですか!?」


「ん、そうだよ。今までの王にも何人も妃は居たからね。その中には他国から嫁に来てもらった姫達もいるし、勿論全ての女性が望んで来た人ばかりでは無いさ。」


「今の妃の中にも居たしね。」


「えっ?」



まさか、他にもいらっしゃったのですか?

だから、今、私の話を聞いても落ち着いてらっしゃるんですね。



「まぁ、こんなにだとは思わなかったけども、だからこそ私が来て良かったわね。」


「嗚呼、そうだね。母上が来ているのが良かった。父上だけでは、まともに対応さえ出来なかっただろうからね。」


「あの人はほーんとうに女心というものが分かってないからね。」



ええっと、これってどういう事ですかね?

国王陛下だけではダメだった?

プージャ様が居て良かったって?



「嗚呼、ごめんごめん。獣人族というか獅子族を苦手とする妃が今は居てね、その方も母上が居たからこそ、今はそこまで苦手としていないんだ。」


「まぁ、今回も上手くいくかは分からないけども。それでもあの人だけよりはマシだろう。」


「それは確実だね。」



うんうんと頷かれるお2人に、困惑するしかないのですが。

えっと、とりあえず、どちらかが戻られるのに一緒に戻ればいいのですかね?



「さて、では、戻ろうか。」


「えっ、母上が戻るつもり?」


「勿論。」



そう言いつつ、私の手を取ろうとするプージャ様を止めようとするラートム様。

あまりにも自然で、ラートム様に止められるまで、手を取られていることに気付きませんでした。



「なんだ、なんか文句でもあるかい?」


「あるよ。もう嫁殿は出てこないんだったら、私が夜会に行ってもいいだろう?なのに、当たり前のように自分が戻ろうとするからさ。」


「なんだ、なんだ。人が多いのは面倒だからって言っていたのに。」


「それはそれだけど、こーんなにも面白そうなものが目の前にあるというのならば、そんなのはどうだって良くなるさ。」



こーんなにもって言葉で私を見ましたね、ラートム様。

確実に私のこと、いえ、私の状況を面白く思ってますね。


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