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「お祖母様はレオルド国にいらっしゃるのですね?」


「ううん、いたっていうのが正解。」


「えっ?では、もう?」


「うん、もう、次の国に行ってしまっているね。レオルドに居たのは、数ヶ月前だ。」


「そんな、またお祖母様の居場所が分からなくなってしまいました。」



嗚呼、レオルド国にいらっしゃるって父達に話そうと思ったのに。

まぁ、父達はさほど気にしてはいないだろうけども。

お祖父様も一緒だから大丈夫と父は言うけども、母の方が心配していたから。

母は父を勿論1番愛しているけども、1番尊敬しているのはお祖母様だと言っているぐらい慕っているから、何かあったりしたら実の息子の父よりも母の方が悲しむ。

実の息子の父はお祖母様は強いから全く大丈夫、寧ろお祖父様の方が心配だと言っていたっけ?

私もお祖母様とは何度か旅行やらなんやらで連れ回されたこともあるのでよくよく知っているので、母が言うような感じではないのは知っているし、寧ろそれに振り回されているお祖父様の方が心配だという父の言葉の方が頷けるのよね。



「探していたの?」


「いえ、別に探していたわけではありませんが、やはりどこにいるのか分からないと心配はします。」



お祖父様の安否がとても。

基本穏やかで、寧ろお祖母様に振り回されてもどっしりと構えてらっしゃるお祖父様ですが、お祖母様の行動力はそれはそれは凄く、付き合っているとコチラが目を回す程です。

いくらお祖父様でも、なかなかハードではないかと思うのですが、お祖母様を愛してやまないお祖父様は何も言わずにニコニコと笑っているのが浮かびます。

とりあえずはお祖父様もお元気そうですが、無茶をしていないかととっても心配なので、そろそろ1回は戻っていただきたいのですが、連絡する手立てが無いですね。

隣国であるレオルド国からこちらにいらっしゃらない所を見ると、他に旅立っているということですよね。



「そうか、どこに行くかは聞いてないな。すまない。」


「いっいえ、お祖母様のことです、元気にされている事は分かっていますから。」


「嗚呼、とっても元気だったよ。」


「そうですか、それは良かったです。」



まあ、元気ならばきっとまた帰ってくださるでしょうし、気長に待つしかありませんね。

それよりもレオルド殿下です。

何故、こんな所に?

先程まで、夜会会場にいらっしゃったはずでは?

私が会場にいた時には確かに金さんと一緒にいらっしゃったはずです。

それが何故ここに?



「んー、まぁ、休憩に誰も来ないであろう場所をお願いしたんだ。私は一応、客人だけども、主役ではないからね。主役の父上には悪いけども、早々に退散させてもらったんだ。」


「なるほど。ならば、ますます申し訳ないことをしてしまいました。お休み中だったのに、お邪魔して。」


「いいや、全然。寧ろ退屈してたから丁度良かったさ。」


「へっ?」


「夜会会場は賑やかだし、あまり得意ではないが、こうして部屋でじっとしているのも得意では無いのでね。まぁ、自国の場合では部屋で仕事をしたりするんだが、他国だから何も出来なくてね。」


「なるほど。」


「そこに君が来たから、何か面白いことが起きるかなって。」



そう言ってくすくすと笑う殿下に少し違和感を感じたのだけども、なんででしょう?

殿下に違和感って?



「ん?どうかしたかい?」


「いっいえ。」


「そうかい?しかし、君がまさかこの国の公爵夫人になっているなんてね。」


「えっ?」


「いや、何かある訳じゃないさ。ただ、独身だったらなって。」



ん??

んん?

んんんん?

どういうことですか?

何故、私が独身だったらと?



「ラートム!ここに居るんだろう!!聞いてくれ!新しい嫁殿がまったく現れないんだっ!」


「あっ?」


「えっ?」


「あれ?この子は?」


「嗚呼、もう、ややこしい事を。」



急に扉が開いたと思ったら、入ってきたのはもう1人の殿下。

えっ?殿下?

先程まで話していたのもレオルド殿下。

しかし、今入ってきたのもレオルド殿下。

つまり。



「殿下が2人?」


「えっと、これってもしかしてとっても不味い?」


「んー、まぁ、不味いかもしれないが、正直いって最悪ではないかな?」


「そうか、ならいいさ!」


「えっ?えっ?」


「嗚呼、スーティン嬢、落ち着いて。いや、今は違うか。」


「スーティン嬢だって?!」



そう言ってすぐ近くに来られたのは入ってきた殿下。

じっと見てくるので、とってと気まずいです。



「おおっ!本当に、スーティンだっ!この目はスーティンの目だ!!」


「えっ?」

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