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「奥様が愛されないわけがありません!こんなに美しい奥様を!」


「エレナ。」



一瞬不思議そうな表情を浮かべたエレナは、信じられないという表情を浮かべたあと、ありえないと叫んだ。

それに驚いていれば、どんどん出てくる私を賞賛する言葉たち。

女神やら天使やら、はたまた妖精やら。

そういえば、旦那様もこんな風に色々とたとえて言ってくださるけども、エレナと旦那様ってそれこそ兄妹かなって思うぐらいそっくりなのよね。

いえ、兄妹ではないのは重々承知しているけども。

本当にそっくり。

私に対してこうやって言ってくるところも、考え方も。

あ、それはスーニャもだわ。

とってもそっくりなのよね。

でもスーニャと旦那様は本当にそっくりすぎて兄妹っていうか同一人物みたいなのよね。

おかしいわよね。

旦那様は男性で、スーニャは女性なのに、そんなことを思うなんて。

勿論、スーニャを男性だとか、旦那様を女性だとか思っているわけではないわ。

二人ともとっても素敵な人たちよ。

男性らしく、女性らしく、魅力的な方達。

でもね、もしスーニャが男性だったら、もし旦那様が女性だったら、お互いになっていたのではないかって思えるのよね。

それぐらいそっくりなのよ。

二人は。

雰囲気とか考え方とか。

でもエレナはそうじゃなくて、なんだろう行動とかが似ているのよね。

例え、エレナが男性だったとしても、旦那様にはならないだろうなって思う。

兄妹のように思えるのはそういう所からだと思うのよね。

今のこの姿も、旦那様とよく似ていて。



「ふふふ。」


「奥様は本当にめが、奥様?どうされたのですか?」


「いいえ、ふふふ。なんでもないのよ。」


「そうですか?なら、何故笑われるのです?私は真剣にお話をしているのですが。」


「ふふ、分かってるわ。分かっているのだけども、エレナと旦那様が言っていることがそっくりで、本当に兄妹みたいだなと思ったら可笑しくなっちゃって。」


「兄妹ー?旦那様と私がですか??」



エレナは相当嫌そうな表情を浮かべてしまった。

あらあら、そんなに駄目だったかしら?



「あんなのが兄だったら嫌です。」


「あら、そう?」


「ええ。確かに、幼い頃からこちらで働いて居ますので、旦那様とクリスさんとは兄妹のような時もありましたが、本当の兄妹だったら本当に毎日大げんかしていたと思います。」


「ええ?」


「本当の姉たちとは仲は良いですし、妹と呼ばれることは全く抵抗はありません。しかし、兄が旦那様だと思うと本当におぞましいです。それならば、奥様と姉妹の方が何千倍も嬉しいです!!」


「あら?それはエレナがお姉さんってこと?」



年齢的にはエレナの方がお姉さんなのよね。

だから、私と姉妹ってことはエレナがお姉さんなのかしら?



「うぅん、とってもとっても奥様のお姉さんてのは魅力的なのですが、しかしですね、奥様は本当に落ち着いてらっしゃいますし、それこそ旦那様よりも落ち着いてて、年上のように思われることもありますので、その奥様がお姉さんって感じですかね?」


「あらら、そうなの?」



旦那様よりも落ち着いてるかしら、私?

そういえばサーシャからも、とっても落ち着いてて自分より年上に思えちゃうから、甘えてしまうって言われたわね。

んー、サーシャもエレナも末っ子だからかしら?

その逆に私は1番上の長女だから、落ち着いて見えるのかしら?



「サーシャも自分よりも年上っぽいって言われたけども、老けてるのかしら、私。」


「いいえ!そういう事ではありません!大人っぽい?ううん、もう大人な奥様に言う言葉ではないかもしれませんが、その奥様は歳はお若いのに、その振る舞いや、落ち着きがそれこそ、大奥様と同じぐらいなんです。」


「ええ?お義母様と同じ?それは言い過ぎよ。私、それこそ田舎育ちだったから、お転婆で、森とか走り回ってたし。そして貧乏だから、畑仕事や家事をしないと行けないから、まともな貴族としてのマナーだって習ってないからハチャメチャで、クリスにだってよく怒られてるじゃない!」



そうよ、とてもじゃないけど、お義母様のような素敵な大人の女性とは思えないわ。



「それは、これから勉強していけば大丈夫です!それよりももっと根本的な事です。」



根本的?

何かしら?



「そう!そうです!包容力が溢れてるんです!」


「えぇ?」


「本当に奥様は器が大きくて、多分、それで私は奥様を妹と言うよりは、姉のように思えるんだと思います。勿論、奥様は魅力的な方で、可愛らしい所もありますから、そんな時には年相応で、妹のように感じる時もあります。」



なっなるほど?

包容力ね?

昔っから、私の周りに同い年の子がいなくて、居たのは年下の子ばかりだったから、本当にお世話ばかりしてたからかしら?

だから、そんな風に感じられるのかしら?

なんか不思議ね。

エレナの方が年上なのに、私の方がお姉さんなんて。



「ふふふ、でも、どちらにしても、エレナと姉妹だったら楽しいと思うわ。」


「そうですか!?そう言ってもらえて嬉しいです!」



エレナとお互いに笑い合い、穏やかな空気が流れる。

先程までは旦那様の告白に困惑し、落ち着かなかったけども、エレナと話しているうちに落ち着くことができた。

旦那様からの告白はこれから考えていかなければならないけども、でも、ゆっくりと考えていこう。

大事な事だし、それに旦那様とはこれからも一緒に過ごしていくんだから。

穏やかに過ごしながら考えていこう、そう思っていたのに、まさか、さらに混乱することが起きようとは、今の私に知るよしもなかった。

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