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「これが私の思い人の話です。」



内緒にする話しでもないので全部話すと、エレナさんは号泣。

そしてクリスさんはなんとも言えない表情を浮かべています。



「おぉぉぉおおお奥様ぁああ。」


「どっどうしたんですか!?エレナさん?」


「なんて、なんて悲しいお話なんですか!?救いは?お約束は?」


「約束?ああ、また来るっていう約束ですか?いいえ、今までずっと待っては居ましたが来てはいませんね。」


「そんな!!そんな!!!」


「ふふふ、あれは金さんの優しい嘘ですから。」



そう言って笑えば、エレナさんはまた号泣した。

あれ?そんなに泣く話をしましたけ?

いやーそれにしても金さんのお陰で私も少しは女性らしくなりましたし。

そうですね、本当に金さんのお陰で髪を伸ばしはじめたし、美容にもすこーし興味をもったんでしたっけ。

まぁ、家が貧乏なのでたいしたことはできませんでしたけど。

昔はまた来てくれるかもってちょっとは思ったりもしたんで。

そのときにまた男の子と間違われないようにって思ったりもして。

まぁ、今は来るわけないって分かってますし。

きっと金さんはどこかの騎士様だと思うんですよね。

本物の騎士様を見たことがないですけど、でもこう立ち振る舞いとかが騎士様ぽくて。

っで、きっと敵に追われてとかだと思うんです。

だからもう二度と会えないのはしょうがないんです。

きっと金さんすんごく強い騎士になってきっと素敵な奥様を貰ってるはずですし。

私のことなんて忘れてるはずです。



「奥様は、そんな方が居るのに旦那様と結婚されて本当に良かったんですか・・・?」


「へっ?」



うんうんと納得しているとクリスさんが心配そうにこちらを見ています。

えっと、結婚して良かったですか?

そりゃあ。



「寧ろ有り難かったぐらいです!」


「えっ!?その方をお待ちにならなくて良かったんですか?」


「え?きっと金さんも私を忘れてますよー。」


「そんな!!」


「きっと素敵な奥さんを見つけて幸せになってます!金さんとてもかっこよかったし。」



うんうん。騎士様でイケメンならすぐさま素敵な奥様をお嫁さんにもらってますよ!

可愛い子どもも出来てるかも知れません!

嗚呼―!金さんの子どもならきっと可愛らしいですね!

金色の子狼!

見てみたいかも。

いえいえ、そんなのまた夢の物語ですが。



「なんで奥様はそんな笑って。」


「えっ?可笑しいですか?」


「可笑しいって、そりゃあ、思い人が自分以外と結婚してるだなんて。」


「んー、私は金さんが幸せに生きてくれてるだけでいいんです。そうであってくれたらいいんです。私のことなんて忘れてくれて良いんです。」


「え?」


「そりゃあ、時には嗚呼あの時あんな子どもがいたなぁって思い出してくれると嬉しいですけど。でも、いいんです。幸せに生きてくださったら。」



うん。金さんがどこかで笑って生きてくださったら嬉しい。

そうなってくれるように私は毎日朝祈ってるんです。

私の祈りが届いて金さんが幸せに生きてくれていたらとっても幸せです。



「奥様・・・。」


「だから旦那様が思い人がいるって聞いて、お飾り妻でいいって、そして家を救ってくれるって聞いて本当にこんな幸運なことあってもいいんだろうかって思えたぐらいです。」



さすがに、金さんを思ったままこう子作りになったら、いや割り切りますけども。

でも、やっぱり少しは嫌って思ってしまうので。

それがないっていうのは本当に私にとって幸福で。



「だから私、この結婚、本当に幸せなんです。だって私は旦那様を愛さなくていいんですもの。」



そう言ってにっこり笑うとクリスさんは一瞬目を見開き、そして苦笑を浮かべた。



「お似合いの結婚っていう訳ですね。」


「そうですね!あ!でもちゃんと公爵家のお飾り妻としての役目は果たしますよ!」


「そうですか・・・。それは喜ばしいことです。」


「はい!お仕事はちゃんとしますよ!」



満面の笑みを浮かべていると、ようやく泣き止んだエレナさんが私の目の前にずいっとやってきた。

なにやら決意したような表情を浮かべている。



「奥様!!」


「はっはっはい!!」


「このエレナ。奥様が幸せになれるよう全力でサポートさせていただきますっ!!」


「へっ?」


「こんなにお綺麗な奥様に対して・・・嗚呼もう腹が立つ。」


「エレナさん?」


「私は奥様の味方です!」


「はっはぁ。ありがとうございます・・・?」



打倒旦那様ー!などと言ってるんですが、それって駄目じゃないでしょうか?

そんなエレナさんをクリスさんはスルーしている。



「奥様、今の話はエレナと私だけの秘密で。」


「えっ、あっはい。」


そうですよね。

だって、一応私は、公爵家の奥様ですもんね。

しかも、旦那様の嘘のせいで何故か大恋愛の末結ばれたーみたいになってますし。

こんなこと誰にも言えませんよね。



「そして、奥様。もう少しすれば旦那様が帰ってきますので。」


「へっ???」



えっと、今なんて?

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