73
何かおかしい旦那様だけども、心配を掛けてしまったことは申し訳なく思うのだけども。
本当に姫様のことに関しては全然全く気にしてはいないので。
「とりあえず、もう倒れることなんてないように。」
「えっええ。それはもちろん、気をつけます。」
「まぁ、もし倒れても俺がそばに居ればいいだけだが。」
「えっ?」
「いいや、なんでもない。ミミ、お腹が空いたんではないかい?」
「あっ、はい。」
そういえば、朝から何も食べていませんでした。
体のだるさも無くなったので、食欲も出てきました。
旦那様は、エレナを呼んでくれて、エレナが準備してくれた夕食を食べ、また休めば、すっかり良くなりました。
心配を掛けたお義父様達に謝罪とお礼を伝え、旦那様も普段通り、お仕事に行き、お義父様もそれについて行く日もあれば、ゆっくり過ごす日もあったりしながら、数日後、お義父様達は領地の方に帰られました。
帰られる時に領地に是非おいでと言われ、機会があれば行ってみたいなとは思いますが、旦那様は忙しい身ですし、なかなか実現はしないだろうなと思いながら、いつもの日常が戻ってきました。
旦那様は、以前よりも早いお帰りだが、仕事に行かれる間は私の自由時間で、畑仕事をしたり、お仕事を手伝ったりして私のストレスは解消されました。
「嗚呼、とっっても楽しいーーー!綺麗になった窓を見るとスッキリするーー!」
「奥様。ある程度でおやめ下さい。」
「分かってるわ!大丈夫、大丈夫!皆のお仕事は取らないから!」
「そう言いつつ、さっきからどんどんどんどん仕事をしているような。」
「あら?そうかしら?」
あらら、そんなにした気はしないのだけども。
ストレス発散の為にめちゃくちゃ動いていたのかもしれないわ。
反省しなくちゃ。
でも、本当に楽しくて楽しくてしょうがないんだものー!
洗濯も真っ白なシーツを見てれば達成感に溢れるし、廊下がピカピカになれば幸せを感じるし、畑にワサワサとなった野菜達を見れば喜びにあふれて、どんどん畑を耕したくなるのだもの!
こんなに充実しているのは久々なんだもの!!
「ふふふー!次はじゃがいもの皮むきー!」
「奥様!」
「さあって、早く厨房にいかないと!」
ルンルン気分で厨房に向かう途中、何やら騒々しい音。
これは誰かが言い合いしている?
そっと玄関当たりを覗けば、あれ?あれは。
「姫様!?」
「しっ、奥様。」
「ビッビィー!」
なんで姫様がここにと驚いて声を上げれば、いつの間にか居たビィーに口を抑えられた。
何故、ビィーがここに?
基本、お庭でお仕事しているビィーなのに。
「庭で仕事をしていたら、何やら不審人物が来たと思って、追ったんだ。」
「へっ?不審人物?」
それってまさか。
姫様のこと?
「あの馬鹿姫、なーんにも告げずにここまで来たらしいよ。」
「えっ!?なんて危険なことを!?」
「一応、影の護衛がいるみたいだけども、それは表だっては止めることが出来ないからね。困ってるみたい。一応、表の護衛には伝えてるみたいで、すぐに迎えに来るとは、思うけど。」
「そうなのね。しかし、なんで、ここに?」
姫が護衛も付けず、ここまで1人できてるなんて大変な事だと慌てたが、ビィーが言うには、もう対策され済みらしく、ひとまず安心しました。
しかし、なんで姫が公爵家へ?
「どうやら、旦那様に会いに来たみたいだね。」
「旦那様に?」
「うん。後、奥様に。」
「えっ?私?」
「うん、奥様を、出せ出せって、さっきからうるさくて。出すつもりはないからってクリスさんが対応してるけど。」
「なんで、私に?それに旦那様に会いたいならばそれこそお城でいればいいのでは?」
旦那様のお仕事場はお城な訳ですし。
ここには居ないこと姫様がよくわかっているはずじゃあ。
「んー、どうやら、会えないみたいだね。」
「えっ?旦那様、ちゃんとお仕事いってらっしゃいますよね?」
「うん、行っては行ってるけども、姫とは一切会う気がなくて断ってるって。旦那様、殿下や陛下と仲がいいから。お2人が止めてるから、だから城では会えないみたい。」
「そっそうなの。」
まさか、旦那様が姫に会うのを断るなんて。
しかも陛下や殿下まで巻き込んで、会わなくするなんて。
「だから、ここまでやってきたみたい。そんでもってついでに奥様にも会うためにみたい。」
「何故、私と?」
「なんか、奥様に直接話して旦那様と別れさせるとかなんとかって。」
「ええ??」
「あっ、大丈夫。そんなことには、絶対させないって旦那様も言ってたし。まずその話を聞いてエレナさんが相当カンカンで、ほら、あそこ。エレナさんすっごい顔で姫を見てるでしょ?」
そう言われて見れば、嗚呼、クリスの隣に笑顔だけども笑顔じゃないエレナがいました。
あれは相当怒ってますね。




