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「それって、いつ頃のお話なのですか?」
「もう、6年も前の話だよ。」
「6年ですか。」
6年間、その言葉からずっと姫様を思っていらっしゃったのですね。
長い間、愛してらっしゃったのですね。
そう言えば、私が金さん出会ったのは10年前。
6年前と言えば、金さんが約束を守って、再び会えると信じていたまだまだ少女の時ですね。
とても懐かしい。
「私もその頃、獣人族の方をお慕いおり、結婚したいと思っておりました。」
「それは、その。」
「ふふふっ、まだ幼い時でしたので。そういえば、私も同じようなことを祖母や祖母の教え子さんという方にお話していましたね。」
「教え子?」
「えぇ、祖母は弓の名手で、国随一と呼ばれてる方なのです。なので、お弟子さんは沢山いるそうで、度々私を連れてお弟子さんや教え子さんの所に行っておりました。私の弓の腕は祖母譲りなので、一緒に行っては鍛えてもらっていました。」
懐かしい記憶です。
祖母はそれそれは慕われていて、とても高貴な方達もお弟子さんだったり教え子だったりしていました。
私に才能があることを知るとすぐさま私を連れて色々なところにいき、色んな話を聞かせてくれました。
とてもいい経験です。
そう言えば、そんな時に度々婚約者の話をされることがあり、その時に獣人族のお嫁さんになりたいって話をしたことがあります。
「ふふふっ、懐かしい過去です。あら、そう言えば、幻っていったいどういう事ですか?」
「えっ、嗚呼、そのそれが、どうやらそう言ったのはリリィ殿下ではなかったのだ。先程の態度からリリィ殿下は昔っから獣人族が嫌いだったそうだ。だから陛下にそんなことをいうはずがないんだ。」
「そんな。」
「でも、確かに俺は聞いたはずなんだ。しかし、それは姫ではないんだ。多分、ジム陛下に今更聞いたところでもう忘れていらっしゃるだろうし、俺はミミ、君に出逢えた。だから、もうそのことは忘れることに。」
「ジム陛下?」
「あっ、嗚呼、すまない。陛下には昔っから可愛がってもらっていてね。ジェームズ陛下と言いずらかった幼かった俺たちは陛下の愛称であるジム陛下と呼ぶ許可を貰っていてね。思わず出てしまう時があるんだ。」
ジム陛下?
あれ?そう言えば、お祖母様の教え子さんの中にジム坊って呼ばれていた教え子さんがいたような。
気の所為ですかね?
「うーん。」
「どうしたんだい?ミミ?」
「いえ、気の所為かもしれないのですが、ジムさんっていう教え子がいた気がするんです。」
「えっ?」
「昔なのでよく覚えてませんが。陛下と同じ愛称の方がいらっしゃってもおかしくは無いですよね。」
ジェームズさんってお名前の人も多いですし。
そういえば、そのジムさんのお部屋もすごく豪華でしたね。
「それこそ、公爵家ぐらい豪華なお部屋だったので、お部屋のことをよく覚えているんですよね。」
「ミミ、その屋敷はどんな屋敷だったんだ?」
「いえ、それが行っている時は寝ていて、帰る時も寝てしまったのでどんな御屋敷だったのか覚えていないのです。もしかして旦那様の知り合いの方ですか?」
「いや、この国に陛下以外にジェームズという名の貴族はいないはずなんだ。愛称がジムってなる者も。」
「えっ?」
では、やっぱり私の気のせいでしょうか?
「ミミ、それはいったいどれぐらい前のことだ?」
「えっ?6年前ぐらいですかね?」
そう言うと旦那様が目を見開いて、急に肩を掴まれました。
一体どうしたのでしょうか?
「だっ旦那様?!」
「君だったのか。」
「えっ?」
「嗚呼、嗚呼、嗚呼!!!なんて言うことだ!!!」
「えっ、えっ、えっ????」
「嗚呼!嗚呼!!!これは運命だっ!運命だったのだ!!!」
「旦那様?」
急にどうしました!?旦那様!?
どれほど声を掛けても旦那様はそうだったのかや、運命だと言い続けるばかりで、どうしたらいいのかと考えるがいい案は浮かばず、困っているといつの間にか御屋敷に到着していたようで扉が開いた。
助かったと思い、顔を向ければ、居たのは鬼の形相を浮かべたエレナでした。
「何をしてやがりますか、馬鹿旦那様あああーーーーー!!!!」
旦那様に対して怒鳴ったかと思うと、旦那様から私を奪い取り、エレナの後ろに連れていかれた。
あっ、エレナ怒りすぎて猫耳が出ている。
その耳はピーンっと立てっている。
怒っているエレナには悪いけど可愛らしい。
「なかなか出てこないと思って様子を見れば、何、奥様を困らせているんですか!?」
「えっ、あっ?!」
「奥様を困らせるなんて、許しません。さぁさぁ、奥様。早く屋敷に入りましょう。この馬鹿旦那様は置いといて。」
「えっえっ?エレナ???」
「まっ待て!!エレナ!!」
「待ちません!!さあさあ、奥様、行きましょう!」
ぐいぐいとエレナに押されて屋敷の方へと進んでいきますが、旦那様が気になって後ろを振り向けばクリスがいました。
どうやらエレナとクリス、2人が迎えにきてくれていたようですね。
旦那様はクリスになにか言われているようですが、まぁ、クリスがいるなら大丈夫ですよね?




