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終わっていなかった心配事に頭を抱え、もしかしたらローエンの奥さんとなった人は私たちの我儘に巻き込まれた女性なのではないかと新たな心配事に頭を抱えている中、妹であるリリィの婚約が決まった。

今まで我儘なリリィの婚約者となるものをこの国ではなかなか見つけることが出来なかったが、最近不穏な空気の国があり、その国に対抗する為にも隣国と協力体制を築くためにも、リリィを嫁に出すことになった。

獣人族である隣国の王は獅子族で、一夫多妻制だ。

どの妻も平等に愛するという王で、妻達の仲もとても良いとのことで、世間知らずのリリィでも良いと言ってくださったとのことで、父上はとても良い婚約だと喜んだ。

しかし、それを全く喜ばなかったのが、当の本人であるリリィと何故か結婚したはずのローエンだった。

リリィは反抗するとは思っていたが、ローエンまでとは。

いち早くやって来て、婚約の内容を聞こうとするとは。

しかし、ローエンがきたタイミングが悪かった。

リリィは上手く隠していたが、身内しかいない場だと思い、リリィの本性を出していたのだ。

獣人族に対しての差別的言葉を吐き、怒りのまま父上の元まで行ったリリィに、ローエンは今まで見たことがないような表情を浮かべて、屋敷へと帰って行った。

これで、ローエンも目を覚ましたことだろう。

ローエンに悪いが、幻想にいつまでも騙されていては困るのだ。

アイツはウィルド公爵家の当主なのだから。

この国の大事な柱の一つであり、今、不穏な空気しかない時に幻想に惑わされたままだと困るのだ。

1つ頭を悩ませていた事が減ったと安心したが、しかし、ローエンに対してもう1つ、新たにできた心配事があった。

気になるが、ローエンは絶対にウィルド公爵夫人を表に出そうとしないし、ウィルド公爵夫人と会う機会が無い。

ローエンに、直接尋ねたところで黙るだろうし、どうしたものかと頭を悩ませていると、もう1人の幼なじみがやってきた。

そして、信じられないことを言うのだ。



「ローエン、本当に奥さんのことめちゃくちゃ溺愛してましたよ。」


「はっ?」


「ん?気になってたんじゃないですか?殿下。」


「いや、気になってはいたさ。しかし、なんで、ルートがそのことを知っている?」


「いや、この前、たまたま主催した夜会にローエンを招待したんです。それで、スーニャがそれはそれは脅しのように奥様を呼ぶようにローエンに言ったらしく、それでようやく奥様を見ることが出来たんですよ。」


「スーニャが。」


「ええ、スーニャが。」



ローエンを毛嫌いしているスーニャが、ローエンの嫁を見たがるとは。

スーニャはローエンとよく似ているからこそ、何か勘づいたのかも知れない。

それこそ、私が思い至った考えと同じものを。

しかし、今、ルートはローエンが奥さんを溺愛していると。



「ルート、本当にローエンはウィルド公爵夫人を溺愛していたのか??」


「ええ、俺も見るまでは疑っていたんですが、それはそれは夫人を宝物のように扱っていたんです。あれを見た全ての人はローエンと夫人が運命の出会いをしたと信じたでしょうね。あれほどローエンが熱い視線を夫人に向けているのを見ればね。」


「そっそうなのか。」


「ええ。でも、困った事がおきましてね。」


「困った事だと?」


「はい、それが、ローエンとそっくりなうちの妹様がそれはそれは夫人を気に入り、それこそ溺愛しそうなぐらいな勢いなんですよ。」


「スーニャがか!?」



あのスーニャが溺愛するだと?

いや、ローエンとそっくりなスーニャがローエンが溺愛するほどの人ならばスーニャも惹かれるのは分かるが。

いや、しかし、あのスーニャがだぞ?

人嫌い過ぎて、表では猫かぶりをしているが裏ではそれはそれは嫌そうにしているあのスーニャがだぞ!?

愛より金なスーニャが!

仕事に生きると言うスーニャがだぞ!?



「ええ、あのスーニャがですよ。愛など幻想だと言い、あまりにも有能過ぎて、婚約候補をことごとく負かしてしまい、どうすれば嫁に行かすことが出来るのかと頭を悩まさせているが、本人は自力で生きていけるので全く心配ご無用だとか言いのけるあのスーニャがですよ。」



男性だったらと誰よりも有能だったと言われ、しかし女性でもそんなことを言っていたヤツらを見返した強すぎる女性。

そんなスーニャがウィルド公爵夫人を溺愛したと?

スーニャは、有能すぎるが故に、嫉妬され、それこそ友人など、なかなか作れず上部だけの関係ばかりだった。

それを本人も気にはしていなかったが、兄であるルートはとても心配していたのだ。

私とはまた違った問題をもった妹をもっているルートはその点でよく話があっていた。

スーニャとローエンが喧嘩していた時に困った妹談議をよくしたものだ。

そんなスーニャが夫人を溺愛するとは。



「まぁ、夫人もスーニャを気に入ってくれたようで、友人になれたと、スーニャがとても喜んでいましたよ。」

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