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スーニャの言葉に聞いて喜んでしまう。

末永く仲良くしてくれるなんて。

同年代のしかも貴族の友達なんてできるわけが無いと思っていたからとっても嬉しい。

貧乏貴族だから誰も相手してくれないと思っていたのに。

スーニャは私の実家が貧乏であることも、旦那様とは不釣り合いなのことも全部知っているのに、それでも友達で末永くいてくれるなんて言ってくれる。

それがとっても嬉しい。



「嗚呼、俺の妻を末永くよろしく頼むよ。スーニャ嬢。」


「ええ、もちろんよ。あなたの妻でなくなったとしても私はミミの友達よ。」


「スーニャ。」


「ちょっと待て!」



スーニャの言葉に感動していれば、旦那様がギュッと私を抱きしめてびっくりしました。

急にどうしました!?



「何で、俺とミミが別れるみたいな言い方なんだ!?」


「あら?そんな風に聞こえたかしら?」


「そうとしか聞こえなかったが?」


「あら、私そんな気持ちはなかったわよ。」



低い声でそういう旦那様は怖いぐらいなのに、それを

言われているスーニャは全く怖がる様子もなく平然と返事をしている。

スーニャにも契約結婚のことは伝えてないし、旦那様との出会いも一応旦那様の言った通りで伝えてはいるのだけども、前回もだけども、旦那様と別れたらなんていう話が何度もされていた。

旦那様と別れたら是非ともスーニャの所で働かせてもらえるとかなんとかって。

それはとっても助かるからもし、そうなったらお願いとは言ってはいるけども。

いつ、旦那様との契約結婚が終わるか分からないので何かあった方がいいだろうなとは思ってはいたからスーニャからの話は冗談だとしても有難いお話だもの。

例え冗談でも否定はしたくないし、出来ればお願いしたいぐらいだもの。

旦那様と契約結婚して今の所はお金にさほど困らないようにはなっているとは言えども、まだまだ貧乏貴族なうちだもの。

もし、私が働けたらそれはそうとう助かるもの。

ま、それにスーニャも例え、公爵夫人じゃなくてもミミのことが好きだよってことを表したくて言ってくれているってのは知っているし。

今のだってそういうことだと思うのだけども。

チラリと旦那様を見れば、スーニャを睨みつけているし、スーニャも旦那様を睨みつけている。

お義父様達はいつものことだと笑っているのでこれが収まることはなさそう。

うう、間に挟まれているので逃げるわけにもいかず、わたわたとするだけの私。

そんな時、タイミング良く、王族の方達が入場する合図がなった。

王族の方達が来るとなれば、旦那様達も黙らなければならないので、口喧嘩は止まった。



「皆、よくぞ来てくれた。」



陛下が挨拶をしている横に皇后陛下と、殿下達がおられます。

勿論、今日の主役である姫様もいらっしゃいますが、どうやら浮かない表情。

いえ、私の気のせいですよね。

チラリと旦那様を見てみるけども旦那様は平然とされている。

少し力を込めて握れば、旦那様は驚いてこちらを見る。

そして優しく微笑んで旦那様も力を込めてきた。

どうやら落ち着いているようです。

未練は一切ないと言ってましたけども、今まで思っていた方の婚約発表ですもの。

傷つかないわけがありません。

私がしっかりと支えないと。



「今夜は我が娘、リリィの婚約を発表するための場だ。リリィは今まで婚約をせずにいたが此度、縁があって隣国のレオルド国のルトリア陛下と婚約し、結婚することが決まった。」



それを聞いてザワつく会場。

隣国のレオルド国とは獣人族の国であり、ルトリア陛下は獅子の獣人であるとは有名な事だ。

今まで獣人族と結婚することなどなかった王族だったはずが、姫がまさか隣国の獣人族に嫁ぎに行くだなんて皆思っても見なかったのだろう。

というか、旦那様、獣人族の国に姫が嫁ぎに行くだなんて!?

獣人族に嫁ぎにいけるならば旦那様だって、そう思い旦那様を見れば、旦那様は私を見ていた。

そしてにっこりと笑い、人差し指を口元に持っていった。

もしかして、旦那様は知っていたの!?

知っていて、何故、こんなに穏やかに?



『だ、い、じょ、う、ぶ。』



音のない声でそう言われて気づいてしまう。

旦那様は知っていたのですね。

それなのに、旦那様はこんなにも落ち着いているいらっしゃる。

私は旦那様の手を更にぎゅっと握りしめた。



「今回は間に合わず、発表だけとなったが、ルトリア陛下もこちらに来て下さるとのこと。ルトリア陛下が来てくださった時に、また正式に婚約発表の会ができればと思っておる。」


「・・・なぃわ。」


「ん?どうした?リリィ。」



旦那様が心配で陛下の方が見れていなかったのだが、なにか陛下の焦った声が聞こえてそちらを見れば、姫からポタリと流れた。

えっ?

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