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「ありがとうございます、お義父様、お義母様。」


「ミミが美しいのはいつものことですが、今日は本当に女神で、連れてきたくはなかったのですが。」



あの旦那様、さっきから、妖精だったり女神だったりと私、そんなものでは無いのですが。

しかし、こんなに大勢の前ですし、黙ってニコニコしておくしかないですね。



「そうねそうね。本当にミミちゃんは可愛らしいしいい子だし、取られないようにしないとね。」


「ええ、気が気では無いですよ。さっきから本当に鬱陶しい。」


「ふふふ、ミミちゃんはもううちのお嫁さんなのにね。他にあげる気なんて一切ないのに。私もさっきから色々な人からミミちゃんのことを聞かれるけども、とっっってもいい子でうちの自慢の娘ちゃんなんですーって、たーーーくさん言っておいたから!」


「王妃にまで言っていたね。まぁ、皆羨ましいんだろう。ほっとけばいいさ。」



ええ?今なんて!?

王妃様まで話したのですか!?

嗚呼、頭が痛いです。

私なんてただの貧乏貴族でしたのに。

いいえ、いいえ、公爵家に嫁に来た時に覚悟はしておりましたが、そんな風に言われるとは思ってはいませんでした。

嗚呼、気を確かにしておかなければ。

お義母様達は初めてできた娘だからこそこれほど可愛がってくださっていますし、所詮身内だからこその可愛さですもの。

所詮は私ですもの。

今は物珍しさで見られているだけです。

きっと姫様達がやってきたらこの視線も収まるはず。

なんたって今日の主役は姫様ですもんね。

姫様の婚約発表。

嗚呼、旦那様大丈夫でしょうか?

チラリと旦那様を見れば目が合ってしまいました。



「ん?どうした?ミミ。」


「いっいいえ、なんでもないです。」



優しく微笑まれる旦那様。

うーん、今は平気そうですね。

しかし、長い間思われていた方の婚約発表。

何も感じないわけがないですものね。

私がしっかりと旦那様を支えなければ。

気合いをあらたに入れていると、声を掛けられました。

この声は。



「ミミ!」


「スーニャ!」


「嗚呼、今日のミミとっても美しいわー!」



声を掛けられて後ろに振り返れば、スーニャに抱きしめられていました。

スーニャは頬に擦り寄りながらもぎゅうぎゅうと抱きしめてきます。

これって、とっても目立ちますよね?

今の今までも目立っていたのに。

しかし、嬉しそうに擦り寄ってくるスーニャを止めることはなかなか出来ず、とりあえずされるがままです。



「あ、ありがとう。スーニャ。」


「とーってもとーっても似合っているわー。このドレス。ミミの為に作られたドレスね!」


「あの、あの、スーニャ?」


「ミミの魅力を最大限に引き出せているわ。本当に女神かと思えたわ。ふふふ。」


「おい、そこをどけ。」


「あら、ローエン。いたのね。」



なんとかスーニャに視線に気付いてもらおうとしてたが、なかなか気づいてもらえず、どうしようかと思っていれば、とっても低い声が。

この声は旦那様。

そういえば、先程まで旦那様にエスコートされていたのに、スーニャがどうやら旦那様を突き飛ばし、私を抱きしめていたようだ。

旦那様は怒りの表情を浮かべている。

それに対して、スーニャは冷ややかな目線を向けている。

本当に仲が悪いようですね。

スーニャからよーく話は聞いていますし。

周囲も驚いた様子もなく、いつものことだと思ったようで、先程よりも視線がなくなっています。

しかし、2人の間の空気はとっても怖いです。



「いるに決まっているだろう。ミミがいるのだから。」


「何故?何故、ミミが居たらあなたがいるのよ。」


「はっ?お前、頭が悪くなったか?俺はミミの旦那だ。そしてミミは俺の、妻だ。ミミのパートナーは俺以外がなることは絶対ないし、ミミが1人で夜会に参加させることはないから、ミミがいるということは俺がいるって言うことだ。」


「なによ、あんたは別に必要ないのよ。私はミミと話したいの。私の可愛らしい友人のミミと。」


「私のとはなんだ。まず、俺の妻なんだよ。ミミは俺の可愛らしい奥さんなんだよ。邪魔をするな。」



ピリピリとした雰囲気が流れております。

2人とも笑顔で小声で言い合ってますが、挟まれている私にはバッチリと聞こえています。

そして、お義父様、お義母様微笑ましそうに見ないでください。



「ふふふ、もうスーニャちゃんもミミちゃんのことが大好きなのね。」


「スーニャ嬢とローエンはよく似てたからな。男女の違いだけだから、似たもの同士だから婚約してもと思ってはいたが、そんなことをしたら、2人ともそれこそ殺し合いを始めそうだったな。」


「そうねー。でも、スーニャちゃんが女の子で良かったわ。もし男の子だったら、スーニャちゃんにミミちゃん取られちゃってたかもしれないもの。」


「えぇ、とっても残念です。」


「ふふふ、でも女の子通しならではの仲良しさんもあるものね。ミミちゃんと、たーくさん仲良しさんでいてあげてね。」


「それは勿論です。」

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