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「誰の許可を得て見ている。」
「えっ??」
急に何を言っているのでしょうか?
とっても低い声でそういう旦那様にビックリして旦那様を見るが旦那様は鋭い目で周囲を見ていた。
そんな旦那様に周囲、王宮を護衛している騎士達はサッと視線を下に向けた。
あっ、視線がなくなった。
「大丈夫か?ミミ。」
「えっ?」
あっ、私が視線に困惑していたのを気づかれたんですね。
そして、その視線をこうすることでなくしてくれたんですね。
先程の言葉や態度は私の為だったんですね。
「旦那様、大丈夫です。ありがとうございます。」
「いや、俺が嫌だったんだ。」
「えっ?」
「俺の可愛い奥さんをジロジロと見られるのが。」
「へっ?」
一瞬、驚いたが、そうだ、私達はラブラブ夫婦ってことになってるはずだったんでした。
忘れてました。
一瞬、忘れててドキッとして焦ってしまったが、周りに見せつけるためにですね。
ふふふ、私ったら。
「もう、旦那様ったら。」
「ミミ。」
「早く行きましょう。」
ぎゅうっと、腕を抱き締めれば、旦那様は睨んでいたのを抑えて前に進み始めた。
良かった。
視線が、なくなったのは良かったけども、顔面蒼白にした騎士様たちを見るのは申し訳なかったから。
私が睨まれてる訳では無いけども、それでも少し怖いなって感じてしまうぐらいですもの、実際に睨まれている騎士様達はそれこそ蒼白になるぐらいに怖いでしょうね。
ジロジロと見ることはあまり良い事だとはおもいませんけども、それでも仕事をして頂かなければなりませんもの。
これで仕事が疎かになったら大変だから、旦那様にはやめていただかなければなりません。
まぁ、私のためにっていう感じだったので、言葉で辞めてくださいというのもどうかなって思ったので、無理やり前に進めるということでやめてもらいました。
ふふふ、なんとか作戦成功して良かったです。
ズンズンと進む旦那様について行けばもう会場です。
中を開けば煌びやか。
うぅ、眩しいです。
そして、注がれるまた視線。
公爵夫人というのはこういう視線に耐えられてこそですよね。
うん、気合いを入れていかないと!
「ミミちゃーーーん!」
「わわっ!」
「母上!!」
気合を入れていたら、急にお義母様が現れてびっくりしてしまった。
お義母様、先に行ってらっしゃったから、ここにいてもおかしくないのだけども、入ってすぐにお義母様に、声を掛けられるとは思ってなかったからびっくりしてしまった。
「ミミが驚いているだろう。離れるんだ。」
「なによー!ひどいわよー。ミミちゃん、独り占めするなんて!」
「酷くない。ミミは俺のお嫁さんなんだから。独り占めするのは当たり前だ。」
「なによなによ!私はミミちゃんのお母さんなんだから!」
「ミミのお母様はスーティン辺境伯夫人です。母上ではありません。」
「ミミちゃんが私をお義母様って呼んでくれるから、私もミミちゃんのお母さんですー!」
「あの、旦那様、お義母様!」
「やめなさい、2人とも。恥ずかしいだろ。」
「父上。」
「あら、あなた。陛下との話は終わったの?」
喧嘩をし始めたお義母様と旦那様に困惑していると助けるようにお義父様が声をかけて下さり、2人は止まりました。
良かったです。
さっきから視線がじっとこちらばかり見てたので。
お義父様はにっこりと優しく微笑んでくださり、お義母様の背中をとんとんと優しく叩いた。
「相変わらず熱中することがあると周りが見えなくなるんだな。2人とも。」
「あら、私は悪くないわ。ローエンが可愛いミミちゃんを独り占めするからいけないのよ。あなただって、可愛い可愛い娘と交流したいでしょ?」
「そりゃあそうだけども、ローエンは一応ミシェル嬢の旦那さんだからね。新婚さんを邪魔してはいけないさ。」
「なによなによー。私一人だけ悪者にしてー。呼び出された時とーっても嫌がったくせに!」
「それとこれとは話が別だ。」
そうはっきりと言うお義父様に、相当嫌だったのだなと思いました。
そして今も逃げてきたのだなと感じました。
お義母様はむすーっとしながらも、お義父様と腕を組んでいます。
良かった、一先ず落ち着きそうですね。
「それにしてもミシェル嬢、そのドレスとてもお似合いだ。入場してきた時、どこの妖精姫が迷い込んできたのかと思ったよ。」
「そうよねそうよね!本当に綺麗!ミミちゃんの為に作られたドレスよね!ドレスは出来上がってから見てたけども、やっぱりミミちゃんが着てるとさらに輝くし、本当にうちのお嫁さんがこんなに美しい子だなんて、幸せよねー。」
ふふふと笑うお義母様とお義父様に、焦ってしまう。
そんなに、お世辞を言わなくても!!




