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王家の片翼を担っていると言われている公爵家。

遠い昔、国ではなくまだ集落だったときその集落の族長と親友だった先祖が親友のピンチを助け、そして族長の妹と結婚したのが始まりだとか。

しかし、世が変化していき、国となり昔はあった獣人族への理解も薄れていき、差別的になり、当時の王族と公爵家は公爵家を守るためにも公爵家が獣人族であることを秘密にし、そして王族と公爵家が結婚することを禁じたのだとか。

しかし、公爵家は王にとってなくてはならないもの。

一族を絶やさないように跡継ぎは勿論、子孫は多い方がいいと言われていた。

お義父さまにも兄弟が2人いて、次男の方は王の近衛騎士としているとのことで、旦那様もその方に憧れて騎士を目指したそうです。

そして、三男の方は隣国に留学し、その後はそのまま隣国で過ごしていらっしゃるとか。

ちなみにこの三男様が結婚されているそうです。



「私は母親として失格なの。」


「そんなことありません!!」


「ミミちゃん?」


「私はここに嫁いでまだ短く、お義母さまと過ごした時間は短いですが、この屋敷のもの達の話や、旦那様の様子を見ていてお2人がとても旦那様を愛して育ててくださっていることはよく分かります。私のことも大変心配してくださっているのはお手紙でよく分かっています。」


「ミミちゃん。」


「そんなお義母さまが母親として失格なわけありません。それに母が言っていました。誰だって、誰かの親になることは初めてなのだから、失敗することだってある。でもその失敗を繰り返し母親になるんだって。子が母親にしてくれるんだって。」



育児に悩み、絶望していた女性にそう言っていた母。

その時にそばに居た私を抱きしめてそう言った。

そして続けてその女性にこう言ってた。



「失敗して、それに気づき努力しようとしている者が母親失格なわけが無い。その子を愛している限り、あなたは立派な母親よって。」


「ミミちゃん。」


「だからお義母さまが母親失格な訳がありません。旦那様を心から愛し、慈しんでいますもの。」



そう言い切ってからハッとして気付きました。

なんて、偉そうなことを言っているのかと。

ただ最初は私にもよくしてくださるお義母さまが辛そうにしているのが見ていられなくて思わず言ってしまい、その後は出てくる言葉をそのまま言ってしまいました。

いえ、言った言葉は嘘ではなくちゃんと思っていることですが、後々考えてみればなんとも偉そうなことを言っています。



「嗚呼、すみません!偉そうなこと言って!!」


「いいえ、とてもいい話を聞いたわ!ありがとう!ミミちゃん。」



謝るが、お義母さまは気にしておらず、ニコニコと笑ってしました。

良かったです。



「ミミちゃんのお母様とゆっくり話してみたいわね。」


「そうですね。」



そう言えば、結婚式等で会ったことはあれど、ゆっくり会ったことはなかったんでした。

その後もバタバタとして、お義母さま達もうちの父母もこちらに来ることはなく、結局それきっり会うことも無かったですし。



「そう言えば、今回の夜会にはミミちゃんのご両親も来れるのよね?」


「はい。一応、招待されたので、来るとは聞いてます。」



一応、貧乏貴族ですが、今回は姫の婚約発表もある大事な夜会ですから、いつもなら参加せずにいるうちの両親も今回は来るそうです。

そのことを伝える手紙が送られてきて、旦那様が何故かはりきっていましたが。



「ふふふ、なら、その時にお話できるわね!」


「えっと、そうですね?」



お話できるでしょうか?

うち、貧乏なので滅多に夜会などには参加しないんですよね。

なので知り合いもおらずなので暇はあるとは思いますが、お義母さまは公爵家夫人だった方ですし、知り合いも沢山いらっしゃるかと。

しかもお義母さまも久々の社交界ですし、ひっぱりだこだと思われるのですが。



「ふふふ、楽しみだわー!」



本当に楽しみそうにしているお義母さまを見れば何も言えませんでした。

少しでも話す時間が確保できるように努力だけはしないとですね。



「会えたら、ミミちゃんと3人でお話しましょうね!」


「えっええ。」


「あっ、でもミミちゃんはひっぱりだこかしら?」


「えっ?」


「だって、噂の公爵家夫人様ですものね!しかもこーんなに可愛らしい子だもの!私も母として守るからね!」


「えぇ??」



お義母さまがはりきってらっしゃいますが一体何を???

私を守る?

お義母さまが??

いやいや、いやいやいや。

私がお義母さまを守る盾になることはあれど、私が守っていただくことなんてないですよ?

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