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「ようこそいらっしゃいました。お義父さま、お義母さま。」
「まあまあ、ミシェルちゃん!」
「久しぶりですね、父上、母上。」
「元気そうだな。」
ニコニコと優しく微笑むお義父さまとお義母様。
今は領地の方で穏やかに暮らしているそうです。
時折、旦那様宛にお手紙が来ていたようですが、こうやってお会いする事はなかなかなくて、本当にお久しぶりです。
お元気そうで安心しました。
「父上もお元気そうで良かったです。」
「はっはっはー。面倒な仕事をせずにゆっくりと出来るからな。こっちにいた時よりも元気だな。」
「それは良かった。」
「お前も、奥さんのおかげで以前よりも顔色が良いな
。」
そう言って笑うお義父さまはちらりと私を見られたので、とりあえず微笑んでおく。
運命の出会いをして、再会し結婚したことになってはいるけども、それは嘘だから心苦しい。
お義父さま達と会うことは本当になくて、そんなこともすっかり忘れていたけども。
お義父さま達はいい歳して、結婚をしない、ましてや婚約もしない息子をとても心配して何度も何度も叱ったり無理矢理でも婚約者を選ぼうとしたりしていたと聞いてはおりますが、私がご挨拶に言った際にはとっても優しくしてくださっており、逆に心苦しくなった思い出があります。
そんなお義父さま達。
今は旦那様も姫に対して思いがなく、何故か私を愛していると言ってくださっていますので、その嘘が少しは嘘ではなくなっているのでしょうか?
それをお義父さま達も無意識のうちに勘づかれているのでしょうか。
「ええ、ミミに会いたくて以前よりも早く仕事を終えて帰ってますから。」
「あらあら、本当にミシェルちゃんが好きなのね!というか、ミミって、ミシェルちゃんのこと?」
「えぇ、ミシェルは家族にはそう呼ばれていたそうなので、俺もそう呼んでいるんです。」
「あらあら、とっても可愛らしいわ!私もミミちゃんって呼んでもいいかしら!!」
キラキラ輝く瞳で見つめられて断れるわけがありません。
本当にお義母さまは美しいです。
美人さんです。
私の母も綺麗な人ではあるんですが、母は綺麗系な美人ですし、バリバリに畑仕事や家事をこなすので日にも焼けています。
逆に父は平凡で、と言っても優しい父です。
そんな父を母は心底愛していたそうで、母から父に猛アタックしたとか。
母は今でこそ肝っ玉母さんですが、昔はなかなか美人で有名だったとか。
それこそ父がどこかの国の姫だったとかって言ってますが、それは嘘だと分かってます。
時折、母方のお爺様達もこられることもありますが、普通のお爺様達ですもの。
王様なわけがありません。
でも、まぁ、美人で有名はよく分かります。
その面影がありますもの。
でも、それ以上にお義母さまは美人で、可愛らしい方。
旦那様のお姉様と言われても納得できますもの。
それぐらいお若いのです。
お義父さまも渋いイケメンです。
旦那様が歳を取っていくとお義父さまの様になるのかしら?
でもお義母さまは可愛らしいですし、お若いままなのかしら?
うーん、謎ですね。
でも、どちらでも素敵なのは間違いありませんね。
そんなことを考えていたからかしら、いつの間にやら旦那様に腰を抱かれて応接間です。
まぁ、事前にしっかりと打ち合わせしてるからエレナ達はしっかりと動いてくれてます。
流石は優秀すぎる方達ばかりです!
「そうそう、ミミちゃん。もうドレスは決まってるの?」
「はい、マダムに頼んでいます。」
「あらー、そうなのね!折角だったら一緒に選びたかったけども。それはまた今度ね!ふふふっ、私娘とドレス選びするの夢だったから、絶対、選びに行きましょうね!」
「はっはい!」
お二人共優しいけども、特にお義母さまは娘が欲しかったからってとってもお優しい。
お手紙でも似合いそうなジュエリーを見つけたのや、ドレス、靴を見つけたとは言って買おうとしているのをお義父さまが止めていると書かれていた。
お義父さまも私の趣味も分からないのだからやめときなさいと止めてくれていると書かれていて、とってもお義父さまに感謝しました。
ただでさえ、心苦しいのに、さらにプレゼントなど貰った日には心苦しさで倒れてしまいそうです。
それほど、お義母さまは気に入ってくださっているってことなのですがね。
「母上、ミミを困らせないでください。」
「あら、困らせてるかしら?」
「いっいいえ、そんなことはないです!」
「ほらー、ミミちゃん大丈夫だって!」
「ミミは優しいんです、例え困っていても言えません。」
「いえ、そんなことは!お義母さまとお買い物に行けるのことは楽しみですし!」
旦那様にそう言えば、旦那様は優しく笑って抱きしめられてしまう。
お義父さま達の前なのに恥ずかしい!
「だっ旦那様!!」
「はっはっはっ!夫婦仲がいいことだな。」
「えぇ、そうね!」




