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旦那様に対してのエレナの対応がどこか酷いことは感じていましたが、これほどとは。

旦那様を糞ガキ呼ばわりに思わず引いてしまう。



「えっと、エレナと旦那様が出会ったのは?」


「私が4歳の頃です。つまり、旦那様、いえ、坊っちゃまが6歳の頃ですね。」


「そんなに幼い時に。」


「ええ、まぁ、そうは言っても、叔父がおりましたので、叔父は先代様の執事をしていましたから。叔父は厳しくとも優しい方なので、特に辛く感じることもなかったので。それに同じ立場のクリスさんも居ましたし。」


「クリスと旦那様は同い年だから、6歳のときなのね。」


「はい。その頃からこの御屋敷でお世話になっておりますが、なかなかの糞ガキでしたので。」


「その、あの、旦那様が?」


「ええ、本当に何度も先代様にお許しをもらって殴り合いの喧嘩をしたことか。」



聞けば、旦那様は幼い頃から頭が良かったらようで、自分のやりたいようにすることが多くあり、先代の当主様、つまり旦那様のお父様もそのことを止めることはあまりしなかったのだとか。

それがまぁ、なんとも無茶無謀なことばかりだったようで。



「あの糞ガキ、それはまぁイタズラ好きでしてね。よーーーくよーーーく、巻き込まれましたよ。ええ、ええ。まぁそれだけならいいのですがね、一丁前に森に探検に行くと言って、一緒に行きましたが、護衛を連れていけばいいものを連れていかず、私とクリスさんとだけの時は本当にぶん殴ってやりましたよ!」


「えっエレナ?」


「私は山猫と言っても攻撃力は旦那様の狼やクリスさんの梟谷とは弱いので、結局置いていかれましてね。あの時は本当に殺意さえ芽生えました。まあ、結局は旦那様の探検のおかげでまだ知らなかった鉱物を見つけ、新たな事業を始めることが出来たのですがね。それでも結果論ですが!!!」



エレナの怒りは止められないようですね。

しかし、旦那様、昔はやんちゃだったのですね。

まぁ、私も人のことを言えませんが。

私も森の中に入って狩りしていたお転婆娘ですもの。



「しかし、それでも姫と出会うまでは私達の話も聞いてくださっていたのです。それを実行してくれるかどうかは分かりませんが、でも聞いてはくれていたのです。」


「エレナ。」


「姫に会ってからは全く私たちの話は勿論、大旦那様達の話も聞かず、突き進み、そして結果、奥様とこのような結婚をされました。本当にこんな契約結婚を止めなければならなかったのに。」


「そんな。」


「でも、奥様にこうして片思いしてからはまた私達の話も聞いてくださるようになりました。奥様と出会ったことで旦那様は気が付かれたのです。それがとても私は嬉しい。」


「エレナ。」



エレナのその言葉に感動してしまう。

あれほど怒っていてもやはりエレナは旦那様を大切に思っており、心底心配していたのね。

なんたって、幼い頃から一緒にいた仲だものね。

私には幼なじみと言える方はいないから、少し羨ましいわ。

と、しみじみしていたのですが。



「がっ!!!それはそれですっ!!!いいですか!?奥様!奥様は旦那様の勝手に巻き込まれたお方ですっ!奥様は、旦那様を振り回してボロボロにしたって構わないお方!!」


「えっ!?エレナ!?」


「奥様は大変お優しいですが!旦那様に流されてはなりません!もっともっともーーーっと!旦那様を振り回して構わないのです!!」


「振り回すって、そんなことは。」


「いいえいいえ!!旦那様はもっともっと奥様を大事にしなくてはなりません!!!」


「もっと???」



今でも恥ずかしい言葉を言われて、抱きしめられてるんですが、もっと?

私は遠慮したいのですが。



「嗚呼、勿論、奥様のご迷惑にならないようにですが。旦那様は今まで奥様を蔑ろにしすぎたのです。今更と思えて仕方がありませんが。」


「えっと、エレナ?」


「いえ、こちらの話です。ですので、奥様が迷惑だと思うことははっきりとお伝えしたら良いと思います。いえ、言うべきです!」


「そっそうね」



嗚呼、一応困っているっていう話は聞いてくれてたのね。

良かったわ。

私もはっきりと言うことをエレナに伝えながらも、エレナも悪ノリしないようにお願いしたが、そのことに関しては曖昧な頷きだった。

何故?

そして何時ものように畑に行ったり、庭をいじったり、他の子達の手伝いをしたりしていれば、早くも旦那様が帰ってくる時間。

出迎えをして欲しいと言われてしまったので、最近はちゃんと帰ってくるときにはお出迎えをするのだが。



「ミミ!!!」


「おっ、お帰りなさいませ、旦那様。」



ドア開けたと同時に抱きしめられるのは毎回の恒例なのでしょうか?

旦那様の機動力が凄すぎませんでしょうか?

気がつけば抱きしめられているのですが。



「嗚呼、ミミに会えない時間は地獄だ。」


「いえ、そんなに時間は経ってませんよ?」

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