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「奥様!なんて愛らしい!流石は貴方たちですね!」



私を見てエレナさんは感動したように言う。

その後ろにクリスさんが見えます。

クリスさんも何故か感動したようにこちらを見ています。

嗚呼、メイドさん達を労るためですね。

分かります。

なので今は黙っておきます。

一生懸命働いてくれたメイドさん達。

その頑張りを踏みにじらないために。

えぇ、メイドさん達は頑張ってくれました。

でも、私がいけないのです。

平々凡々すぎる私が。



「さて、奥様。お話があります。」



メイドさん達が下がり、クリスさんとエレナさん、2人だけになってからクリスさんがそう話しかけてきました。

一体何でしょう?



「エレナから話を聞きました。今までメイド達と一緒に仕事をしたり、ムエじいさんと一緒に畑仕事をしたりとは本当のことですか?」


「えっと・・・嗚呼、はい。」



素直に答えるとはぁっと大きなため息が。

えっとえっと・・・?



「奥様。私たちは奥様がどういった理由で旦那様とご結婚したかは知っております。」



あっエレナさんも知っていたんですね。

クリスさんは知っていたのは分かってましたけど。

あれ?もしかしてこの2人だけしか知らない?



「嗚呼、この屋敷の者は奥様と旦那様が契約結婚したことは知りませんが、旦那様がどなかを愛していることは知っています。奥様以外の人を。」


「そうなんですか。」


「えぇ。この屋敷で働く者は皆知っています。だからこそ、奥様が望まれて結婚された方ではないことも皆薄々理解しています。」



まぁ、そうでしょうね。

だって、結婚してから一度も会わない夫婦なんてねぇ。

何かしらあることはこの屋敷で働いていれば分かりますよね。



「政略結婚とでも思っているでしょう。故に奥様は旦那様に振り回されている可哀想な方だと思っている者たちが多く居ます。」


「そうなんですか?」


「えぇ。だから奥様になかなか接触することも出来ず・・・エレナぐらいしか。」



おふぅ。

もしかして今まで私が誰にもあまり接触しなかったのは、旦那様に愛されていない奥様に対してどう接したらいいか分からなかったから?

皆さんの中では私は望まれぬ結婚をし、結婚してからも一切会いにもこず、ただただ待ちぼうけている可哀想な奥様ってことになってます?



「えっと、そんな健気な奥様ではないのですが・・・?」


「えぇ。勿論、私たちは知っています。寧ろ奥様が生き生きとしていることをエレナの話から知りました。」


クリスさんは眉間にしわを寄せている。

頭でも痛いんでしょうか?



「生き生きとしているのは良いのです。でも、していることはいけません。あなたは公爵家の奥様なんです。畑仕事や洗濯などはするものではありません。」


「えぇ・・・。でもそれは趣味でもあって。」


「趣味なら刺繍やダンスなどでもいいではないですか?」


「え・・・そんなお貴族様みたいなこと合いませんよ。」


「あなたは貴族です!!!」



クリスさんに怒鳴られてしまった。

嗚呼、そういえば私は貴族でした。

でも、今までまともな貴族なようなことしてませんでしたし。

私の趣味と言えば、畑仕事に、狩りですもの。

これはとても重要です。

食はとても重要です。

人は食べられないと生きていけません。

だからこそとても私はこの二つを需要として働いていたんですけど。

幼い頃からしていることはもう抜けませんね。

畑仕事をしなかったらもううずうずとしてしまいます。

流石に狩りは出て行けないので、出来ませんし。

その代わりに困っているメイドさん達のお仕事を手伝っていたんですが・・・。

それはしてはいけないのですか・・・。



「私・・・畑仕事が出来ないと・・・落ち着かないんです・・・。」


「奥様・・・。」


「狩りは我慢してますし・・・、ですから畑仕事だけでも・・・。」


「駄目です。」



ハッキリとクリスさんに言われてしまった。

うぅ。

でも、私は畑仕事がしたいんですっ!!!

欲を言えば、狩りもしたいですっ!!!

一瞬しゅんとなりましたが、引けません!!

だって!公爵様は私に後は好きにしていいって言ってくれましたし!

私は公爵家の妻でも、お飾り妻ですもん!!!



「公爵家にご迷惑かけないようにします!だから!!」


「いけません。」


「うぅ。」



思わず涙目になります。

結構頑張って言ってみたんですが、すぐさま否定されて辛くなります。

しゅーんとしてると隣から救いの声が。



「クリスさん。少しだけ奥様を許してあげてくださいませんか?」


「エレナ?」


「エレナさん!!!」


「私も初めは奥様の美しい肌が焼けてしまったら大変だと思い、クリスさんにお話しましたが、こんなに落ち込んでいる奥様を見たら。」


「しかしですね、エレナ。」


「分かってます、奥様は大事な公爵家の奥様。何かあれば大変なことになることも。でも、畑仕事ならこの敷地内ですし、この公爵家ならどこかに情報がもれることもありませんし。」


「うっ、それはそうですが。」


「何より奥様がこれ程何かを願うのは初めてではないですか!!この数十日、奥様は何も求められませんでした!」



エレナさんが私の擁護をしてくれました。

なんて心強い!



「奥様の契約結婚の方は知っております。奥様が旦那様を愛されて結婚された訳ではないことも知ってます。でも、旦那様は酷すぎます!結婚式以来1度も会いにこないなんて!!そりゃあ、旦那様の想い人がいらっしゃるのは知っておりますけども!!それでも、放ったらかしなんて酷すぎます!!!」


「それは私もどうかと思い、旦那様に伝えておりますが。」



えっ!?

それに関してはなんとも思っていないのですが?

むしろこんなに自由にさせてもらって幸せだと思っていますが?



「それなのに、奥様は一切何も望まず、本来なら豪華なドレスや宝石などを求められても可笑しくありません!なのになのに、奥様は何も望まず、寧ろ与えられた物さえ豪華すぎると遠慮なさるほどですよ!」



嗚呼、結婚前に頂いた宝石やドレスですね。

いやー、あれはただただ豪華すぎて頂くには本当に恐ろしくて。

遠慮したのですが、結局押し切られてしまい、今もタンスの肥やしになっております。

だって、あんなに豪華なドレスを着る機会なんてありませんし。

出来れば動きやすい服装が好ましいので。

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