表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/205

49

「あっあの。その、旦那様は、獣人族の方なのでしょうか?」



クルクルとシーツを巻いた旦那様を目の前に頭を整理する。

先程まで居た銀狼が急にいなくなり、旦那様が居たのです。

銀狼の代わりに旦那様。

それって、旦那様が銀狼なのでは?

この屋敷には獣人族の方ばかり。

この公爵家が、そういう方たちの働き場になるようにしているのかしらと思っていたのですが、実は公爵様自らが獣人族だったから、皆さんも獣人族だったのでは?



「嗚呼、ミミの言った通り、俺は獣人族だ。」


「そうなのですね。」


「えっ、それだけか!?」


「それだけ?とは??」



旦那様が驚いた顔をするのですが、なんで驚かれてるのでしょうか?

何かおかしいこと言いましたかね?



「いや、もっと言うことはないのか!?」


「言うことですか?」



ううん、言うことですか?

あっ!



「獣人族ということは他の皆様も知っているのでしょうか?」


「えっ?いや、屋敷のものと王族の方々しか知らない。秘密にしているからな。」


「そうなのですね!」



ならば、このことは黙っておかなければならないということですね!

お任せ下さい!

私口は固い方ですので!

今まで秘密は絶対にバラしたことはありませんので!

近所に住んでいたバーバラさんが、奥さんにサプライズした時もちゃんと最後まで黙っていましたもの!



「いや、そうじゃなくて!騙されていたとか、怒ったり、怯えたりだとかだな!」


「へっ?何故です?」


「何故って。」


「私と旦那様は契約結婚ですもの。秘密をばらすほどの立場にいないことは重々承知しておりますよ?今回はたまたま知ってしまいましたが、本来なら知ってはいけないことなのでは?王族の方々が知りながらも黙っているということは国家的にも秘密にしておかなければならないということでしょうし。あっ、もしかして知ってしまうと何かしら罰せられるのでしょうか???」


「いや、ミミは俺の嫁だから、知っていても問題がないが。」


「まぁ、そうなのですね!なら良かったです。」


「いやいや!だから!そうじゃなくて!俺は獣人族だから!」


「はい、存じ上げていますよ?旦那様は狼の一族なのですよね?」


「嗚呼、そうだ。それを知って怖くないのか?」



怖い?

一体何がですか?



「旦那様が狼の獣人族だからですか?いいえ、全く、怖くなどありません。私は狼の獣人族の方に助けられ、そして鳥の獣人族の可愛らしい従者がいますのよ?普通の方よりも獣人族の方に触れ、獣人族の方達がどれほど優しい方たちなのかよく知っていますのよ?」


「ミミ。」


「それこそ、この屋敷の皆さんは種族は違えど皆優しく勤勉な方ばかり。何を怖がることがあるのです?旦那様が、よく知ってらっしゃることでしょう?」



そう問いかければ、旦那様は泣きそうな笑顔を浮かべて、頷いた。

そして、私を呼ぶので旦那様の近くに寄れば、腕を引かれ抱きしめられた。



「えっえっ、旦那様?」


「好きだ。」


「えっ?」


「ミミ、ミシェル、君が好きだ。愛している。」


「旦那様?」



ええっと急にどうしたのでしょうか?

えっとえっと?

頭が混乱してしまって、よく分からないのだけども、家族としてとか友人としてとかかしら?

最初頃よりは仲良くなったとは思いますが、これほど思われるなんて。

とっても嬉しいですね。

一緒にこれからも住んでいくならば、仲の良い方がいいでしょうし!



「ふふふ、私も旦那様のこと、好きですよ!」


「ミシェル!?」


「旦那様は私を、私の実家を助けてくださいましたし、それに、最近はこんな風にお話も出来るようになって、失恋仲間というのもあってかお友達のようですし!」


「友達?いや、そうじゃなくて!!」


「えぇ、分かってますよ。旦那様と私は友達ではないですよね。契約結婚ではありますが今は同じ屋敷に住む家族のようなものですし。御屋敷の皆と同じように。」


「違う!!!そうじゃないっ!!!」


「へっ?」


「俺は一人の女性として君が好きなんだ!愛しているんだ!!初めは契約だったが、今はミシェル、君を本当に愛しているんだ!!君と本当の意味で夫婦になりたいと思っているんだ!!!」


「えぇ??そんな急にそんなことを言われましても。」



旦那様の告白にビックリしてしまいますが、そうは言われましても、私は1つお仕事の気持ちで此方に嫁いできましたもので。

旦那様は最初は仕事上の上司かと思っていましたし、最近は失恋仲間でそして一緒に暮らす家族のような方だと思っていましたもので。

旦那様を一人の男性として見たことは無いので。



「なので、申し訳ありませんが。」


「分かっている。ミミが俺をそういう対象に見ていないことは。しかし、俺達は契約でも結婚し、夫婦となり、一生そばに居ることになるのだ。だから。」


「旦那様?」


「ミミに一人の男性として愛して貰えるよう精一杯努力する。だから、ミミ。これから覚悟しておいてくれ。」



覚悟?

えっと、覚悟とは一体?

謎に思ったのですが、この後の旦那様の行動全てで覚悟と言った意味がよく分かりました。

まさか、旦那様があれほどになるとは。

今の私は全くと言っていいほど分かっていなかったのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ