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「あのあの、ルーミックさん!今度、お茶会に誘われてですね、その、お土産に何かいいものありませんか?」


「お茶会にお土産かい?なら、この店じゃない方がいいのではないかい?」


「いえ、その、お菓子も持っていこうって思ってるのですが、その、初めて呼んでくださった方なんで、そのその。」


「そっかそっか、そうだよね、お嬢。お嬢は今までずーっとあの領地で一生懸命だったもんね。こんなこと初めてで嬉しいんだね。」



ルーミックさんに笑顔でそう言われて、頭を撫でられました。

そう、そうなんです、ルーミックさんの言う通りなんです。

今まで、私は領地の為にって、毎日毎日一生懸命働いていました。

領民の皆さんのことが大好きなので、別にそれを苦と思うことは無かったのですが、それこそ貴族のお嬢様らしいことは一切してないのです。

礼儀作法だって最低限の事しか学んでおらず、公爵家にやって来てからある程度の知識を身につけました。

そんな私なので、その貴族のお知り合いも、居らず、夜会に参加だって実は2回目でしたし、お茶会なんて初めてで、とても緊張するのですが、それよりも私なんかを誘ってくださったスーニャ様の気持ちが本当に嬉しくて。

だから必要が無いかもしれませんが、スーニャ様が喜んでもらえるお土産を持って行きたいのです。

その気持ちをルーミックさんは汲み取ってくださったようで、自然と笑みがこぼれます。



「ならば、いい物を選ばないとね!」


「はいっ!」


「それにはまずお嬢自身がこの店にあるものをよーく見てごらんよ!お嬢がいいなって思うものを見つけてごらん。」


「私のですか?」


「嗚呼、まずはお嬢のいいなでいいんだよ。」



私のいいなって思ったものですか?

うーん、そうですね。

ぐるりと店内をゆっくり見て回れば、とても素敵なものでいっぱいです。

どれも素敵ですが、特に私が素敵だなって思うものが3、4点ありました。



「見つかったかい?お嬢?」


「はい。でも、これは私の欲しいものだし。」


「そうだね、じゃあ、お嬢、その人ならどんなものが必要かな?」



スーニャ様の必要なもの?

そうですね、スーニャ様はお仕事をされていると聞きましたし、お仕事で使えるものがよろしいでしょうか?

それとも癒されるもの?

うーん、難しいです。



「そんなに難しく考えなくていいさ!お嬢がお土産を持って行きたいって思えるぐらいの人ならどんなものでも喜んでもらえると思うけどねー。」


「そうだな。ミミ。スーニャならミミから貰えただけで喜んでもらえると思うが。」


「旦那様。」


「ちなみに何で悩んでいるんだい?」



そう問われて指さしたのは、オルゴールと万年筆とカップです。

どれも素敵だな思えるんですが、スーニャ様にはどれがいいかなって。



「そうだね、カップは良いが、スーニャに個人的となるとオルゴールか万年筆がいいかな?」


「そうさね、この万年筆の書き味は最高だからね、オススメはするよ。」


「そうですか!」



万年筆なら数個あっても困りませんものね!

よし、万年筆にしましょう!

さて、スーニャ様に合う色は。



「コレにします!」


「はいよ。」


「青の万年筆ですか。」


「はい、以前の夜会で着ていらっしゃってたドレスがとてもお似合いで、私の中のイメージが青なんです。可笑しいですか?」


「いや、スーニャも好きな色だったはず。」


「そうですか!それなら良かった。」



良かった、勝手なイメージでしたが、好きな色だったようで。

一安心です。

気に入ってもらえたらいいです。



「そういえば、お嬢、オルゴールをとっても気にしていたが?」


「嗚呼、とっても素敵な模様と、あの曲がお祖母様がよく歌ってくださった曲に似ていましたので。」


「そうかい、じゃあ、お嬢が買っていくかい?」


「いいえ、今日はスーニャ様のお土産を買うことが目的でしたもの。」



懐かしい曲で、穏やかな気持ちにはなりましたが、それは私だからですし、スーニャ様がそうなるとは分かりませんもの。

それよりは使い勝手のいい万年筆の方が良いかと思いまして。

今日はスーニャ様のお土産を目的にきましたからね。

他の物を買うお金は持ってきてませんし、今必ず買わなくてはならないものでは無いので。


「これだけで、お願いします。」


「そうかい、なら、これを可愛くラッピングしてあげるから、もう少し待っててくれよ。」


「はい、分かりました。」



ふふふっ、楽しみです。

ルーミックさんが包んでくださっているのを横目で見ながらお店の中を改めて見る。

やっぱり中の雰囲気は前のお店そっくりです。

そのままお店を持ってきたかのような、それぐらいそっくりですね。

まぁ、でも、前のお店は弟さんがされているという事ですし、ルーミックさんがお好きな雰囲気がこういうのかもしれませんね。

はて、そういえば、ルーミックさんとお知り合いになって数年は経ちますが弟さんを見たことやお話を聞いたこともなかったのですが。

もしかしたら聞いていたけども、忘れているだけでしょうか?

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