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「はっはっはー!なーに、簡単な事だよ!ここにお店を建てたんだよ。前の店は弟がしてるんだよ。」
「えっ!?」
お店を建てた!?
そんな簡単に?
いえ、結構繁盛されていたとは思いますが。
「お嬢、目がまん丸だなー。」
「へっ、いや、ビックリして。」
「まぁ、驚くのも仕方がないさ。まさかの私の登場だもんなー。まあ、私はお嬢が公爵様の所に嫁に行ったのは知ってたから、いつかは来てくれるかなーっては思ってたんだよ!思ったより早くきてくれてびっくりしたがな!」
「そうだったんですか。」
「まぁ、またちょくちょく来ておくれよ!お嬢の好きそうな物また仕入れておくからさ!」
「えっ、ええ!」
お嬢って呼ばれるのも久々で懐かしいです。
思わずここに旦那様がいることも忘れて、ルーミックさんとお話をしてしまいました。
しかもまた来ることを勝手にお約束してしまい、はっと気づいて後ろをむいた瞬間笑顔の旦那様がいました。
「ミミ、紹介してもらっていいかな?」
「あっ、ごめんなさい!あの、こちらルーミックさん。私の実家の近くでお店をされていたのだけども、今はこちらでお店をされているらしいんです。」
「はーい、公爵様。ルーミックって言うんだ、よろしくー。」
「成程、魔導師様ですか。」
「へっ?旦那様?」
「あははっ!いやー流石は公爵様だねー。」
「えっえっ?どういう事ですか??ルーミックさんが魔導師様??」
旦那様にルーミックさんを紹介すると、ルーミックさんは軽い口調で挨拶をするので慌てるもそれよりも旦那様が爆弾発言をされました。
魔導師様ってあの、魔導師様ですか??
この世界で数人しかいないと言われるあの魔導師様?
この世界で魔術というものが使える方は何百人かいるそうですが、大魔術と言われる魔術が使えるというのあの魔導師様?
ルーミックさんが??
「いやー、お嬢。秘密にしていた訳では無いんだ。なにせ隠居をした身だからね、わざわざ話すものでもないと思ってね。しっかし、まさかこんなに早く分かるとは。」
「魔術の匂いがするもので。」
「“ 匂い”ね。まぁ、いいや。公爵様は城仕えだったけ。城には何人か魔術師達がいるからね。魔術にも敏感ってことか。」
「ええ、まぁ。しかし、これほど巧みに隠されていることから魔導師様だと推測されましたが、まさかこんな所にいるとは。」
「なーに、もう隠居した身だと言ったろ?こうやって細々と店をできたらいいからさ。だからひっそりと生きてんだよ。だから、内密に頼むよ。」
「ええ、まぁ、ミミのお知り合いということですし、上には伝えません。」
「そうか、助かるよ。」
はっはっはー!と笑うルーミックさんに圧倒されましたが、何やら旦那様は、困り顔です。
いやいやいや、魔導師様って相当高貴な方ではないでしょうか!?
王様が知れば、すぐにそれこそ相当高い地位を与えるのでは??
いや、ルーミックさんはそれを望んでいないことは分かっています。
でも、旦那様が黙っていて大丈夫なのでしょうか?
「心配ないよ、ミミ。魔導師様が望んでないっと言うことで報告することは出来ないんだ。なんたって魔導師様だからね。」
「えっと?」
「本気になれば俺の記憶だって消せるんだよ。彼女は。そして姿形を消すことだって出来る。でも、今はそれをしないってだけで、でも内密にと言われればとりあえず黙っておくしかない。そういうものなんだよ、魔導師様ってのは。」
「すごい言い様ですね。」
「あははっ!!まぁ、公爵様の言っていることは当たりだからね。魔導師ってのは変人の集まりなんだよ。正直言ってね。変人ぐらいでしか魔導師レベルにはなれないんだよ。まぁ、まともなのは魔術師どまりよ。」
「そっそんな。」
「まあまあ、お嬢が、気にすることないさ!今まで通り小物店の店主っていう扱いでいいんだよ!」
「えっと、ルーミックさんがそういうなら。」
元々は知らなかったから、慣れ親しみ、仲良くしていたルーミックさんですもんね。
今更、距離を置くなんてとても寂しいですし、ルーミックさんはルーミックさんですもんね!
例え、とってもすごい魔導師様だとしても今までお話して仲良くなったルーミックさんですもん!
うん、そうです!
「これからもよろしくお願いします!ルーミックさん!」
「おぉおぉ!流石はお嬢だ!こちらこそよろしく頼むよ!公爵様もな!」
「えぇ、妻共々よろしくお願いします。」
「嗚呼!さあって、お嬢!今日は、何を求めて来たんだい?」
「あっ!そうです!!」
お土産探しです!!
忘れていました!!
今日何を目的に来たのか!
すっかりルーミックさんとの再会で頭から離れていました!




