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快適に暮らせる部屋も出来、食事の豪華さに怯え、食事の量を少なくするっていうもので落ち着くっていう事件もあって、数日が経った。

お屋敷の豪華さにも少し慣れ、いや嘘です。

全然慣れませんが、見て見ぬふりが出来るようになってきました。

旦那様は相変わらずお仕事のようで。

どうやら遠征からは帰って来られたようですが、お城、つまり旦那様の職場ですることが山ほどあるそうで帰ってくるのは数日に1、2回。

帰ってきても夜遅く、出て行くのは早くですれ違う日々。

なので、全然お会いしてません!



「なんて快適な日々なんでしょう。」



思わず鼻歌も出てしまいますね!

お飾り妻ってこんなに楽なものなんですね!

ふふふ、楽しすぎて、畑を耕すのも思わず力が入りますね!


「どうました?奥様。」


「いえいえー。さぁ、ムエじぃ。トマトを植えましょう!」


「おお、そうですな。」



はぁ、青々しい苗ちゃんですね!

きっと素敵なトマトさんがなりますね!

とトマトの苗に惚れ惚れとしていると。



「おくさあまあああああああああ!!!」


「はいいいいい!!?」



大きな声で呼ばれて思わず体が震えました。

何も悪いことしてないのですが。

後ろを振り返れば悲痛の表情を浮かべたエレナさんが居ました。


「何をされてるんですか!?」


「何って・・・畑仕事ですよ?」


「畑仕事・・・。」



あれ?エレナさんがくらりとよろめいています。

体調が悪いんでしょうか?

それはいけません!

すぐにクリスさんに言って休ませないと!



「奥様が畑仕事をしなくていいのですっ!!!寧ろしてはなりません!!」


「えっ?いや、でも実家ではしてましたし。何もしないと落ちつかないというか・・・。」


「いけません!奥様はこの公爵家の大事な奥様なんですっ!!落ち着かないというならば刺繍などをしてくださいませ!嗚呼、もう、美しい奥様の肌が焼けてしまっては大変ですっ!!」


「えぇっと針仕事も楽しいのですが、あまり刺繍は・・・。それに畑仕事は趣味とも言えますし。」



エレナさんが涙目で言ってきますが、そのなんというか。

畑仕事は趣味なんですけど・・・。

公爵家では自由にしていいって公爵様にも言われているので。

ならば畑仕事をっと思いましてね。

家の中だけっていうのはちょっと私には窮屈で。

今まで畑仕事をしたり狩りをしたりしてたもので。

ちょっとお転婆というか、なんというか。

まぁ、それも実家ではお仕事の一つとしてしてましたけど。



「いけません!奥様!!」


「でもでも、こーんなに素敵な畑があるのに耕すことが出来ないなんて・・・辛すぎます・・・。」



そうなんです。

この数日退屈で探検していると屋敷の裏に素敵な畑があって、もう目が輝きました。

こーんな素敵な畑!

土も良い土ですし。

って感動してたらこの畑の管理人さんのムエじぃさんにお会いして、意気投合して一緒に畑を耕したのがつい三日前。

トマトの苗を実家から頼んでついたのが今日。

わくわくしながらやってきたのに。

それなのに駄目とは。

思わずしゅーんっとしてしまいます。



「うっ、奥様・・・。」


「折角のトマトちゃんなんです・・・。トマトちゃんだけでも植えさせてください。」


「うっうっ。」


「実家のトマトはなかなか難しいんです。だから・・・。」



うるうる涙目でエレナさんを見つめれば、エレナさんは折れてくださいました。

はぁ、良かった。

るんるんで植える作業をしているといつの間にか日傘を持ってきたエレナさんがしっかりと私の後をついてきてくれています。

あの、もう私日焼けしまくりなんでそんな今更そんなことをせずともっとエレナさんというと。



「駄目です。これが許されないのなら、奥様の畑仕事は認められません!」



うぅ・・・そう言われるともう何も言えません。

仕方がないので、そのまま進めていくことにします。



「あの、奥様。」


「はい、なんですか?」


「今までもここにいたのですか?」



なにやら心配そうに聞いてきたエレナさん。

今までもずーっとここに居たのかと?

いいえいいえ。そんなずーっと居るとムエじぃさんにご迷惑が掛かりますし。

否定すればほっとため息を吐くエレナさん。



「良かった。では、今まではちゃんとお部屋で過ごしていたのですね。」


「えっ!?いや。」


「えっ!?違うのですか!?お部屋で読書されていたのでは!?」



あっ、なるほど。

今までずっと読書しているって思われてたんですね。

そういえば初日とその次の日は珍しく体調を崩したので大人しく読書してたんでした。

嗚呼、だから食事以外は声を掛けられなかったんですね。

なるほど。



「いいえ、読書していたのは2日目までで、それ以降は色々としてました。」


「色々とは?」



えっと・・・。

実家から持ってきた仕事着、まぁメイド服ですね。

それを着て、洗濯をしたりお掃除をしたり。

その際に他のメイドさんと仲良くなったり。

どうやら初日のお迎え以外、会ったことのないメイドさん達だったので全然奥様と気付かれませんでした。

えへっ。

その話を聞いてエレナさんは顔面蒼白です。



「どの馬鹿メイドが・・・。」


「エッエレナさん?」


「嗚呼、きっと奥様が来るといって新しく雇ったメイド達ですね・・・。嗚呼、もう再度教育をしないといけないとクリスさんに言わないと。」


「えっとエレナさん・・・?メイドさん達、すんごく優しかったですよ?」


「そういう問題ではないのですっ!!自分が使えているお屋敷の奥様の顔を知らないとは問題外です!!」



おわっ。

エレナさんがとっても怒ってます。

エレナさんは私がトマトを植え終わるとすぐさま部屋に戻され、その後湯浴みをし、新たなメイドさん達。

多分この人達はエレナさんと同じ古株さん達ですね。

その人たちがとっても良い笑顔で迫ってきます。

とても怖いです。



「奥様が日焼けをしているので、しっかりとケアをしてさしあげて。」


「はーい、エレナさん!お任せを。」


「本当は私がしたいのだけど。私はクリスさんにお話があるので。頼みますね。」


「「「はーい。」」」



えぇーーー!!

なんですか、なんですか!?

とっても怖いですーーー!!



「大丈夫です、奥様!私たちがちゃーんとケアさせていただきますから!」


「はぁ、奥様。綺麗な肌ー。これだけ日焼けしてても瑞々しいわー。」


「やーん。とっても柔らかーい。弾力もあるし。うーん。磨きがいがありますー!!」



メイドさん達はなにやらニコニコ笑顔のまま私をもみくちゃにしています。

暗転。

次に起きたときには、私はとっても着飾れていました。



「うふふふ!やっぱり奥様は光る原石ですわ!」


「えっと・・・?一体これは?」


「エレナさんからの指示です。奥様をうーんと綺麗にしてくださいって。元が良いのでナチュラルでもいいのですが、今回はうーんと着飾らせていただきました。」



満足と表情で表しているメイドさん達。

いや、いくら着飾っても私なので・・・。

そう思って鏡を見ても、うん、やっぱり私です。

着飾れたことによってすこーし綺麗に見える気がしますが。

それでもやっぱり私です。

ごめんなさい、メイドさん達。

心の中で謝っているといつの間にやらエレナさんが戻ってきていました。

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