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煌びやかな光の中、多くの視線を感じる。

噂の公爵家夫人が社交界に出たということで注目は必ずされるとクリスが言っていたけども、まさかこれほどとは。

じっと眺められるととても居心地が悪い。

思わず立ちすくみそうになったが、エスコートしている旦那様がこちらを見て優しく微笑んでくれた。



「ミミ、大丈夫。私がいる。」


「えぇ。そうですね。」



そうよね、そう。

覚悟はしてきたもの。

立派な公爵夫人として、この夜会を乗り切ってみせるって。

なにかあっても旦那様がフォローしてくださると言ってくださったけども。



「あらあら。」



美しい女性陣に囲まれているわ。

まぁ、予想は出来ていましたけども。

旦那様は恋愛の事以外は家柄も様子も魅力的な方ですもの、結婚したといっても人気ですわ。

一応妻の私は蚊帳の外です。

まぁ、それをのぞんでいたのですが、少し休憩でボーイに飲み物を貰いに行けば、あれあれれ。

何故、今私は囲まれているのかしら?



「よろしければ、私とダンスを。」


「いえ、私と。」



あらあら、公爵夫人となるとこのように声を掛けられるのですね。

社交は大事な公爵夫人の勤めですものね。



「えぇ、喜んで。」



仕方がありません。

ダンスレッスンはスパルタで受けていましたもの。

以前よりは踊れる自信があります。

公爵夫人としての役目を果たしますかね!

そう張り切ってはいたのですが、ひっきりなしに声を掛けられるもので、少々疲れてしまいました。

公爵夫人てこんなにも大変なのですね。

お義母様の偉大さを感じます。

お義母様は社交界の女帝と言われていたぐらい凄い方だったそうで。

私はそれを引き継げるとは思って居ませんが少しでも泥を塗らないように必死です。

なので、疲れていても声を掛けられれば頷くのですが。



「嗚呼、すみません。少し妻は疲れたようなので休ませたいので。」


「旦那様。」


「ミミ。さぁ、あっちで少し休憩をしよう。」


「はっはい。」



旦那様が連れ出してくださいました。

良かった。

ほっとしていると、旦那様から視線を感じて目線を向ける。

すると旦那様はむすっとしている。

何故?



「なんで、私の側から離れた?」


「えっ?」


「嗚呼、違う。違う。分かっている。でも、ミミは私の妻なのだ。だから、その。」



嗚呼、旦那様ったらフォローするって約束していたのに、結局私がこのようになってしまったことに責任を感じているのね。



「ふふ、大丈夫ですわ。旦那様。これも妻としての役目ですもの。」



お飾り妻としての役目。

旦那様が色々な女性とも積極的にお話ししないといけないもの。

新しい思い人が出来るように。

私にはなかなか出来ませんでしたが、失恋を乗り越えるには新しい恋を、新しい思い人を見つけるのがやっぱり一番だと思うのですよね。

うんうん。

だから色々な人と話すことは大事な事です。

私はそれを見守りながらも、社交していくのがお仕事だと思いますので。



「ミミ。しかし、やはり、君にはそばに居て欲しいんだ。私が愚かな行動をしないように。」



愚かな行動?

あっ、そうですね。

旦那様はまだまだ姫への思いを断ち切れていなかったのですものね。

それなのに私ったら新しい恋をだなんて。

私自身だってできなかったことを、人に押しつけようとするなんて。

いえいえ、今は反省する時ではありませんね。

今は旦那様のこと。

きっと旦那様は姫を思ってまた社交界で噂になることを恐れているのですね。

なんたって、姫には婚約者が正式に決まったわけですから。

しかも他国の。

今までとは違う立場になってしまったのですものね。

姫を思うならば、不穏な噂は消し去ってしまいたい。

でも、新たな女性を見つける気はないのですから。

しかし、旦那様には仮初めの妻が居る。

そう、私。

社交界で有名だった話を打ち消すには、また新たな話。

私と旦那様が仲の良い夫婦で有り、もう姫には気持ちがないと思わせなければならないということですね。

なるほど。

姫を思っての行動は控えるよう私に見守っていて欲しいと言うわけですね。

えぇ、えぇ、分かりました。

その役目、担わせて頂きましょう。



「ふふふ、ならお傍でずっと見守らせていただきますね。」


「ミミ。」



旦那様は笑い、私を抱きしめてくる。

ううむ、あれですね、ラブラブ夫婦アピールですね。

なんたって、私と旦那様は大恋愛の末に結ばれたという夫婦ですものね。

仕方がありません。



「おいおい、見せつけてくれるではないかい?」


「へっ?」


「チッ。」

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