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お祖母様は本当に本当に、酷い人だわ!
そんな、ここまでしていて、後戻りなんてさせる気ないじゃないですか!
「という訳で旦那様。そうなっているようです。」
「なっ、なるほど。それで今目の前にいらっしゃるのが、かの有名な英雄様であり、ミミのお祖母様。」
「おうおう、顔は相当のイケメンじゃなぁー。」
ちょっ!お祖母様!
そんなに近くでジロジロと見ないでくださいっ!
失礼ですよ!!
「ほぉー、しっかし、ミミ、よく、公爵家になど嫁いだのぉ。」
「そりゃあ、リディ達にちゃんとデビュタントさせたいと思っているのに、なかなかうちの領地の財政は安定しないから、もうなるようになれと思って。」
「まぁ、思いっきりのよさはワシのを受け継いどるなぁ。こりゃあ、さらに厄介じゃなぁ。」
「厄介って。」
一体何が厄介なのかしら。
私は普通の平凡で安全な一般人だと思うのだけど。
「えぇ、とっても厄介です。」
「ほほぅ、旦那様の方がよく理解しとるなぁ。本当にこの子の無自覚さには困ったものじゃ。見た目もそこそこ悪くないも思うのだが、何より、自分の近くにいる兄弟に母親が美人すぎた。故に低く自分を見積もってしまう節があるからなぁ。」
「そうなんです。どれだけ言っても自分の魅力に気づかないんです!」
「そうじゃろうそうじゃろう。容姿はまるっきりうちの旦那に似ておってのぅ。うちの旦那もそうじゃ。本当に自分の魅力に全然気がついておらんでのぅ。どれだけ言っても聞きゃせん。そのままもう50年経つことになってしもうて。」
「50年かけても自覚がないと。」
「そうじゃ、大変じゃ。うちの息子もじゃし。あの子はまたとっびっきりの美人を捕まえておきながら、本当に自覚がなくてのう。困った困った。血筋とは恐ろしいものじゃ。まぁ、良かったのはこの子の下の子たちは自覚しておるから、自分の使い方もよく分かっとる。自覚なしが何人もおったら大変じゃからなぁ。」
「心中お察しします。」
「ほうほう。話の分かる旦那様じゃな!」
いや、何、旦那様とお話が合ってるのですか!?お祖母様!!
しかも、自覚がないのなんのと!
私はちゃんと自覚してますっ!
自分が平凡であることを!
「よいよい、こんなに話の合うのはあの子の嫁さん以来じゃ。楽しいのぅ。しかし、こうやって話に花を咲かせてる場合じゃないのじゃった。旦那様よ、話は先程の通りじゃ。うちの孫をある意味前線に放り込むことになる。それを了承して欲しい。」
「・・・先程の話で、よく分かりましたが、分かりません。何故、ミミなんですか!?他にもいるでしょう?ミミがいかなければならない理由が分かりません!ミミを、危ない場所に行かせるなんて!」
「はぁ、やっぱりなぁ。分かる、分かるが、そうは言っておれんのじゃ。うちの子以外にこの作戦に適任はおらん。」
「そんな!」
「今まで色々な国に行き、色々な能力持ちを見てきたが、この作戦にはやはり適任なのはミミ、ミシェル、お前さんなんじゃ。」
「私が適任な理由は身内だからということではなく?」
そりゃあ、それだけではないのは分かってるけども、でも、他の国を回っていたのがこの為で、しかも才能に溢れた能力をもった方たちを見てきたのならば尚更、私以外にも適任者はいたんじゃ。
「バカか!わざわざ戦地の前線に可愛い可愛い孫を置きたい奴が何処におる。何度もそうじゃない者に願いたいと思ったが、だが、お前さんより適任がおらんかった。」
この作戦は何より内密に行わなくてはならない。
故に大人数で動くことは出来ない。
「弓の才能のあるものはおったし、魔術を使える者ともあった。他にも色々な能力を見たが、お前さんの様に、武器が小さくそして一度に静かに大量に仕留める事ができるのはいない。それこそ全盛期のわしならできただろうが、今のワシには厳しい。あの頃より、相当衰えておる。」
「でも、魔術とかなら。」
「魔術を使える者は限られとるし、何より、あの国は魔力の大きい者を国に絶対いれないように結界というものを貼っとる。だから、魔術を使える者はまずはいれん。入れるのは魔術が使えんぐらい微々たる魔力を持っとる者ぐらいじゃ。それじゃあ意味がない。しかし、お前さんに預けたあの弓はネックレスの場合、魔力自体はその者と同じぐらいの魔力しかない。何より、あの結界は人々が魔力を持っていたら弾かれるだけで、魔石のようなものは抜けることが出来る。故に弓として発動しても問題はない。そんな者を上手く扱えるのはお前さんしかおらんからのぅ。」




