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「薬草関係では無いぞ。今回動いてもらったのは情報関係じゃ。リディには、ある条件を元に領地から出て、動いてもらっとる。」
「えっ!?領地を!?」
確かリディはデビュタントを迎えるまでは絶対に領地から出ないことが約束だったはず。
その約束をさせたのは目の前のお祖母様。
なのに。
「リディはもうすぐといえどもまだデビュタント前ですよ!?」
「嗚呼、嗚呼!分かっとる!よーくよーく分かっとる!しかしな、リディの奴は思っとったよりも強く育っておったからの。」
「リディが?」
「嗚呼、まさか、あんな情報屋部隊を作り上げるとは。想像もつかん。しかもまだ成人もしとらんうちに。本当にあの度胸はお嫁さんからきとるな。」
お母様が?
まぁ、確かにお父様と結婚する時に、それはそれは大騒動があったって言ってたけども。
「まぁ、よい。あの子には変装して領地を出るように言っておる。あの子はお嫁さんに似て相当美人じゃからの。故に悪い虫がつかんことはない。だから、厳重の囲いと変装をするように伝えとる。」
「そっそうなのですね。」
「嗚呼、本当に、あの子は色々な意味で恐ろしい。それこそ一国の王にでもなるのかと思えるほどの逸材じゃ。これをお嫁さんの方の父方が知ればそれはそれは喉から手が出るほど欲しがるだろうな。」
お爺様が?
お爺様はとっても穏やかな人だと思うけども、そんなことをする人かしら?
「まぁ、よい。あの子はあの子で考えて嫌なら嫌と言える力を持っとるからな。だから、安心せい。」
「んっ、うん。で、その、私は一体何をしたらいいの?お祖母様。」
「嗚呼、そうじゃった。ミミ、お前さんにはプージャの所のものと一緒にあの国に忍び込んで貰いたい。」
ん?
んんん??
今、なんて?
「そして、めちゃくちゃに暴れてもらいたいんじゃ。」
「はっ?」
一体、何を言ってるのかしら?
暴れろとか言いましたかしら?
「おっお祖母様?一体、何を?」
「リディには情報の方で大いに暴れてもらう事になっている。事前に集めた情報から、安全に忍び込めるルートも見つけた。だから、そこからプージャの所の前衛部隊と共に、お前さんの弓の能力で、あちらの頭を混乱させてもらう。」
ええっと?
んんん???
「それをして一体何をする気なの?!」
「ん?それで奴らをとっ捕まえてやるんじゃ。」
聞けば、今回のこれまでのことは全てここに繋がるとか。
お祖母様は何十年前に、大戦争で多くのものが失い悲しんだことを忘れず、ずっと例の国を気にかけていた。
そして、ここ数年で何やら動き始めているのに気づき、もう二度とあんな悲しいことは起こさないようにと、先に起きないように潰し回っていたそうだ。
しかし、それに焦り始めた例の国は味方になる国を見つけて、さらに大きく動こうとし始めたので、お祖母様は過去、付き合いのあった国々を周り、協力してもらうことにした。
そして、何より自分の才能を受け継いだ私も巻き込んだ作戦を立てた。
しかし、誤算が1つ。
「お前さんが結婚したことじゃ。」
「えっ?」
「元々、お前さんには結婚願望もなく、話に聞けば想い人はいるが、迎えに来ることもないと言っていたから、そうそう領地外に出ることは無いと思っとった。それが、今回、悲運にも災害が起きて、うちの領地が危機にあい、それを救うために結婚することになるとは。」
「それは、でも、それと何が関係があるの?」
「問題大ありじゃ。まさかの公爵家への嫁入りじゃ。なかなか動けぬ地位に嫁入りしよって。早々、公爵夫人を他国に連れ出す訳にはいかぬだろう?だから今回、お前さんの近くのものをわざと誘拐するようにし、巻き込んだのじゃ。」
「はっ?!」
その為にエレナを!?
「勿論、お前さんがいった力試しもあった。でも、これで前よりもお前さんを動かすことは容易くなった。後は、お前さんの
旦那じゃな。」
「旦那様?」
「嗚呼、1番厄介な存在になりおって。プージャから話を聞いてゾッとしたわ。流石はと言いたいが、本当にやりすぎじゃ。お前さんは本当に、うちの奴に似ておって、人を沼らせる天才か。」
「はっ?」
「まぁ、よい。お前さんが自ら動くと決めたら、反対は出来ないだろうなぁ。もう、リディが動いとると聞いたからにはミミ、お前さんはもう動くしかないだろう?」




