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「いつか、お会いしてみたいです。」
「ふふふ、そうね、いつかエレナとも会えるわ。きっと。」
そう言ったのは数時間前のはず。
会えるかもしれないと思っていたのも確かだけども。
「よっ!元気そうじゃな!可愛いワシの孫娘!」
「なっ、なっ、なぁーー!!」
「なんじゃなんじゃ!もっと感動して抱きついてくれてもいいんじゃぞ!ホレ。」
いや、いやいや!!
こんなにすぐに会えると思わないでしょう!!
何より、何故!?
「私の部屋にいるですか!?お祖母様!!」
「ん?なんじゃったけ?あの、プージャの影の子に教えてもらってここに来たんじゃ。」
「えっ、プージャ様の所の?」
「嗚呼、確か、同じ族の分家の子がいるとか言っとったなぁ。」
・・・それってエレナの事ですね。
なるほど。
まさか、その情報がすぐに役に立つとわ。
「何故、今、ここに?」
「何故って、孫娘に会いたくて。」
「いいえ、それが理由では無いでしょう?何故、今のタイミングなんですか?会いに来るタイミングは何度もありました。しかし、今の今までお祖母様はお父様の所にも姿を表さず、影だけを匂わせていた。なのに、何故今になって。」
「ほほう、流石は、我が愛しい孫娘じゃ。よく考えとる。」
「今回の事件。お祖母様が関係していたことはよく分かってます。その為にプージャ様の近くに居た。でも、今になって現れる理由が分かりません。このまま隠れているのでは無いかと思っていました。」
「ほぅ?」
「イーサンから連絡があって、情報はお祖母様に全て伝わっているとも聞いてます。わざわざ私の前に現れる理由がわかりません。何故、今の時に現れたのです?」
「イーサンもか。会ったのはこーーんなに小さい時じゃったが、本当に頭の良い子に育っておるの。リディもあの歳で凄い才能を、開花させておる。」
「リディの能力をお使いになっているのは聞いてます。まだリディは幼いというのに。」
「歳は関係なかろう。あれだけの才能を使わずしてどうする?お前さんだって、リディよりも幼い時に才能を伸ばすためにワシと一緒に親元を離れて旅をしたじゃろう?」
「それはお祖母様が無理やりにとも言えます。」
「でも、そのお陰でちゃーんと才能は伸びたじゃろ?今回の事件でその才能は大いに活躍しただろぅ?」
「それはそうですが。」
確かにお祖母様のお陰で今の私の能力はある。
でも、今回の事件に役に立ったというのは話が違う。
「今回の事件は逆でしょう?私の能力がちゃんと使いものになるかを見るために起こしたものでしょう?」
「ん?」
「私のそばに居るエレナを使って、今の私の能力を試験した。勿論、それだけでは無いことは分かっています。でも、今回のはやり過ぎです。」
エレナを巻き込んでなんて。
「もし、私の能力がお祖母様の望んだ能力に達していなかったらどうするおつもりだったんですか?」
「その時には、プージャ達にも動いて貰うつもりでいたさ。だから、しばらくプージャのそばに居たのだから。」
「そんな。」
そんな、他人に任せるようなこと。
あのお祖母様がするなんて。
「ハハッ、歳はとりたくないのぅ。」
「お祖母様?」
「本当なら、こんな孫娘を巻き込んだことなど考えたくない。でも、より良い案を考えれば考えるほど、お前を入れないといけなくなる。ワシでは無理だとイメージされるんじゃ。」
「お祖母様は一体、何を考えて?」
「ん?ミミ、お前はあれほどのブランクがあれど、ワシの、私の予想以上の動きをしてくれた。プージャから、お前さんの動きを聞いて鈍っては無いとは思ったが、まさかあれをすぐさま使えるとはな。」
「あれって、あの弓ですか?」
「嗚呼。何度か撃たなければならないだろうと思っていたのに。」
何度かって。
「もしかして、他にも何かを起こすつもりですか!?」
「いや!酷い言いがかりじゃ!!ワシは起こさん!!」
「お祖母様が起こしはせずとも、上手く転がして、また何かを起こすことはできますよね!?するつもりですか!?」
「いや、せん!ちゃんと今回の話を聞いて、プージャ達に動いてもらっとる。だからこれ以上奴らの好きなようにはさせん。その為に、リディ達にも動いてもらっとる。」
「リディ達にも?」
「嗚呼。リディ達の所に今回の奴らを連れていくことになったのも、リディ達に動いてもらうためじゃ。本当にリディは良い意味で、嫁殿にそっくりじゃな。」
「お母様に?」
確かにリディは容姿も性格も、なによりその才能もお母様にそっくりだけども、今回のことで何か薬関係でもあるのかしら?




