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「セッカ。」


「お嬢様にお会いすることができたことは私の人生最上の幸福です。もし、お嬢様にお会いすることがなかったら、私は今も薄暗い世界で笑うこともなく過ごしていたことでしょう。」


「そんな。」



セッカと出会って幸せなのは私もよ。

セッカはいつだって素晴らしい家族。



「なので、私はあの国のことはよく知っております。階級層も酷く、低下層になればなるほど生きるのにもどうしたらいいのかと思うほどです。」


「えっ、上は一体何をしてるの?そんな状態で。」


「自分の財産、名誉しか頭にありませんから。」


「そんな!民あっての貴族だというのに!!」


「そう言ってくださるお嬢様方だからこそ、あの地を離れようとする者はいないんです。どれほど貧乏だろうとも。」


「セッカ。」


「まぁ、こやつらのしたことは許せませんが、妹様の下で働くというのなら大丈夫でしょう。あそこは激務ですが、生きてはいけますし。」



えっ、そんなに酷いの?

リディが、お仕事してるのは今回の事でしったのだけど、お手伝い程度かと思えば、経営してるとか。

それが、そんなに酷い労働体系だったなんて。



「また帰ってリディに聞かないと。」


「大丈夫ですよ、お嬢様。妹様、リディ様はちゃんと限界を見極めるのが上手な方ですし、弟様であるイーサン様は経営のプロですから、イーサン様が見張ってますから激務ではありますが鬼畜ではありませんよ。」



そうなのね。

良かったわ。



「では、この者たちを連れてリディ様の元に向かいます。領地ギリギリまでは来ているでしょうから。」


「そう、リディによろしくね。」


「はい。また近々こちらの方に来ますので。」


「えぇ、待っているわ。」



セッカが笑顔で手を振りながら、去ってしまったが。

あの話。



「セッカの村は、本当に。」


「セッカ様の能力から、相当力のある一族であったことはよく分かります。鴉の一族は、なかなか表に出てくることが少なく、私達同じ獣人族でもよく知らないことが多いですが、知れば欲しくなる人材でしょうし、それが手に入らないとなれば、消そうとしてもおかしくはないかと。」


「エレナ。そう、なのね。」



セッカと出会って、もう数十年の時が流れたけど、まだまだ知らないこともあるのね。



「奥様を心配させまいとするセッカ様のお気持ちもよく分かります。どうか、これ以上悲しまれることはセッカ様も望みませんから。」


「えぇ、分かっているわ。大丈夫、セッカがもう振り替えていないのだから、私が気にするのは違うわよね。」



これからセッカが幸せだと思ってもらえる方が大事だものね。

それにしても。



「本当にお祖母様の姿がとても見えるのよね。今回のこと。いいえ、きっともっと前から。」


「奥様のお祖母様ですか?」


「えぇ。でも、お祖母様とお会いしたのはもう随分前のこと。お父様も暫く会ってないって言ってたけども。」



こんなにもお祖母様の存在が感じられるのに、姿は1度も見られない。



「近々、会いに来る?」


「えっ、お祖母様がですか?」


「うーーん、そんな気がするのよね。これほど匂わせておきながら、姿を隠す意味が分からないもの。気付けと言わんばかりなのに。」


「奥様のお祖母様といえば、あの英雄と呼ばれても可笑しくない方ですよね?」


「えぇ、まぁ、そうらしいけども。」



以前プージャ様からお聞きしたお話から、前回の大戦でお祖母様は大層活躍されたとか。

獣人族の方では、1部有名であると。



「私も1度、聞いたことがあります。確か本家の方の大婆様がとても優秀な弓使いで、1度に30もの敵を撃ち抜いたとか。」


「えっ?」


「大婆様が王族の影として働いていた時に見たことがあるそうです。」


「王族の影って?」


「嗚呼、その私の一族は一応、本家と分家がありまして。ちなみに私は大多数ある分家の方です。本家は王族の方に近く、影として働いている方達なんです。影とは名の通り、王族の手足と動く方達で、うちの本家以外にも使えている他族もいらっしゃるそうですが、私もその辺はよく知りません。でも、私は一応この変化の能力から少し本家の方でお世話になったこともあり、大婆様とお話する機会がありまして、その時にお話を聞いたことがあります。」


「そっそうなの?って、こんなにも大事なこと私に話して。」


「嗚呼、大丈夫です。こんな話は全然。うちの本家が影であるってことは結構知ってる方も多いですし。まぁ、どんな人達がいるかまではお教えすることは出来ませんが。」



申し訳なさそうにするエレナに、そんなことは言わなくていいと伝える。

いやいや、そんな事絶対に秘密でしょう??

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