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「つっ!!!」


「どうしました?旦那様?」


「いや、今、悪寒が。 」



この悪寒はエレナから、だろうな。

ミミにこれをしておけばもう二度とこんなことをしでかさないだろうと助言しておいたから。

エレナにとって、ミミが泣く、傷つく、悲しむ、それが相当効くはずだ。

俺だったら、地にめり込むぐらい落ち込むから、多分それぐらいは落ち込むだろう。

自業自得だ。

勝手に動きやがって。

でも、まぁ、今回のこれで、心底反省するだろうな。



「それにしても、クリス、お前までもが加担するとはな。」


「エレナが暴走するのを止める者が必要でしたから。」


「だとしてもだ。慎重なお前がこんなことをしでかすとは、思いもしなかった。」


「ええ、最初は反対しましたよ。えぇ、でも、師匠はそれはそれは言葉巧みで。忘れていましたが、あの人、口から産まれたのかと思うほど口が達者でしたね。それにまずエレナが飲み込まれ、あれよあれよという間に私も。」



はぁ、なるほど。

今回の黒幕は、エレナの叔父、エルビスか。



「エルビスがそのままいた理由はこれか。」


「まぁ、そうですね。これが、理由ですね。本家の方からの依頼と聞いております。」



なるほどな。

基本、父上の右腕として父上のそばか領地から離れないエルビスがこう居たのは、そういう訳か。



「それで、そのエルビスは?」


「この誘拐があってからは、別行動になりましたので。」


「そうか。」



はあ、後でエルビスを探し出して話を聞かないと。



「それにしても、奥様の腕は素晴らしいですね。」


「嗚呼、そうだな。話は聞いていたが、これほどまで鮮やかだとは。」



ミミ自身から弓が得意なことは聞いていたが、ここまでとは。

安全のためにかなり遠い場所から狙ったはずなのに、全てを命中させるとは。

しかも。



「一気に何本も。それを命中させるとは、凄すぎませんか?」


「嗚呼、本当に神業と言えるだろうな。でも、それでもミミ自身は凄いと思ってない。」


「何故ですか?あれほど凄いのに!」


「どうやら、ミミの祖母であり、弓を教えた師匠ともいえる方がそれこそ何十数本を一気に打って命中させていたらしい。それを見ていたミミはそれが普通なのだと思っている。」


「はぁあ!?そんなの、出来る人が!何より何十数本をなんて、どうやって?普通できませんよ!今回の奥様のだって、その、何故数本同時に出来たのかも分かりませんし。」


「嗚呼、それはあの魔術道具のお陰だろう。」



あの魔石が埋め込まれた特注の魔術道具だからこそできる技だな。

そんなに多くを見たことはないが、知識としては色々と知っていて、何本も同時に打つことができる弓はあるらしい。

しかし、かなり腕に自信が無いとできないし、まず扱える弓の数分しか矢が錬成されないようになっているとか。

でも、そんなことが出来る程の魔石、魔術道具はなかなかないし、それを扱うのも相当難しいと書いてあった。

それを手にし、扱うことが出来ているミミ。



「本当に、凄すぎる奥さんだよ。」


「そうですね。本当に奥様には驚かされるばかりです。」


「そんな奥様の隣に立つことができるように、努力しないとな。さあって、まずは。」



この目の前の奴らだ。

今回はうちの大事なミミに危険は及ぶことは無かったが、もしかしたらなっていたかもしれない。

どうやって、ここまで入り込んだのか。

そして、一体どんな命令を聞いてここにいるのか。

洗いざらい話してもらわないとな。



「旦那様。」


「ビィ、そっちはどうだ。」


「うん、大丈夫。バカ親父が結構暴れて、地が荒れてるけど、一応、皆生きてるし、全員ちゃんと母さん達が捕まえてる。」


「そうか。こっちのはミミが全員磔にしてくれているから、それを回収するだけだ。ぐるぐる巻きにして、集めておいてくれ。一応殿下に報告するから。」



殿下には許可を得ずに出てきてしまったが、一応報告だけはしていた。

まぁ、殿下が反対しようとも、ミミが行くというのなら聞く気もないが、今回のことは一応話をしておかないとと思い、使いを送る。

鳥類族の全獣化出来るものは少ないが、今、目の前にいるからな。



「それって、もしかして私、ですか?」


「はっはっはっ!当たり前だろう?今、さっきここに来ることを報告する為の伝書鳩はまだ帰ってきてないんだ。他に伝書鳩はいないが、丁度伝書鳩ならぬ伝書梟が居るだろう?」


「あっ、うっ、うぅ。」


「それに、クリス、お前ならば、俺が手紙を書かずともいいしな。」


「ひっ人遣いが荒いですよ!旦那様!」


「しょうがないだろう?報告をする間もなく出てきたからな。だから報告するための伝書鳩がいないんだから。」


「わっ、分かりました!行きますよ!」




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