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いい笑顔のルーミックさんに何も言えない。

知らなかった。

ルーミックさんの過去が、そんなに酷いものであったなんて。

今まで、ルーミックさんが魔導師であることさえ知らなかったから、多分、そんな過去があると知っていても、ルーミックさんがそうだったとまでは考えなかったでしょう。

でも、それでも。



「なにかしたかった、なんて思わないでよ。お嬢。」


「あっ、何で、気づいて。」


「無理さ、無理!もうお嬢が生まれる前の話なんだから、お嬢はなーーーんもできないし、それにお嬢になにかして欲しくて、話したわけじゃない。私は今回のこれはチャンスとしか思ってないし、お嬢にできることはお嬢自身が自分で自分のことを守りきることだよ。」


「私を守る。」


「うん、私にとって、お嬢はね、大切な人なんだ。勿論姐さんの孫だからってのもあるけど、でも、お嬢と出会ってもう数十年になって、本当に沢山のことを話して、過ごしてきた。そんなお嬢がもし、アイツらのせいで怪我をしたら、それこそアイツらを全員皆殺しにしてやるよ。例え、あの国にまともなやつが居たとしたも、多分、私はそんな人らのことも考えずに、全員殺す。あの国という物を歴史から、人から全て亡きものにする。それぐらいのことをするよ?」


「えっ?」



そっそんな!

あの優しいルーミックさんがそんなことをする訳。



「だーかーら!お嬢!絶対にそうならないように、自分のことを守ってね。何かあれば逃げて!いいね!私がそんなことをしなくていいように!ねっ!」


「えっ、はい。」


「よし、約束!」



ルーミックさんの勢いに約束しました。

結局、ルーミックさんにこの魔石をお返しすることもできず、そのまま持って帰ってきたわけですが。



「これ、一体、どうしたら。」


「つけておけばいいと思うよ。」


「旦那様。そんな、かなり高価なものですよ?コレ。」


「いいえいいえ、奥様を助ける為のものならば、必ず持っている方がいいです!」


「エレナまで。」



うぅ、そうは言われても、これ、魔石ですし、宝石と同じ、いえそれ以上に高いものですよ?

こんな物を持っているなんて、とっても緊張します。

嗚呼、昔の私は何も知らないから平気で持っていたけども、そうと知ったら、胸がキュッと苦しくなるぐらいなんですが。



「大丈夫、それの発動の仕方はミミでなければならないのだから、そうそう魔石とは分からないさ。だから、それぐらいの宝石ならそこまで高くは見えないよ。それこそ数百ぐらいじゃないかな?」


「すっ数百!?」


「ん?大丈夫、それぐらいのをバンバン買っても、うちは全然平気だから。むしろ買うかい?」


「買いません、買いません!!!いりません!!!そんな宝石買うぐらいなら、新しい苗や道具を買ってくださる方がいいですっ!!」


「ハハッ、そう言うと思ったよ。」


「もう、奥様。もっと、買ってもいいのですよ?寧ろ買って頂きたい。奥様をもっと着飾りたいと、それはそれはうるさいのですよ。あの子たち。」


「うぅ、でも、まだ着た事ないドレスも、付けたことの無いアクセサリーも沢山あるのよ?結婚した時に買ったものが。」


「それは、旦那様がそれこそとりあえずで買ってすませたものですよ!!奥様の為に作られた物じゃないのです!奥様に、似合うものを!!」


「いや、でも勿体ないもの!」



今までずっと外に出かけることも無かったから、まだまだ着ていないものが多い。

普段は動きやすくて汚れていいものしか着ないから。

だから新しく買うなんて暫く必要がないのよね。



「チッ。旦那様が馬鹿なせいで。」


「エレナ!?」



ボソッとなんてことを言うの!?

とっても高価なドレスばかりなのに!



「ぐうっ。」


「本当に、奥様に似合うのはパステルカラーよりも原色系の色で、スタイルのいい奥様にはふんわりAラインドレスよりもマーメイドドレスの方がいいのに。いえ、パステルカラーも似合いますが、可愛い可愛いデザインではなく、美しい洗練された物がいいのに!!」


「エッエレナ!!あのドレスもとっても可愛らしくて好きよ?」


「そうですか?奥様?」


「えっえぇ。」



本当のことを言うと、ああいうデザインは妹の方が似合うだろうなっとは思うけど。

嫌いではないのよ、本当に!

可愛いて思うし。



「まぁ、少し手を加えれば、奥様にピッタリになると、うちのお針子達も張り切ってますから、いいのですけどね。」


「そうね、皆とっても上手だから。」


「うちのお針子集はそれこそ奥様とお会いになれるからってその都度喜んでいますし、そこだけは旦那様に感謝してるみたいですね。」

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