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あの姐さんが認められなかったかも知れないって。

それこそ求める人が多すぎるぐらいなのに。



「ははっ、まぁ、私のことはいい。何よりも孫娘だよ。あの子を守るためには、力と人脈が必要さ。」


「力と人脈?」



力は分かるけども、人脈って?

それこそ領地で囲えばいいのでは?



「それじゃあ、ダメさ。あの子はきっと、外に出てしまう。うちの息子の嫁さんがそうだったように。私達の血だけじゃなくて、あの子は嫁さんの方の血もあるからね。あの嫁さんはすごいね。いい嫁を貰ったよ。」


「そうなの?」


「嗚呼、根性がある。諦めない根性がね。だからこそ、あの嫁さんの血を受け継いだ、あの子が領地に収まってはおけないさ。だから近い未来あの子は領地から羽ばたく。その時に何も憂いなく背中を押してあげたいんだよ。」


「そのための私?」


「嗚呼、勿論、人脈についてはこれから私が作っていく。まず第一歩がお前だったけどね。そして力も付けていく。でも、私が特殊な能力持ちだった故に、あの子もきっとそうなる。だからあの子にあった弓をお前さんに作ってもらいたいんだ。」


「お嬢のための武器?」


「そうさね。あの子の為さ。どうだい?受けてくれるかい?」



ニンマリと笑う姐さんに、私は頷くしかない。

だって、なんたって、あのお姫様のこれからを助けることができる武器を作ることができるなんて、とっても魅力的じゃないか!



「姐さんの能力を受け継いだ、あのお嬢の武器。普通じゃ、ないだろう?」


「そりゃあね、私の愛武器だって、特殊なもんだ。たまたま師匠に貰ったものだが、あの子もこれと同じ物が必要さ。」


「そんなにすぐにはできないよ。何より、材料が。」


「材料ならここにあるよ。」


「えっ?」



渡されたのは、綺麗な魔石。

これほど純度の高い魔石はなかなかお目見えすることは出来ない。

何故、姐さんが?

魔術師でもなければ、まずこの魔石を見つけることもできないはず。

魔石は普段はその辺の石ころと同じ。

見た目も石ころで、魔術師以外はそれを見つけることが厳しく、だからこそ身近にあっても普通の人は見つけられず、魔石だと気づいていない。

姐さんだって普通の人だ。



「何故、姐さんがこれを?普通分からないだろう?しかもこんなに純度の高い物を。」


「そうさね、普通なら分からないし、私にも分からない。けど、師匠はよーく知っていて、何より魔石を研究することが好きだったからね。だから、それを師匠から貰ったんだよ。」


「姐さんの師匠って。」


「まぁ、一昔、名のある魔導師だったとは聞いているが、歳も容姿もそれこそ性別も自由自在の人だからね。名前を言ったって、分かりゃしないさ。だから、師匠とだけね。それで、その魔石なら私のみたいなのができそうかい?」


「ん、まぁ、これだけ純度の高いのなら、出来るけど。でも、使用者が使いやすくとなると何度かこれを使ってもらって、微調節しないといけない。ましてや、お嬢が使うんだろう?姐さんの武器並にとなるとそりゃあ長い年月がかかるよ。」


「そうか、なら今からやれば、あの子が成人するころには間に合うね。」


「まぁ、最短でそれぐらいかな?これを使って、まず弓と矢を作らないといけないからね。特に矢は消耗品だからね。姐さんの矢だって、魔石からの魔力で作られた矢だからいくらでも出せるし、それこそ姐さんが扱えるだけの矢を一気に出せるようになっているけど、それをするとなると相当の魔術が必要だし、魔力も必要だ。まぁ、私は1からではなく姐さんの奴が元にあるから、早くは作れそうだけども、すぐに作れるのは弓の方だね。矢はそれこそどうすればいいのか、姐さんの矢と弓を貸してもらって研究しないとね。」


「そうか、ならこれも渡しておくよ。」



ヒョイッと投げ渡されたのは姐さんの愛武器。

これだって魔石を使った特注品だし、これを作った魔導師はそれこそ名のある魔導師だ。

まぁ、そこを調べようとも思わないけど。

でも、これほどのものを造れる人なら、またもう一個なんて簡単に作れるだろうに。



「何故、私に?早く作るならば、その師匠に頼めばいいのでは?」


「いやー、それがな。師匠は1度作ったものをもう一度作るなんて嫌がるだろうし、何より師匠とミミを会わせたくない。」


「えっ?それこそ心強い見味方になるんじゃ。」


「あの研究馬鹿な師匠にミミを会わせてみろ。それこそただじゃいかないよ。私の能力をついで、旦那の根元をついで、そして嫁さんの血から根性まであるあの子なら、必ず師匠の研究対象となるだろうし、それで何日も一緒にいれば、それこそ師匠が依存して絶対離さなくなる。あの人、自分の欲望に誰よりも忠実だからな。」

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