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本当に姐さんの考えって凄いよね。

これでも長く生きてる魔導師なのに、私なんて足元にも及ばないって思ってしまうのだから。

本当に凄い。

まさか、この私が命の恩人である姐さんよりも大切に思う者ができるなんて思いもしなかったのに、姐さんにはこれさえも計画通りなんだから。

思い浮かぶは幼いお姫様。

まだ色々な所に連れ回される前の何も知らないお姫様。



「ルー、お前に見せたい子がいるのよ。」



そう言って連れてきたのがお姫様。

不思議そうに部屋を見渡している姿に、あの頃はまためんどくさいのを連れてきたって思ってた。

私が魔導師、いや魔術師とさえも分かっていない子どもを何故ここに連れてきたのか。

そう思っていた。

でも、あの目にまずやられた。

キラキラ輝く、純粋なあの瞳。

魔術でもなく、ただ普通に道具に細工しているだけなのに、キラキラと見つめてくる瞳。

なんて綺麗なんだろうと思ってれば、もう遅かった。

どんな者かも分かっていないはずなのに、信頼し、楽しそうに私の発明品を見つめ、手にする小さなお姫様。

かつて、魔力に目覚めていなかった幼き頃の私が、周りに馬鹿にされてもなお止めなかった発明を、長い時を経て認めてくれた愛おしいお姫様。



「凄い!これって私よりも小さい時に、作ったんでしょう?ルー姉さん!」


「まぁ、そうだけども、まだまだなもんだよ。ただ、紙をめくる為だけの装置だし。」


「ううん、そんな事ないよ。これって忙しかった姉さんのお父様を思って作ったんでしょう?本当に凄い!私なんてお父様を手伝おうと思ってもなかなか手伝えなかったし、逆に心配かけちゃうし。」


「お嬢。」


「うん、もっともーーっと頑張らなくちゃ!」



遠い昔、馬鹿にされた発明を、この子は全力で褒めてくれる。

私が認めて欲しかった、あの頃の私が認め、褒めて欲しかったのをこの子はこんなにも褒めてくれる。

それがどれほど嬉しいか、幸せか。



「ハハッ、やっぱりお前もハマったな。」


「姐さん。」


「本当にあの子は恐ろしい程に人たらしなんだよ。私の旦那に似てね。」


「えっ、姐さんに似てじゃなくて?」


「いや、あれは私の旦那だよ。私の旦那は相当の人たらしだ。多分、みーんなあれが私に似てると思うやつが居るだろうけどね、あれはうちの旦那。それに私の能力も受け継いでいる。それこそ上に立つものとして相応しい能力をね。でも、あの子は絶対にそれを望まない。」


「なんでいいきれるの?まだまだ幼いじゃない。」


「分かるよ。能力は私のをそれこそ瓜二つに受け継いでいるけども、あの子のあの性格、根元にあるもの。あれは私の旦那からそっくりそのまま受け継いでいるからね。私の旦那はね、それこそ、私を知って慕ってくれてる奴らからは何故っと何回も言われる程だったさ。でも、今、そんなことを言うやつは一切居ない。なぜだか分かる?」



そういえばそうだ。

そりゃあ姐さんが結婚するとなったら大騒ぎだったけど、それ以降騒ぐやつは居なかった。

私は別に姐さんの好きにすればいいと思っていたし、別に結婚相手にも興味がなかったけども。



「うちの旦那が相当の人たらし。旦那に会わせれば、男女問わず、たらしこんできてね。まぁ、私が惚れ込んだのもそこだけどね。幸い、うちの息子には私の方の才能、根を受け継いで、唯一性格だけは旦那似なったんだよね。だから、それほど被害も無かったが、あの子は違う。それが相当厄介なんだよ。」


「なんで?何故、お嬢だけは違うの?」


「根っこを受け継いだからだよ。うちの旦那はね、本当に根っこから人が好きなんだ。いや、生物が好きだと言えるね。好きだからそれこそいい所を見つけるのが本当に上手い。そしてそれを純粋に相手に伝えてしまうから相手がすぐたらしこまれるんだよ。」


「人が好き?」


「嗚呼。本当に、好きって言うのは厄介でね、本当に悪意ある者も変えちまうほどさ。それこそ狂信者まがいな奴が出るほどさ。まぁ、旦那のことは私が守れるからいいし、根っこまでは受け継いでいない息子は、性格は旦那を受け継いだから人たらしまでは行くが、限度がある。本当に悪意のある者には近づかないからね。本当に救いようのない者はね。それは私の根っこを受け継いだと思うよ。」



「そんなに凄いの?その姐さんの旦那さんって。」


「そうだなぁ、本当に言えば、多分あの時代、あの戦争が無ければ私は旦那と結婚できなかっただろうね。」


「えっ?」


「うちの旦那がある辺境地の領主てのは知ってるだろ?その領民がそれはそれは狂信者狂いばかりでな。それこそ恐ろしいぐらいだ。でも、たまたま私が旦那を助けたことにより、領民達から認められ結婚することになったんだがな。」

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