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目の前に現れた、可愛い可愛いお姫様。

困惑の表情を浮かべているね。



「お嬢。」



恩のある姐さんに、言われて見守り始めたのに、今では姐さんなんて関係なく、ただ私が好きだからと見守ってきた私の大事な宝物。

魔導師として長い時間を生きてきて、本当にこれほど大切なら者に出会うなんて思わなかった。

小さな手が私の手に触れ、笑う、それがどれほど幸せなことだって思えたのはお嬢のおかげ。

ただただ、魔術の研究に明け暮れ、どれだけすごい魔術を発明出来るかだけが楽しみだった世界。

その為に自分の寿命を伸ばし、老いもしない魔術を構築した。

ただ、そんなことをした事で狙われてしまうことになり、不老ではあるが不死ではないない私を魔術封じを行い、道具のように使おうとした者から救ってくれたのが姐さん。

その姐さんが結婚し、息子が生まれ、またその息子が結婚し娘が生まれた。

姐さんは恩人だし、何かと願いがあれば叶えてあげたかった。

だけど、姐さんはなかなか願いがなくて、ようやく願ってくれたのが家族のため。

何よりも自分に似ていると感じた孫娘のことを見守って欲しいと。

その孫娘の武器となるものを作って欲しいと。



「最初は何故、そこまでするのか分からなかったよ。お嬢にそんなに力があるとは思えなかったから。」


「ルーミックさん。」


「でも、姐さんと一緒旅に出かけるたびに力をつけるお嬢に、いや、何よりもどんな人でも仲良くなってしまうお嬢のその能力に、姐さんと同じものを感じ始め。その後も見守っていくうちにどんどんと私に懐いてくるお嬢に、本当にこの子は恐ろしいと感じたよ。」


「えっ?そんな。」


「お嬢。お嬢は弓の才能だけでなく、姐さんの人たらしの才能は確実に姐さんから、いや、お嬢の父さんから受け継いでいるよ。お嬢の父さん、姐さんの息子の領主様も相当の人たらしだ。それにお嬢はまだ才能を受け継いでいるよ。」


「えっ?そんな、私は普通で。」


「いいや、お嬢は自分のことをよく分かっていないだけだよ。お嬢、お嬢のその能力は他にバレたらそれこそ沢山の人に狙われるよ。まぁ、そうならないように、お嬢が幼い頃に色々な所に連れ回し、色々な所につながりを作らせたんだけどね。」


「えっ?」


「ただ、趣味で姐さんがお嬢を連れ回したと思ってるでしょ

?流石にまだまだ幼いお嬢を親元から離して連れ回すなんて、普通だったら、あの姐さんだってしないよ。それに両親が許さなかったさ。でも、そうしないと未来、お嬢が困ることになるかもしれないと思ったから誰も文句も言わなかったんだよ。」



お嬢ってば、本当に困惑してるね。

でも、ここで話しておかないといけないと思うんだ。

正しく自分のことを、自分のいる場所ってのを理解しておかないといけない。

何にも知らないままでいる訳にはいけない状態になっているからね。



「お嬢の才能は、それこそあの大戦を目にしたもの達からなら、本当にどんな事しても手にしたいものさ。それほど姐さんはすごくて、ね。幸い、姐さんに生まれたのが息子で、その息子は領地を継ぐために絶対に必要だと姐さんが言うから手は出せない。それに息子には弓の才能までは受け継がれなかったからね。まぁその他はほとんど受け継いでいるけど。」


「父様が。」


「でも、その後生まれたのは孫娘で、しかも姐さんの才能をガッツリ受け継いでいた。姐さんは自分自身を守る能力があったから自分の望んだ相手と結婚し、幸せになった。でも、まだ幼い孫娘はそうはいかない。よくも悪くも姐さんとの繋がりになり、なにより姐さんを思わせるような娘がいるとなると自分達の所に嫁に貰いたいと必死になる者も多くいるだろうね。」


「えっ?」


「そう考えた姐さんはすぐさま行動に移したんだ。実際の孫娘を見せて、その孫娘にその相手を垂らし込ませて、そんなことを言えないようにさせてやれって。孫娘が嫌がるようなことを絶対にしたくないと思えるようにしてやれって。」


「えっ、えっ、ええーーー?」



ははっ。

本当に姐さんってば、怖いよね。

幼い孫娘にお偉いさんたちぶつけて、垂らし込ませて。

でも、それができてしまったから末恐ろしいよね。

このお嬢は。



「だから、お嬢に婚約を迫る奴なんて居なかったでしょう?そこのおバカな公爵様以外。」


「えっ?え、あ。」


「そりゃそうだよ。だって、可愛い可愛い娘と言っても言い子に、無理に婚約を迫らせることなんて皆が望まず、抑止してたからね。そりゃああわよくばと思う人もいたと思うけど、なかなか領地からも出ないお嬢と接点をもつことさえできずじまいだったからね。」

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