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「私の、能力、ですか?」
私の能力って、一体?
私は本当に普通の平凡な貧乏貴族なはず。
体の丈夫さだけには自信がありますが、特に才能に恵まれていると感じることはないのですが。
私に狙われるような能力なんて。
「あなたの百発百中の弓の才能。正しく、全盛期の姐さんと同じ能力。前回の壁打ち、まさに狙った通りの場所を撃ち抜いて、驚いたわ。」
「えっ、そんな!たまたまですよ!」
「たまたまなことはないわ。私が指示したのは六ケ所。そこを全て打ち込んでくれたこそ、最小限の時間で行けたのよ?正直、内心では後2発は打ち込んで貰わないといけないかもしれないと思っていたのよ。でも、ミシェルちゃんは全盛期の姐さんそのもの!姐さんは特殊な弓を使って一気に5人も敵を撃ち抜いていたのよ。」
「そんな!お祖母様は、動く獲物を一気に5つも打てるのに!私はそんな才能はありませんよ!私は少し弓が打てるだけで。」
そうです、私の場合、動かない壁だったから狙えて訳で、動く獲物なら難しいんです。
そりゃ、昔は無茶をしてよく狩りには出ていましたが、本当に遠くから狙って、相手が止まったら打ち込むぐらいで、動いている相手に対して当てられるほどの腕はありません。
「そうかしら?」
「えぇ、昔はまだ弓を使う時もありましたが、暫く使っていません。腕も落ちているでしょう。だから、私にお祖母様のような才能はありません。」
「そう。」
ふぅ、良かった。
プージャ様に理解してもらえて。
「でも、相手はそう、思うかしら?」
「えっ?」
「ミミのお祖母様の全盛期を知っていて、そしてその孫がその能力を継いでいると聞けば、それこそお祖母様の全盛期並の能力をもっていると勝手に勘違いして、ミミを狙うと?」
「だっ、旦那様?」
急にどうしたのでしょうか、旦那様。
今の今まで、ずっと黙ってなにか考え込んでいたようでしたのに。
「そう、そう言うことよ。流石は。昔っから頭が良かったものね。」
「お褒めいただけて光栄です。愛おしい妻のことですからね、いつも以上に頭が働くんです。」
「そう、それはいいわね。これからずっとその調子でいて欲しいわね。」
「それは勿論。それで、ミミが狙われるという意味は分かりましたが、何故、わざわざ隣国の王族であるプージャ様がここに?この事ならば、わざわざ出てくる必要は無いでしょう?」
「そりゃあ!ミシェルちゃんに会いたかったってのもあるけど!」
「おーい、プージャ様がおかえりだー。」
「ちょっ、待って待って!それだけじゃないって!預かり物があるのよ!!」
思わず動き始めた旦那様を必死に止めて、プージャ様が見せてくれたのは、宝石?のついたネックレス。
シンプルだけど、美しいデザインのネックレスで、付いている宝石はなにか分からないけど、とっても高そう。
「こんな素敵なネックレス、一体?」
「姐さんからだよ。」
「お祖母様から!?」
何故、こんなものを?
お祖母様から頂く理由が分かりません。
「誕生日祝いと結婚祝いを兼ねて、と言っていたけど、本来ならこれでは無いものを、渡すつもりだったみたいだよ。」
「えっ?」
「これ、なんでこれが付いて。それを何故ミミに!?」
「旦那様?」
旦那様がネックレス、いえ、宝石を見てから、なんか様子がおかしいです。
睨んでいるように見ています。
一体この宝石は?
「そうだよ、魔石だ。しかもかなり純度の高い魔石だよ。」
「まっ魔石!?」
魔石なんて、それこそ伝説の中のお話でしかない物ですよ!?
えっ、その実物だと言うのですか!?
コレ!!
なんて言うものを渡しているんですか、お祖母様!!
「伝説の魔石だけども、表に出回っていないだけで、裏では何度か出ているんだよ。それこそ昔ローエンには社会化見学てして、連れていった場所で見たことがあったね。」
「ええ、まだ幼い私を連れて、闇カジノなどに連れていってくれたどっかの誰かさんのせいで。しかし、これをミミに渡すなんて、尚ミミを狙わさせるつもりですか!?魔石はそれこそ伝説上のものと表では言われていますが、一応、あるにはありますが、それこそ魔術師と同様、それは希少価値の高いものです。そんなものをミミに渡すなんて正気とは思えない。」
「そりゃあ、普通の魔石ならば、争いを生むだけのものだから、可愛い姐さんの孫に与えるなんて、私は反対したさ。でも、この魔石はただの魔石じゃない。」
「ただの魔石じゃない?」
「そうさ、この魔石は唯一、ミシェルちゃんだけが使えるようにカスタマイズされたものさ。それこそミシェルちゃんを守るために必要なものなんだよ。」
「ミミを守る為?」




