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「さて、始めましょう!」



ご飯を炊いてっと。

玉ねぎの皮を剥き、みじん切りをする。

本来なら動物に玉ねぎは毒だから与えてはいけないけど獣人族の方なら大丈夫。

でも、食べやすいように小さくみじん切りする。

玉ねぎをみじん切りにする。

そして、熱したフライパンにバターを入れて玉ねぎを炒める。

そしてそのフライパンにトマト、ツナ、水にコンソメを入れてご飯も入れる。

水っぽさが無くなるまで弱火でしばらく煮込む。

その後は塩コショウで味を整えて、お茶請けにあったチーズを入れて完成!



「できたー!」



トマトリゾット!

実家で作っていたトマトリゾットはもっと質素だったけど、チーズもあってとても美味しそう。

まぁ、そうは言っても質素なんですけどね。

久しぶりの料理だったけど、上手にできました。

いい匂い。

その匂いにつられてか銀狼はまたお腹がなっている。



「ふふふ、熱いから気をつけてね。」



器に移して銀狼の前に置く。

するとくんくんと匂いを嗅いだあと恐る恐るだが銀狼は食べ始めた。

その様子をじっと眺めているが段々ガツガツと食べている。

美味しいと思ってくれたのだろうか。



「お口にあったようね。」


「わぅっ。」


「あら、ふふふ。」



可愛らしい返事。

あらあら、口の周りがご飯粒だらけだわ。

下の子たちの世話をしていた癖で思わず拭ってしまう。



「わふ!?」


「あら、ごめんなさい、ビックリさせたわ。」



驚いてこっちを見る銀狼にハッと我に返る。

いけないわ。

彼か、彼女か分からないけど獣人族なのに。

幼い子と同じ扱いをしてしまうなんて失礼だわ。



「わふっ。」


「あら、許してくれるの?」



ぷいっと横に顔を向けられるがどうやら怒ってないようで、良かったわ。

さてさて、どうやら全て完食してもらえたようで。

空っぽになったお皿をぺろぺろと舐めている。



「オカワリいる?」


「わぅっ!」



その返事を聞いて急いでおかわりをいれるとまた勢いよく食べている。

作ってあったリゾットは全部完食された。



「お粗末さまでした。さあって、そろそろ帰りなさい。傷もそこまで酷くないようだし。」


「うぅ。」


「あら?寂しいと思ってくれるの?ふふふっ、またいらっしゃいな。窓は空けておいてあげるからね。」



そう言って窓を開けると名残惜しそうにしながらも銀狼は、外へと出た。

月の光に当たりキラキラと輝く銀狼は直ぐに闇へと消えてしまった。



「ふふふ、また来るかしら、あの子。」



金さんとは違う銀色の狼。

でも、とっても可愛らしい銀狼。

また来てくれるといいなと思いながらその日は眠りについた。

そして、3日も空けずに、あの銀狼はやってきた。

コツコツと音がして、目を覚ませば、あの銀狼が窓を叩いていた。



「あらあら、いらっしゃい。今日は怪我をしてないのね。」


「わぅっ。」


「ふふふっ、今日はお腹を空かせてない?大丈夫?」



そう問えば、銀狼は頭を横に振るがどこか寂しそう。

あらあら、今日はクッキーを料理長達と作ったのよね。

クリスには怒られちゃったけども、エレナ達にあげると本当に喜んでくれて。

家宝にするとかなんとか言ってたけども、その場で食べるよういえば残念そうにしながらもとても嬉しそうに食べてくれたのよね。

そのクッキーがまだ余ってたはず。

クッキーを取り出して、銀狼の前に置けば銀狼は尻尾をふって食べ始めた。

可愛らしいなんて、思っちゃうのよね。

甘いものもこんなに美味しそうに食べるなんて、やっぱりこの子女の子かしら?

いや、料理長達も男性だったけど美味しいと美味しいと言って食べてくれたし。

うぅん、どっちでしょう?

まぁ、いいわ。

美味しそうに食べる銀狼を見て、癒される。

今日は旦那様帰ってきてたから味のしない夕飯だったけど、この可愛さで癒されました。

なんでか、チラチラと私を旦那様見てたようなんですが、私は一切気づかず、後でそのことに怒ってたエレナから聞いて知ったのだが、何か言うことでもあったんでしょうかね?



「わぅっ!!」


「あ、ごめんなさい。もう食べ終わったのね。」



考えごとをしてたら、どうやら銀狼は食べ終えたようで怒ったようにこっちを見ている。



「少し考えごとをしていたわ。」



そう言えば、銀狼は不思議そうに私を見る。

いや、どこか心配そうに見ているわ。



「ふふふ、心配してくれてるのね。別になんでもないのよ。ただ、今日旦那様が帰ってきたでしょう?でも、なーんにも話さなくて。毎回だけど、旦那様、私と食べて楽しいのかしら?お一人で食べた方がきっと気が楽だと思うのよね。嫌いな私と食べるよりも。」


「わぅ!?」


「あら、あなたは知らなかったのかしら?この屋敷の人達はみんな知ってると思ってたから。ごめんなさいね。」


「わぅわぅわぅ!!」


「ん?旦那様が私を嫌いなことは結構知っているのよ。だって、まぁ結婚しても全然今まで会ってなかったし、最近になって夕飯は一緒に食べてるけど、会話が一切ないこともあって、嫌われてるってみんな思ってるのだけど。あなたはもしかして、外に出る仕事をしている人かしら?だから知らなかったのね。」



屋敷の中にいないと分からないことってあるものね。

そう言えば、この子、遅くまで外に居たようだし。

きっとそうね。

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