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「はぁあー。やっぱりここにいましたね。」
「ジウさん。」
「馬鹿どもが。奥様は今帰られた身でお疲れだと言うのに、この馬鹿どもが。」
「マイダーリン!」
「母さん。いや、だって、この馬鹿父さんが悪いんだよ。奥様に対して煩いから。」
嗚呼、噂をすればノエル一家のお母様で、多分一番強いお方。
ジウさんです。
凄腕掃除婦様です。
話を聞けば、元々は侍女だったそうで、それこそエレナの前の侍女長の次に付いていたそうです。
そしてエレナをまず指導されていた方だそうなのですが、結婚され子どもも生まれたので、侍女よりも人数が多く仕事量が少ない掃除婦の方になったとか。
しかしハイスペック故にいつの間にか掃除婦長にまでおなりになっているという。
仕事量減ってないですね。
「本当に、ビィーが居ながら。お義父さんがなかなかビィーが戻ってこないと聞いたから様子を見に来れば。ビィー、この人はね、力づくで持っていくのよ。」
「いや、それが出来ないからこうなって。」
「はぁ。まだまだね。奥様、失礼しました。後で、誰かを向かわせますので、それまでゆっくりとティータイムを楽しんでくださいね。」
そう言って一礼すると、あのムキムキなノエルママの襟の部分に持っていたホウキの柄の部分を引っ掛けて、そのまま引っ張っていってしまった。
「流石は母さんだ。なるほど、引っ張っていくことでいけるんだな。じゃあ、奥様。またね。」
「えっえぇ。ビィー。」
嵐のように去っていったわ。
ノエル一家。
「ノエルママにも困ったものですね。」
「んー、とっても面白くて楽しいご夫婦だと思うけども。」
「まぁ、確かに、楽しいとは、思いますが、嗚呼はなれないというか、なんというか。まぁ、お2人とも相手を思いやっているところは尊敬というか、憧れますけども。」
「あら、エレナったら。そんなふうにノエルママ達を見てたのね!」
「ええ、まぁ。ジウさんは私の師匠に当たる方の1人で、それこそ右も左も分からない時からお世話になってますから。そんなジウさんがノエルさんとお付き合いされて、そして結婚するまでなんて。」
嗚呼、そうか、そうよね!
エレナはあの2人がお付き合いしている頃からいるんだものね!
「ふふ、お2人の結婚式はさぞ素敵だったでしょうね。」
「えぇ、それは賑やかな結婚式でした。ノエルさんの大泣きで、ジウさんがいつも通りのクールさで、でも、それがなんだかんだでちょうど良くて。」
あら、あらあら、エレナったら、微笑んでいるわ。
本当に楽しい結婚式だったのね。
「ふふっ、憧れるわ。そんな楽しい結婚式。」
「えっ、あっ。」
「えっ?どうしたの?エレナ。」
「いや、そういえば、奥様の結婚式はその、結婚式というには本当に酷すぎて。嗚呼、もう腹が立つ。あの馬鹿旦那様めっ!」
「あらあら、そんなことはないわよ?とっても素敵なドレスを着せてもらったもの。あんなに素敵なドレスを着るのは初めてだったのよ。」
まぁ、あまりにも高価なもの過ぎて、とってもとっても緊張してしまって、正直すぐに脱ぎたくて仕方がなかったのだけども。
あんなに宝石が着いたものなんて恐ろしくて。
だから正直言って、結婚式が簡略化されてて良かったのよね。
あれが長時間だったとしたら。
嗚呼、気絶しそう。
「と言いつつも、あれは奥様のご趣味では無いですよね!奥様のご趣味なものなんて一切ない、あんなの結婚式と言えますかっ!!」
「まあまあ、エレナ。本来なら結婚式もせずとも良かったのだけどね。」
「これでしていなかったら本当に旦那様の頭をかち割ってました。」
ええっと、エレナったら。
本当に冗談が過ぎるんだから。
でも、こんなにエレナが怒るなんて。
「エレナ、もしかして実は結婚したい方がいらっしゃるの?」
「えっ?なんで急にそんなことを?」
「いや、とっても結婚式について怒ってたし、それに具体的にイメージがあるようだから、だから結婚したい方がいて、結婚式を想像してるのかなって。」
「なっ!そんな方はいらっしゃいませんっ!!私がここまて怒っているのは奥様のことを一切考えない結婚式を行なったあの馬鹿旦那様に対してで!結婚式は女性にとって、とっても大事な物で、夢に思っている人もいるぐらいなのに!なのに!」
「ふふっ、エレナにも結婚式の夢ってあるのかしら?」
「ええ、まぁ。」
「あら、どんな風なのかしら?」
「私は小さな教会でいいので、仲のいい人達だけを呼んで、心の底から祝ってもらえる結婚式をって!そうじゃなくて!」
「あらら。エレナの夢の結婚式も素敵ねっ!そうねー、皆に祝ってもらえるのって幸せよね。」




