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「銀狼?」


ミラ先生のダンスレッスンで、ボロボロで早めに就寝してたのですが、カタリと音がして、目が覚めた。

閉め忘れたのか窓が開いている。

エレナが忘れるなんて。

嗚呼、でも明日は満月。

確か、獣人族は満月の日には力が沸くらしく、上手く力を制御出来ないとか。

だから耳とか羽とかが出てきたりするってセッカが言ってた。

1日前の日も変化しないように抑えるの大変だと言ってたし、きっとエレナたちもそっちを気にしてたのかもしれない。

そう思いながら窓を閉めるために立ち上がる。



「少し寒いわ。」



肌寒さに肩を擦り、窓を閉めようとするとキラリとなにかが光る。

見間違い?そう思いながらも確かめるために外に出ると、キラキラ輝く銀色が目に入った。



「狼・・・。」



銀の狼が目の前に居た。

狼はぐったりと横たわっている。

何故、狼がこんな所に?

不思議に思い、見つめているとどうやらこの狼、怪我をしているようです。

微かにに血のにおいがする。

そっと近づけば、どうやら狼は気絶をしているようだ。



「うーん。このままには出来ないし。」



仕方がない。

狼をそっと抱き上げようとするが重くて持ち上がらない。

そういえば、金さんのときもこんなことしたなぁ。

仕方がないのでずるずると引きずって持っていく。

どうやら怪我は大したことがないようで所々に切り傷があるようだったので軽く手当をする。

しかしなんで狼がこんな所に?

そう思っているといつの間にやら狼が目を覚ましていた。

そして周囲をキョロキョロと見渡している。

その仕草がどうやら人のようで。

もしかして、この狼・・・。



「あなた獣人族?」



そう問いかければ、びくりと肩を揺らし、目を見開いて私を見る狼。

嗚呼、これは。

金さんに会い、そしてエレナやクリス、その他何人かの獣人族に会い、見てきたから分かる。

この狼は獣人族の人だ。

反応が狼とは違いすぎるもの。

狼は何も言わないが、きっとそう。

まだこの屋敷の人、全員にどんな種族なのか聞いてなかったし、狼の人も居たのでしょう。

っで、この人はもしかして私に狼ってバレたくなかったのかしら。

だから今も私に声を聞かれたくないから喋らないのかしら。

まぁ、狼って怖いってイメージを持つ人が多いって金さんも言ってたものね。

バレたくないのかも知れない。



「喋らなくても良いわ。大丈夫。私は怖くはないわ。でもあなたがバレたくないって思っているならしゃべらなくていいわ。」



そう伝えると狼は不思議そうに私を見る。

その姿は可愛らしい。

うーん、男性か女性かも分からないけど、とても可愛らしいわ。



「仕事があって仕方がないかも知れないけど、明日は満月よ?薬も飲まず、外にいるのはいけないわ。お間抜けさんなの?」



そう問い掛ければ、狼は睨んでくる。

あら、からかわれて怒ってるのね。

ふふふ、思わず笑みがこぼれる。

でも、力を抑える薬を飲まないと本当に辛いってエレナ達も言ってたし、ちゃんと飲まないとね。



「ごめんなさい。からかって。こんなに夜遅くまでお仕事をしていたのね。お疲れ様。」



そう言って狼の頭を撫でる。

狼は私の手にびっくりしている。



「あら、触っては駄目だったかしら?ごめんなさい。エレナ達は撫でられるのを好きだと言ってたから。あなたは嫌だったかしら?」



そう問いかければ、狼は首を横に振る。

嗚呼、良かった。

エレナたちで癖になっていたから無意識に撫でてしまったわ。



「それなら良かった。それにしてもたくさん怪我をしていたわ。体調は大丈夫?」



そう問いかけると狼はこくりと頷く。

良かった。

体調は大丈夫なようね。

一安心しているとぐうううっと大きな音。



「あら、あなた、お腹が空いているの?」



狼から大きなお腹の音がした。

もしかしてこの子、ご飯も食べずに仕事してたのかしら。

あの傷ですし。

っと言っても、もうみんな寝てしまっているでしょうし、わざわざ起すのもね、悪いわ。

そうだわ!



「狼さん、ちょっと待っててもらえるかしら?」



狼は不思議そうにしながらもこくりと頷く。

ふふふ、可愛らしいわ。

金さんの時は、喋ってたものね。

だから、そこまで可愛らしいとか思わなかったけど、この子は本当の狼みたいで、その狼が大人しくしてるのが可愛いわ。

こんな可愛らしいから女性かしら?

でも、男性もあるわよね、でも、きっととっても可愛らしい方だわ。

そんなことも思いながらも、お腹の空かせた狼さんのために料理をしましょう!

この部屋の隣には簡易的なキッチンなようなものがある。

お屋敷が大きいから、お茶等が冷めないように近くにあるそうで。

簡易的な料理するだけなら十分。



「お肉じゃなくても大丈夫かしら?」



問えば狼はこくりと頷く。

良かったわ。

今あるのは私が大事に育てたトマトと実家から届いたお米と玉ねぎとバターにツナ。

私がトマトの苗を送ってと頼んだことにより、こんなものまで送ってくれるようになった。

バターとツナはきっと領地の人々から。

いつも私が楽しみにしてるのを知っていたら。

優しい領民達は私の好きなものをプレゼントしてくれて、代わりに私は狩りで取った熊やうさぎなどを渡している。

今年もきっと持ってきてくれたんだろう。

これを使って、料理をしようと思っていたのよね。

さてさて腹ぺこ狼さんは喜んでくれるでしょうか?



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