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「アレン!アーレン!!」
「アッアッ!」
「ふふふ、笑ってる!可愛いっ!!」
「本当に!天使のようですわ!」
「そうね、本当に癒されるわ。」
旦那様が王都の方に帰って2週間過ぎ、お母様が無事出産され、私には素敵は弟が産まれました。
とっても可愛らしい弟で、顔はお母様似だけども髪色や目の色はお父様似で、私とお揃い。
それを知った下2人は何故だと騒いだけども、でも可愛らしい弟のアレンを見たら早々にブラコンになってしまいました。
アレンが生まれて、早1ヶ月。
エレナもせっせと働いてくれているからうちのことは何事も問題なく、アレンの世話もお母様を中心に皆でしているから、とても平和に過ごしています。
お祖母様からの依頼内容が忘れるぐらいに。
「ふふふ、本当に見ていて飽きないわ。アレンったらとってもいい子で夜泣きもないし。」
「えぇ、そうですね、お母様。」
「リディの時は凄かったわぁ。あの子ったらミミがいないと直ぐに大声で泣くし。まぁ、ミミが傍にいればずっと笑っていたけども。」
「嗚呼、そうでしたね。」
そういえばそうでした。
赤ちゃんの頃からリディはリディで、とっても甘えん坊さんで可愛らしかった。
お母様はとても困ってたけども、私としては頼られる姉って感じでとても嬉しかったのよね。
さらにリディのお世話に熱が入って、さらにリディのシスコン度も上がって言ったような気もしないこともないけども。
「それに、イーサンも。それこそ赤ん坊の頃はアレンと一緒であまり泣かない子だったけども、ミミがお義母様と一緒によく外に行くようになったら、それはそれは泣いて困ったことになっていたわよね。」
「えぇ?そうだったの?」
「えぇ、ミミがいる時は本当にいい子で、わがままも言わない子だったけども、ミミが外に行くとなると泣くわ、暴れるわで、大変だったわぁ。」
「まぁ。」
イーサンがそんな事になっているなんて。
あの頃は大分、お祖母様から連れ回されることは少なくなってはいたけども、でも、なくなっていないことはなく、修行だなんだと言われて、連れ出されることもあったわ。
でも、その時のイーサンはとってもいい子で、笑ってたような覚えがあるのだけども。
「あの子は、本当に性格はうちのお父様似よ。腹黒な所はとってもよく似ているわ。」
「えっ?お爺様が?」
「えぇ、あなたのお爺様は本当に腹黒よ。今でこそ大分丸くなったけども、私が幼い時は本当に怖かったのだから。目も合わせたくないぐらいよ。」
「そんな、あのお爺様が。」
お母様のお爺様は住んでいる国が遠い国なので、なかなかお会いすることは出来ず、それこそ数回しか会ったことがない。
以前お会いしたのは、確かリディの3歳のお祝いの時かしら?
リディがとてもお母様の幼い時に似ていると言って、抱きしめていたっけ?
でも、そんなお爺様をそれはそれは冷めた目で見ていたお母様。
「お母様って、もしかしてお爺様のこと、あまり好きでは無い?」
「えぇ、そうね。今でこそ、まぁ、いいかしら程度には思えるけども、昔は大っ嫌いだったわ。あの人はね、自分の子どもも
道具だと思う所があったのよ。そりゃあ、あの人の立場上、仕方がなかった所もあるわよ?でも、まだ幼い私からしたら、そんなこと知っちゃこっちゃじゃないし、普通の父であればとどれほど願ったか。あの人を許せたのはそれこそ、旦那様との結婚を許してくれた時。その時、少しあの人を許せたのよね。今となったら爺馬鹿になって、それこそ、リディやミミをこちらに嫁としてよこせやら、イーサンを後継者にするだのなんだの言っているけども、そんなこと許さないわっ!」
嗚呼、記憶の微かに覚えがあるなぁ、そんな話。
私の記憶にあるお爺様はそれはそれは孫に甘いお爺様で、それこそ常に誰かしらを抱きしめたがっていたっけ?
そしてそのまま連れて帰りたいと駄々を捏ねてはお母様にキレられていたわ。
詳しくお母様も話してはくれないし、お爺様のことを調べようとも思わなかったからいったい何処の国の方なのかは知らないけども、でも、結構位の高い方ってのは話し方でよく分かるけども、でも、お母様は多分、どんなことがあってもお爺様に頼ること一切しないだろうなぁと思えていたのは覚えている。




