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「もう用はなくなったはずでは?」


「んー、そうだなぁ。まだ、若様帰ってきてないし、いよっかなーって。」



そんな感じで!?

いや、まだきっとなにかあるはずだ。

だからこそ、まだここにいるはずだ。



「エレナもいないんだし、俺がいた方がいいだろう?」


「そりゃあ、助かりますが。」


「だろだろー!!」



いや、まだ絶対になにかあるだろう。

この人が大旦那様の右腕であるが、今ここの旦那様は大旦那様ではない。

好き勝手されると困る。

だから、私がしっかりと見ておかないと。



「そんなに怖い顔しなくても良いだろう。大丈夫だって。」


「大丈夫じゃないので。」


「もー、人を信じないといけないぞー。」



いい歳したおじさんがそんな顔をしても可愛くありません。

本当にこういうところはエレナとそっくりです。

血筋を感じます。

そんなこんなで、エルビスさんを監視しながら過ごしていれば、旦那様が帰宅しました。

久しぶりの帰宅だが、旦那様が数日間屋敷をあけることは以前は多くあったので正直言って誰もがいつもの事だと思っており、わざわざ出迎えることも無く、出迎えは私とエルビスさんだけだ。



「久しぶりですね、若様!」


「クリスからの連絡で聞いていたが、本当に居たんだな。エルビス。」


「やだなぁ。一応、我が弟子からの連絡だから信じてくださいよー。」


「違う、そういう意味ではない。俺が帰る前にはいないと思っていたが、まさかまだ居るとは思っていなかった。お前は父上の右腕であるから基本、領地から出てくることはないじゃないか。父上がこちらを離れてから。都に来たのも久々だろう?」


「えぇ、そうですね。こちらに来たのはそれこそ若様が成人して、この屋敷を継ぎ、旦那様がこの地を離れてからは1度も戻ってないです。」


「そうだろう。そんなお前が、わざわざ俺の帰りを待って残っているとは思わない。何が目的だ。お前が望んでいた情報は手に入っただろう?」


「やだなぁ、若様もそういうんですかー。心外だなぁー。」


「じゃあ、何が目的だ?」



旦那様がじろりと睨むが流石はエルビスさんというか、気にもしていない。

しかし、旦那様もそう思うとは。



「まぁ、確かに目的はありますよ。でも、若様。あなたではない。」


「俺ではない?というと、他に。あっ、もしかして、ミミか!!何故、ミミを!!」


「んー、正直言っていいのか分かりませんが、とりあえず若様の奥様は今回のキーとなる方だと言うことです。」


「ミミがキーだと?」


「はい、今回、この情報を持ってきてくださったのは奥様ですよね。情報を若様が持ってくるかもしれないと本家から言われてこちらに来ていましたが、その先がまさかの奥様だった。これを本家が分かっていたかは分かりませんがレオルド国の陛下たちは分かっていたようですね。だから情報を持ってきたものはキーとなると。本家の方々は若様がキーとなると思っているようですが、実際は奥様ということ。キーとなる方を私は見張らなければなりません。」


「それはミミを監視するということか?」


「嫌ですね、そんな監視なんて。違いますよ、見張る、も違うな。見守るですね。本当ならば旦那様、若様のお父様達にこちらに来ていただけたら安心するでしょうが、それが今はできない状態ですので。」


「父上達になにか?」


「若様が持ってきた情報からお分かりでしょう?戦争が始まらないようにする為にも、旦那様達は領地に兵力をまとめなければなりません。残念ながら俺、いえ私にはそんな能力はありませんので。なので、私がこちらにこさせて頂いたのです。奥様がキーとなることが、それこそ敵に知られたら狙われるかも知れません。」


「なっ、ミミが!!!」



奥様が狙われると聞き、今の今まで無関心を貫いていたもの達が急にざわめき始めた。

聞き耳を立てながらも、聞いてないふりをしていたのに。

奥様が狙われると聞いて、無心を貫けなかったようだな。

また指導が必要かっ。

しかし、うちは奥様に対して本当に信者のような者が多すぎる。

奥様になにかあればすぐさま荒れ狂うのだから。



「なんでですか!なんで奥様が狙われるんですかーー!!!」


「あんな可憐な奥様を狙おうなんて最低だわ!!」


「おっおぉ、なんかすっごいなぁ。」


「エルビスさん、今、うちの要は奥様ですから。奥様になにかあればすぐさま動きますよ。うちのもの達は。」


「マジか。」


「マジです。」



エルビスさんが驚くのも仕方がないか。

大旦那様がいた時から居たものも多くいるが、それは皆、まだまだ若いものばかりで、良くも悪くも他に無関心なものが多かった。

この地にやって来て、この屋敷に仕え出した時だから、まだまだ力が足りず、この屋敷の者たちが獣人族であることをバレてはいけないと身を張りつめており、自分のことで手がいっぱいだったとも言える。

段々慣れてきて、それなりな余裕もできた頃に、旦那様のあの恋愛騒動でこの屋敷に務めてはいるが、信頼はあんまりというのが現象だった。

そんな頃の様子しか知らないエルビスさんからしたら、今の現状は正直信じられないだろうな。

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